ビットコイン取引所19社が分裂阻止へ、Bitcoin Unlimitedは新通貨扱い

最近ビットコイン業界内で大きく議論され続け、派閥問題にまで発展した「Bitcoin Core」派と「 Bitcoin Unlimited」派のスケーラビリティ問題だが、この問題に対して本日 19社の取引所が共同声明を発表した。

今回の取引所連盟の発表は、長年の課題だったスケーラビリティ解決方法による「ビットコイン分裂」に待ったをかける大きな一歩である。

各取引所のスタンスは「現在取り扱っているビットコインをそのまま支持し、Bitcoin Unlimited は 2つの問題を解決しなければ取り扱わない。取り扱ったとしても全く別の通貨としてのみ取り扱う。」というものだ。

ユーザーになったばかりの人にとっては、「ビットコイン分裂?スケーラビリティ問題?」と疑問しか出てこない話だが、今回の一連の報道は、

「ビットコインの将来」を決定づけたと言っても良いほどの大事件である。

それでは今回の表明がどのような影響を市場に与えるのか、紐解いていきたい。

長年のスケーラビリティ問題解決の入り口へ

ビットコイン業界では、長年スケーラビリティが何度も問題として上がってきた。

スケーラビリティとは、「より多くの人がシステムを使用できる度合い」のことで、拡張性とも言われている。

現在のビットコインの処理能力は貧弱であり、そのままだと 1日で 60万件の取引しか処理ができない。(ビットコインユーザーは 600万人を超える)

この問題の解決方法として長年議論されてきたのが、ビットコイン開発者が推進する「Bitcoin Core」と世界最大のマイニングプール Antpool が推進する「Bitcoin Unlimited」という 2つの解決案だった。

Bitcoin Coreか?Bitcoin Unlimitedか?

Bitcoin Core は、対策としてSegwit をすでに展開していた。

Segwit を使用すればデータ量を約 2分の1に抑えるこで、取引回数が単純計算で 2倍になる。更にブロックチェーンと他のシステムとの連携が取ることができ、高頻度の即時決済が可能になる。

Segwit は開発者が製作・推奨しているスケーラビリティへの対策方法である。

しかし、すでに運用を始めている Segwit だが、完全に変更を行うにはマイナーの 95%の指示が必要だ。

しかし、現時点で業界の 27%しか支持を得ていない。

原因はマイニングプールの反発である。

世界一のマイニングプール「Antpool」は、Segwit によるアップデートを拒否し、その代わりスケーラビリティ問題をブロックサイズを一気に拡大することで解決する「Bitcoin Unlimited」を推進・採掘を強行していた。

Antpool の代表ジョン・ウー氏は「Bitcoin Unlimited に切り替える」と発言し、支持者であるロジャー・バー氏は「Bitcoin Unlimited のアクティベートにはマイナーの 60〜70% の参画が必要だが、現時点でその中間地点に近い」と発言している。

ビットコイン業界にて発言権のある 2人の「強制的な発言」は市場に対して圧力をかけているも同然だろう。

但し、 Bitcoin Unlimited はそのシステム自体に問題を抱えており、基本設計の甘さ、バグ・虚弱性が指摘されており、開発者グループからは評判が悪かった。

アップグレードの Bitcoin Core か、ハードフォークの Bitcoin Unlimited か、以上が長年にわたるビットコイン・スケーラビリティ論争である。

ビットコイン取引所連盟、待ったの一手

ビットコインシステム自体の崩壊すらも招くスケーラビリティ問題だったが、今回の取引所連盟の表明によって事実上「Bitcoin Core」での運用方針が決まった。

以下の文章は、取引所連盟の代表として取引所 Zaif が公式サイトにて発表した内容だ。

「我々は取引所として、24時間365日継続してトレードが可能なマーケットを維持する責任を負っています。」

「たとえビットコインがハードフォークするとしても、我々は取引所の運営を休止することができないため、どちらが勝利者となるかをただ見守っているというわけにはいきません。」

「我々の運営する取引所の多くは、マーケットが継続して運営されることを前提としたレバレッジ取引を提供しています。その運営の必須条件という観点からだけでも、我々は互換性のない側のフォークを新しいアセットとして取り扱わざるを得ません。」

「今回は Bitcoin Unlimited プロジェクトによって引き起こされるハードフォークが発生しようとしておりますので、それが現実となる場合は、我々は Bitcoin Unlimited のフォークを「 BTU 」(あるいは「 XBU 」)として取り扱うことを決定いたしました。」

「 Bitcoin Core の実装は引き続きBTC(あるいは XBT )としてトレードされ、たとえ BTU のブロックチェーンが Core のそれより多くのハッシュパワーを有するとしても、我々が運営する全ての取引所においては、Core 側を BTC として入金と出金の対象とします。」

要約すると「取引所連盟は、今のビットコイン(Bitcoin Core)をビットコインとして取り扱い。Bitcoin Unlimited は全く別の通貨として取り扱います。」と公表。

取引所連盟に名を連ねるのは、日本から bitbank, coincheck, zaif 3社、その他の国からは bitonic, bitfinex, BITSTAMP, bitt, BTCC, Kraken, ripio, THEROCK, BITFINEX, BITSO, bitsquare、BITTREX, BTCCHINA, coinfloor, UADRIGACX, ShapeShift 以上の 19社だ。

今回の発表は、イーサリアムが、イーサリアム(ETH)とイーサリム・クラシックに分かれたように、ビットコインでも全く別の通貨が生まれてしまうことを阻止する一手になる。

事実、イーサリアムのハードフォークの時は多くの取引所が混乱を極めた。

混乱を招けば当然、価格は暴落する。

その暴落を阻止する動きだと理解して良い。

取引所声明の裏側で

各取引所が「互換性・継続性がある方をビットコインとして扱う。(互換性と継続性が無い方は取り扱わない)」という判断を下したことで、

「取引所では Bitcoin Core をビットコインとして指示する」と公表したことと同意義になり、当然取引所が扱わないビットコインには何の価値もなくなる。

特に今回の取引所連盟の発表には、巨大マイナー企業への「強硬手段は認めない」という硬い意志が込められている。

ビットコインが既存の金融システムと比べて優れている点は「中央集権が無い」という部分であり、Bitcoin Unlimited  派が今回行った実力行使(権力による圧力)はそれに大きく反する動きである。

例えそれが「巨大マイナー企業」であっても、「開発者」であっても、「取引所」であってもビットコインの思想はあくまで「相互監視・相互発展」であり、これまでの中央集権が行うような政治的圧力はその思想を潰す行為に当たり、市場はそれを認めないことを示したビットコインの歴史にとって大きな転換点になったと考えられる。

取引所が権力に屈しなかったことが、最も評価されるべき部分である。

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