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フィリピン、2029年までに「ホールセール型CBDC」を導入する可能性

フィリピンが2029年までにホールセール型の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行する可能性があると、2024年7月25日にフィリピンのメディアである「The Philippine Star」が報じました。

今回の報道は、フィリピンの中央銀行である「BSP(Bangko Sentral ng Pilipinas)」のタンゴナン副総裁が記者に向けて行った発言に基づいたもので、ホールセール型CBDCプロジェクトである「Agila」の概念実証が順調に進み、最終フェーズに近づいていることが報告されています。

BSPは、2022年12月からホールセール型のCBDCの検証プロジェクトである「Agila」をスタートさせ、実験や検証を重ねてきました。なお、パイロットフェーズ第1弾では「Hyperledger Fabric」の分散型台帳技術が採用されています。

Agilaに関する全ての調査・検証結果に関するレポートは2024年末までに発行する方針で、詳細な結果はこのレポートで公表される予定となっています。

BSPのレモロナ総裁は過去に、自身の任期である2029年までにホールセール型のCBDCを発行する可能性について示唆しています。今回の報道はCBDCの開発が順調に進んでいることを推測させるものです。

Agilaは、金融機関に対してCBDCの技術を周知させて国内の大口決済システムを強化することを目的としています。

BSPはAgilaとは別で、フィリピン・ペソと連動するステーブルコインのテストを5月に承認しており、デジタル決済や資産に対する動きを活発化させています。

BSPが検証を進めているホールセール型のCBDCは、主に金融機関が利用することを想定したものとなっており、クロスボーダー取引などにおいて大きな利点があると考えられています。

一方で、小売など一般利用を想定したCBDCはリテール型にあたります。BSPは今回開発されているのはあくまでホールセール型と強調しており、一般利用を想定したものではないことを言及しています。

ホールセール型のCBDCについては各国で検証や実験が行われており、例えばスイスの中央銀行であるスイス国立銀行は、ホールセール型のCBDCの試験プロジェクトを2023年12月からスタートさせています。

2024年4月には、世界中の中央銀行で構成する国際決済銀行(BIS)が、日本銀行を含む7つの中央銀行でCBDCを利用した国際決済の実証実験を行うことを発表しており、世界中の中央銀行でCBDCの実用化に向けた動きが見られつつあります。

しかし、一部ではCBDCに強く反対する意見も出ており、米国のドナルド・トランプ氏は先日開催されたイベントの中で「私が大統領である限りCDBCの発行は認めない」と語っています。

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The Philippine Star報道