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MUFGコイン運用開始に危機感を持つ三菱東京UFJ銀行員

5月1日、三菱東京UFJ銀行が開発を進めてきた独自暗号通貨「 MUFGコイン」の運用が開始された。
初期導入ということもあり、まずは東京三菱UFG銀行の役員およそ 200人間だけで送金などのシンプルな機能の使用からスタートさせた。
同銀行は今年中に国内銀行員 3万人が使用できるように改善修正し、銀行内のコンビニなどで使用できるようにする取り組みや独自ATMで現金に変換できるシステムの導入も予定し、2018年に一般公開される予定だ。
いち銀行が取り組む新しい試みということもあり、この MUFGコインに関しては賛否両論の意見が出てきている。
意見を出している人は皆、それぞれのポジションからMUFGコインに関して語っているのだろうが、その中でも印象的なのは、
「三菱東京UFJ銀行員の中には、自社の新しい通貨の発行に危機感を持っている人がいる。」という事実だ。
なぜ、彼らは自社の大きな成長のキッカケとなる取り組みに危機感を感じているのだろうか?

MUFGコインとは?

MUFGコインと時価総額 1位の暗号通貨ビットコインの大きな違いは「価値の固定」と「発行者」という点だ。
MUFGコインはその価値が「 1MUFGコイン= 1円」と固定されている。
これはビットコインのように価値が変動し続けることを通貨としてのデメリットとして捉えているからだろう。(投機性の排除)
また発行者がビットコインのように不特定多数ではなく、三菱FUJ銀行という大手銀行が担うことで通貨へ信頼性が保てると考えている。

MUFGコインに対するネガティブ意見

MUFGコインに対していくつかのネガティブな意見が出ている。
その理由としては上記で上げた「発行者」と「価値の固定」が存在することだ。
通貨には「価値尺度」「交換手段」「価値保存」の3つの機能がある。
この機能の下支えになっているのが、「信用」である。
円の場合、日銀が発行し国が価値を担保している。もちろん国の信用力が無くなれば、円の価値が低下する。
先日、インドで起きたルピーの高額通貨廃止などの信用力を落とす政策が起きれば、通貨の価値が低下するということだ。
ちなみにインドでは政策以降、ルピーに変わりビットコインの需要が爆発的に高まっている。
通貨にとって「信用」とは命綱なのである。
三菱東京UFJ銀行の場合「大手銀行が発行している」という点で信用力が高い。と判断されているかもしれないが、あくまで 1銀行が発行しているという点で、円以上の信用が得られるとは考えにくい。
国はなかなか潰れないが、銀行は国よりも潰れやすいということだ。
また会社が発行している点、倒産すればアウト。という事をを考えれば「株券」と似ている。
また、ビットコインなど発行者不在の暗号通貨では「発行者がいない方が安全」という見方もできる。
ビットコインはシステムで動いているため、システムが崩壊しなければ運用をされ続けることが発行者不在のメリットだ。
当然、銀行が通貨発行者の場合は銀行が生き続ける事が前提となる。

三菱東京UFJ銀行の本音

「今後10年で総合職を3500人削減する」と発言したのは、三菱東京UFJ銀行代表取締役会長の平野信行氏である。
同銀行の行員が危機感を感じているのがまさにこの部分である。
現在銀行業の大きな負担になっているのが、実店舗の運営費などのコストだと言われている。
ビットコイン取引所が、その取引を全てインターネット上で完了させ、実店舗は本社のみ。というスタンスを取っているにも関わらず、銀行には支店というシステムが残っている。
当然、前者の運営コストは低く、後者の運営コストは非常に割高になる。
この数多くの実店舗である支店の存在がコストとなって、経営状況を圧迫させていると言われており、現在の銀行業の悩みのタネになっている。
米バンク・オブ・アメリカは「全世界の金融業 2500万人分の職が消える」と発表している。
そこで今回の「 MUFGコイン」の開発である。
MUFGコインで売り上げを倍増
MUFGコインは、三菱東京UFJ銀行が独自に開発した“ブロックチェーン”を使用する事で、支店運用費、人件費、セキュリティコスト、サーバーコストなどの莫大な費用がかかる現在の銀行運用システムを使わなくても運用ができる。
つまり、三菱東京UFJ銀行が MUFGコインを発行したのは、コスト削減とシステムの効率化によって自社の売り上げを確保するためだと考えられる。
銀行も企業なので、こうした売り上げを上げるための動きをするのは当然のことである。
「通貨として広める」よりも今回の MUFGコイン発行の真意は、どちらかというと「経営の健全化」よりの活動だと思われる。
もちろんそのためには価値の担保が必要になり MUFGコインが一般的に広まることが前提となる。
MUFGコインが広まるためには、
・スマホアプリなどで気軽に広く使える。
・多くのお店で使用できる。
・セキュリティの問題が無い。
などの要素を取り揃える必要がある。
上記の部分に関しては今後の三菱東京UFJ銀行の取り組み方次第で変わってくるだろう。