トロン(TRON/TRX)は、2018年8月30日の10時30分(日本時間)に「トロン仮想マシン(TRON Virtual Machine/TVM)正式版」の公開を予定しています。長い間待ち望まれていた今回のリリースには、Justin Sun(ジャスティン・サン/孫宇晨)氏の強い熱意と開発者たちの努力が形となって現れています。
トロン(TRON)創設者ジャスティン・サン氏の熱意
2018年7月30日に「TRON仮想マシン(TRON Virtual Machine/TVM)」のベータ版がリリースされ、TRONのマイルストーンとして位置付けられました。
トロン仮想マシンのベータ版がローンチされた当日、ジャスティン・サン(Justin Sun)氏は、世界的に有名な画家Vincent van Gogh(フィンセント・ファン・ゴッホ)氏の言葉を引用して中国版Twitterである「Weibo」に次のようなメッセージを投稿しました。
1890年7月29日、ポスト印象派のマスター、ゴッホが亡くなりました。
彼の伝記には次のような言葉があります。『世界に認められないからといって、自分が間違っているということではありません。今の時点でその魅力を理解してもらえなかったとしても、いつか必ず気付いてもらえる時が来るはずです。努力はきっと報われます。』
明日10時30分に「TRON Virtual Machine(TVM)」のテスト版がライブ中継されます。
皆さんと会えるのを楽しみにしています。
1990年代生まれのジャスティン・サン(Justin Sun)は、ブロックチェーン業界に入って以来、常に最前線で挑戦を続けてきており、自らの目指すビジョンに向けて尽力し続けています。
Tronの優れた機能性をさらに向上させるために常に努力を続けてきた同氏は、これまでにもその魅力を発信しており『Tronがどれほどの機能性を備えているか』を具体的に示してきました。今回正式に公開される『トロン仮想マシン(TRON Virtual Machine/TVM)正式版』は、彼の才能と努力の成果を示しています。
これからTRONは世界有数の「仮想マシン」の一つとなっていきます。
ジャスティン・サン氏は、今回のリリースを通じて「世界一のパブリックチェーンになる」というビジョンに向けた更なる一歩を踏み出しました。
仮想マシンとは?
仮想マシン(Virtual Machine)とは、仮想的に作られたソフトウェアのことを指します。
よりわかりやすく説明すると、1台のパソコンに搭載されている「CPU」や「ハードディスク」などの持つ性能を意図的に分割して機能させることによって、1台のパソコンの中に2つのパソコンが存在しているような環境を作ることができます。
本来ならば複数のコンピュータを用意する必要がある場合でも「仮想マシン」を利用することによって、一台のコンピュータだけで複数台のコンピューターの機能を果たすことができるようになるため、大幅にコストを抑えることができます。
なぜ仮想マシンが重要なのか?
「仮想マシン」を用いることによって、ユーザーは新たな作業環境を持つことができるため、どのような環境下でも他のソフトウェアを操作することができるようになります。
『動画を見るために1つのサイトにログインしたら、その他全てのアプリケーションが利用できなくなった』という状況を想像してみてください。パソコンのフリーズやウィルス感染などによって起こり得るこのような問題も「仮想マシン」を利用することによって解決することができます。
仮想マシンの本質は「環境を模擬する」ことです。
仮想マシンは、仮想的な環境を作り出すことによって、異なるユーザーが異なるオペレーティングシステムで同一の作業を行うことも可能にします。
これらの機能は『ブロックチェーン3.0の時代』では特に重要なものとなります。
ブロックチェーン(Blockchain)3.0の時代
“ブロックチェーン”という概念は1870年代の頃から既に存在していました。
当時の仮想マシンは「中毒性のあるディスコ」とも呼ばれています。インターネットの普及に伴い、仮想マシンはパソコンの利用率を向上させるために、コンピュータ上で大規模に使用されています。
ビットコインの誕生とともに大きな注目を集めたブロックチェーンの技術は、その後”3つの段階”を経験した上で、現在は『ブロックチェーン3.0の時代』に突入しています。
仮想通貨誕生後の『3つの時代』
第一段階は、仮想通貨ビットコイン(BTC)の誕生から始まりました。
当時のブロックチェーン技術は様々な通貨の取引に簡単なテクニカルサポートを提供していました。この時から仮想通貨やブロックチェーンの技術は一部で大きな注目を集めており『ビットコインの時代』として徐々にその注目度を高めてきました。
第二段階では、新しく誕生したイーサリアム(ETH)やその大きな特徴であるスマートコントラクトを備えたイーサリアム仮想マシン(Ethereum Virtual Machine/EVM)が注目を集め、『イーサリアムの時代』を迎えました。
第三段階となる現在では、多数の実用的な分散型アプリケーション(Dapp)が登場しましたが、それと同時に大規模な実証実験を行うための仮想マシンが必要とされています。
ブロックチェーン3.0時代における「仮想マシン」の重要性
Dappがパブリックチェーン上で正常に動作するためには、まず開発者が「仮想マシン」でテストを行わなければなりません。
仮想マシン上でのテストが”適切”に行われることによって、全ての人が様々な端末で利用することができるDappsが完成します。テストを行うための「仮想マシン」が不完全なものであれば、その上で構築されるアプリケーションも当然『不完全なもの』になります。
このようなことから、仮想マシンは「スマートコントラクト」のシステムを実現するための”最も重要な中核技術“であり、各ブロックチェーンプロジェクトが一番研究したい対象であることがわかります。
「仮想マシン」は、Dappを実際にパブリックチェーンに実装するために特に重要なステップの一つであり、ブロックチェーンを大規模なビジネスシーンに応用するために必須となる工程の一つでもあります。
トロン仮想マシン(TVM)はなぜ注目されるのか?
では一体なぜトロン(TRON/TRX)の仮想マシン(TVM)が注目されるのでしょうか?
その理由を理解するためには「チューリング完全」について考えることが重要となります。
「チューリング完全」の実現
現在の仮想マシン開発では、どんな処理でも実行することができる『チューリング完全』こそが重要な目標の一つとなります。
仮想マシンが「チューリング完全」を実現した際には、原則として『何かしらの一般的な問題を解決している』ということになります。
ビットコイン(BTC)の場合は、軽量であり、透明性が高く、優れた性能を備えているといった、様々な特徴が高く評価されました。
イーサリアム(ETH)の場合は、「ワールドコンピュータ」とも呼ばれる「イーサリアム仮想マシン(EVM)」が高い評価を受けるとともに、世界中で利用され、多くの新しいプロジェクトに多大なる貢献をしたことなどから「チューリング完全」を実現した仮想マシンと言われるようになりました。
しかし、EVMには完全なシステムアーキテクチャが備わる一方で、そのアーキテクチャが原因となって設計と実行にいくつかの問題が生まれることも指摘されています。
イーサリアムが抱える問題点を指摘している専門家は徐々に増えており、現時点でも『イーサリアム・キラー』と呼ばれる複数の仮想通貨プロジェクトが複数存在しています。
TRONの仮想マシンである「TRON Virtual Machine(TVM)」もその一つであり、そのような“従来の仮想マシン”の問題点を解決した、より理想的な『仮想マシン』の実現に向けて誕生しました。
イーサリアム(Ethereum)の問題点
イーサリアムの大きな問題として挙げられるものの一つにはGAS(ガス)消費が多すぎることがあります。その主な原因は、EVMの「stack」というアーキテクチャにあります。
「stack」はEVMで唯一自由にデータを保存できるエリアであり、それ以外のエリアではすべてGASを支払う必要があります。
イーサリアムのGASに関する問題は、イーサリアムコミュニティの間でも頻繁に取り上げられており、『イーサリアムの取引を確認するだけでも多くの費用がかかる』といった問題点を指摘する意見も出ていたため、これまでにもいくつかの解決策が提案されています。
TRON仮想マシン(TVM)は、これらの様々な問題点を幅広く解決できることが期待されており、実際に優れた機能性などが豊富に備わっているため、大きな注目を集めています。
TRON仮想マシンが解決する問題点とその特徴
「帯域幅」という概念
『TRON仮想マシン』における革新的な特徴の一つとなるのが「帯域幅(bandwidth)」という概念の導入です。
TRONはイーサリアムのGAS消費を改善することに挑戦しているため、TRONシステム内での送金やスマートコントラクトは無料で使用することができるようになっています。これにより開発者のコストを大幅に削減することができます。
人気のプログラミング言語「Java」の適用
TRONが解決した2番目の問題は、人気のプログラミング言語の適用です。
イーサリアム仮想マシン(EVM)のプログラミング言語は、EVMに特化したSolidity(ソリディティ)のみとなっています。イーサリアムは対応しているプログラミング言語が不足しているため、アプリケーション開発者にとって不便で使いづらいものでもありました。
TRON仮想マシン(TVM)では、プログラマーの入門言語とも言われる「Java」を開発言語として採用しています。またイーサリアム仮想マシンとの互換性があるということも大きな特徴の一つです。
これにより、TRONのプラットフォームを利用する開発者たちは、実際にアプリケーションやスマートコントラクトを実装する際に新しい言語を学ぶ必要がなくなるため、勉強のために余計な労力をかける必要がなくなります。
より多くのプログラミング言語への対応
開発に使用できるプログラミング言語の数や種類はパブリックチェーン上に構築される「Dapp」の量に大きく左右します。
「Android」のシステムと「BlackBerry」のシステムを比較するとわかるように、一般的に広く認知されている「Android」の方が圧倒的にユーザー数も多く、豊富なサービスが提供されています。
今後TRONは、より多くの高級言語を導入し、ユーザーによるDapp開発を更に便利にします。
あらゆる機能面での徹底した改善
TRON仮想マシンでは『開発コストの改善』や『多言語のサポート』だけでなく、デバッグツールの改善などにも徹底的に取り組むことによって、あらゆる機能面での効率もさらに向上します。
より専門的な分野に関しては、即時コンパイルの速度を上げ、「WebAssembly」をインテグレートしてコードの解析と実行を迅速にし、将来的にはさらに多くの複雑な業務で求められる高性能で高スループットの需要も満たせることも期待されています。
拡大を続けるTRONのネットワーク
2018年8月現在、TRONのDappを利用するユーザー数は1億人近くにも登っており、最近の「BitTorrent(ビットトレント)」買収や絶えず結ばれている戦略連携の影響もあるため、パブリックチェーンでのユーザー数は今後も持続的に増加していくことが予想されています。
トロン仮想マシン(TRON Virtual Machine/TVM)のリリースはユーザーの将来の開発権益を守ります。TRONは、TVMのデザインコンセプトとなっている「軽量・安全・互換可能・フレンドリー」の文字通りにDapp開発者に良好な開発環境を提供することを誓っています。
メインネットの公開から仮想マシンのローンチまで、TRONは常に最前線で活躍しています。
それにもかかわらず、ジャスティン・サン氏の野望は更に大きいようです。
彼は「より多くの場面で、更にオープンで透明性に優れたより効率的なネットワークを構築したい」と述べています。
トロン仮想マシン(TRON Virtual Machine/TVM)のローンチは、彼にとって今後の壮大なビジョンの実現に向けた『最初の1ページ』であるようにも感じられます。
TVMのローンチイベントのライブ配信は以下のYouTube上で2018年8月30日の10時30分(日本時間)から放送されます。
Justin Sun(ジャスティン・サン/孫宇晨)
孫宇晨(Justin Sun/ジャスティン・サン)
1990年生まれ、ペンシルベニア大学修士、北京大学学士
元リップル(Ripple)中華圏の首席全権代表者でありながら、トロン(Tron)の創始者であり、モバイルアプリ「陪我(peiwo)」の創始者兼CEOでもあります。
2011年:週刊アジアのカバー人物
2014年:世界経済フォーラムの世界傑出青年
2015年:CNTV中国インターネット年度最新鋭人物
2017年:フォーブス誌「アジアの30歳以下の創始者30名」に登録
2015-2017年:フォーブス誌「中国30名の30歳以下の創始者」に登録
湖畔大学(ジャック・マーが創立した大学)の第一期の生徒になり、生徒たちの中で唯一の90年代生まれの創業者
ジャスティン・サン氏も広東省広州市番禺区人民政治協商会議(議会相当)の委員