いよいよビットコインのブロックサイズ問題が最終段階へ入ってまいりましたね。
今回の Segwit2x ハードフォークが行われると、今まで使っていたビットコインのブロックチェーンではなく、全く別の新しいブロックチェーンが誕生してしまいます。
今回の Segwit2x ですが、「ブロックサイズ問題」を解決すつために「 Segwit 」の応急処置的な意味で行われましたが、
もともとビットコインコアの研究者は反対しており、多くの関係者も Segwit2x に対して、反対派が増加しています。
今回は、佳境に入った「 Segwit2x 」のハードフォーク問題を振り返りながら、ハードフォークが行われたとして、ビットコイン市場がどのような状況に陥るのか、レポートしていきたいと思います。
Segwit2x の仕組みや歴史
そもそも、何故ビットコインは Segwit2xを行なおうとしているのかというと、前々から問題になっていた「スケーラビリティ問題」があるからです。
スケーラビリティ問題とは、ビットコインの抱える「取引処理の遅さの問題」です。
現在、ビットコインの取引が多くなってきているので、取引データを格納するブロックが小さくなり過ぎています。
その影響で、取引の遅延や手数料の高騰が問題視されています。
これがビットコインが抱えるスケーラビリティ問題です。
このスケーラビリティ問題を改善しようと提案されたのが「 Segwit(セグウィット)」と「 Bigblock(ビッグブロック)」です。
SegwitとBigblockについて
Segwitは、ブロックチェーンの 1つのブロックに入る取引量を圧縮してしまおうというアップデートです。ブロックのサイズはそのままで、取引処理を効率化する為にブロックの中に入る取引量を圧縮します。
Segwitに関しては、2017年8月に既に実装されています。
そして今回、実装しようとしているのがビッグブロックの方( Segwit2x )になります。
ビットコインの 1MBのブロックサイズを倍の 2MBに換えてしまおうというものです。
ただし、ビッグブロックのアップデートを行うと前のブロックチェーンと互換性が無くなってしまい(ハードフォーク)、ビットコインを2つに分裂させてしまう大きなデメリットがあります。
このためビットコインコア派はビッグブロックを反対して、Segwitのみを実装したいといってました。
しかし、ビックブロック派は Segwit ではなく、あくまでブロックサイズを大きくするアップデートを推奨ししていました。
よって、両者の意見は折り合いがつかなくなったので、もうこの際どちらも実装してしまおうと決まったのがニューヨーク合意で決められた「 Segwit2x 」です。
そうつまり…
「 Segwit2x とは、完全なる妥協案です。」
どちらの意見も完全には取り入れきれず、Segwitと Segwit2x はまた別物になります。
つまり、現在のビットコインとは、全く別の「ビットコインB2X」が新たに生み出されます。
Segwit 自体は既に実装されているので、後はブロックサイズの変更を行うとSegwit2x が完全に実行されます。
このブロックサイズの変更(ハードフォーク)される時期が「 2017年11月19日」予定となっています。
Segwit2x 派の思惑
ビットコインコア派が、Segwitを推し進めるのはビットコインの機能が上昇する点にあります。
Segwit を導入するとビットコインの機能性は、より向上します。
ビッグブロックではなくSegwit という技術で解決を試みたところがポイントで、既存のブロックチェーンをそのまま使えるので、特に問題なくビットコインを改良することが出来ます。
それに対して Segwit2x派が、ビッグブロックを推奨するのは、ビットコインの機能上昇の為だけではなく、また別の思惑があると考えられています。
そもそも、Segwit2x派は「マイナーを中心とした組織」です。
Segwit2x派がビッグブロックを進めたい理由にはマイニング報酬量の増大やビットコインの実権掌握などの理由があります。
ブロックサイズが大きくなればマイニング報酬が多く手に入るようになります。
マイナーにしてみれば少しでも多くマイニング報酬がほしいので、これに関してはもっともな理由であります。
しかし問題は、ビットコインの実権掌握の方にあります。
Segwit2x派はビットコインを自分達の物にしたいのかもしれません。
何故ならばただ単に大きなブロックサイズの方が良いとするのであれば、既にビットコイン仕様でビッグブロックが成立している「ビットコインキャッシュ」があるのでそちらをマイニングすればいいのですが、彼らはそうはしません。
ビットコインの実験を握りたい思惑
そうしないという理由は、ビットコインの実権を握りビットコインを自分達の意のままにしたいという思惑があると推測されます。
Segwit2x のリプレイアタック保護に関してもその思惑が強く透けて見えます。
ビットコインB2Xが誕生する際に生じる最も大きな問題が「リプレイアタック」です。
ビットコインB2Xにも、もちろんリプレイアタック保護は装備されるのですが、何故か完璧なものではありません。
Segwit2x のリプレイアタック保護は「オプトイン」と言われ、リプレイアタックを防ぐために、下記のビットコインアドレスに送金し、ビットコインのアドレスを取引所と紐付けする必要があります。
3Bit1xA4apyzgmFNT2k8Pvnd6zb6TnwcTi
(注:現状ではSegwit2xはどうなるかが分からない状態です。
今のところ上記のアドレスにBTCを送っても Segwit2x がなくなれば何も意味がない送金になってしまいます。(公式の正式な発表に従ってください)
つまり、リプレイアタックの対策をビットコイン所有者自身がが行わないと、リプレイアタックが可能になってしまう仕組みになっているのです。
間違いなくツーザー間での誤送信が出てくることも考えられます。
また、Segwit2x には取引所やウォレットサービスが賛同しているので、その事業者もリプレイアタック保護を実装せずにいれば、ビットコインとビットコインB2Xがいつの間にかすり「替わってしまい」自然とビットコイン所有者もビットコインB2Xを「本家の」ビットコインとして利用するようになる可能性があります
なので、Segwit2xのリプレイアタックはかなり問題が山積みです。
ちなみにビットコインが8月に分裂したビットコインキャッシュではこのようなオプトインではなく完璧なリプレイ保護が実装されました。
このような完璧なリプレイアタック保護を実装しないのはSegwit2xを「本家の」ビットコインとする狙いやビッグブロックを認めないビットコインコア開発者を排除する為だと言われています。
Segwit2x ハードフォークで何が起こるのか?
Segwit2x が与える市場に与える影響ですが、ビットコインキャッシュの時と同じように、発言力がある各取引所の発表等によって、ビットコインの価格は一時的に大きく下落後、上昇するように思えます。
ただし、ビットコインの相場はビットコインB2Xだけの問題だけではなく、複合的な問題で相場が動きますので、実際にどうなるかはハードフォークしてみなければ分からないというのが正直なところです。
本来ならば、不必要なハードフォークの揉め事で、ビットコインに対する悪印象が根付いてしまうことは、最大限避けるべきなのですが、これらの市場の一時的な動きは、
「マイニング報酬量の増大」や「ビットコインの実権掌握」を握れるということに比べ、あまりに小さな問題すぎます。
Segwit2x派が目先の利益に執着しすぎて、ビットコイン、ひいては仮想通貨そのものの価値が大暴落するような事が無い事を祈るばかりです。
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