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米SEC:未登録証券販売の疑いで「NFT関連企業」を初告発|内部からの反対意見も

投資家へのNFT販売方法などを問題視

米国証券取引委員会(SEC)は2023年8月28日に「Founder’s Keys」と呼ばれるNFTを販売していたロサンゼルスのメディア・エンターテイメント企業「Impact Theory」を未登録証券を販売した疑いで告発したことを発表しました。

米SECはこれまでにも複数の暗号資産関連企業を告発していましたが、NFTプロジェクトが未登録証券販売の容疑で告発されるのは今回が初となります。

公式発表によると、Impact Theoryは2021年10月〜12月にかけてNFTを数百人の投資家に販売し、合計約3,000万ドル(約44億円)を調達したとされています。

SECは、Impact TheoryがNFT販売時に「Founder’s Keysの購入はビジネスへの投資とみなされるべき」として、同社が成功した際にNFT購入者が利益を得られると主張していたことを問題視しています。

具体的には「Impact Theoryは次のディズニーを築こうとしていて、これが成功すればNFT購入者に大きな価値がもたらされる」といった内容の宣伝が行われていたとのことで、このようなことからFounder’s Keysは証券に該当すると判断されています。

Impact Theoryは罰金支払いなどに同意

米SECは今回の発表で「Impact Theoryは米SECの調査結果を認めも否定もせずに、総額約610万ドル(約9億円)以上の不当利得・判決前利息・民事罰金を支払うことに同意した」とも報告しています。

米SECの命令には「NFT購入者が支払った資金を返還するための基金を設立すること」も定められているとのことで、Impact Theoryは以下のようなことにも同意したと説明されています。

米SEC内部からの反対意見も

米SECがNFTに対して初の法的執行措置をとったことによって、今後はその他のNFTプロジェクトも提訴される可能性があると懸念されていますが、今回の判断に対してはSEC内部からも反対意見が出ています。

反対意見の声明を出したのは「クリプト・ママ」として知られるヘスター・パース委員とマーク・ウエダ委員で『今回の事案は、SECが新たなNFT訴訟を起こす前に取り組むべき大きな問題を提起している』と指摘されています。

パース委員らは「Impact Theoryが誇大広告で資金調達していたこと」に対しては同様に懸念を抱いているとのことですが、「この懸念は米SECの管轄に今回の問題を持ち込む十分な根拠にはならない」とも述べています。

また「命令で引用された企業やNFT購入者の発言は、投資契約を形成する種類の約束ではない」とも説明、「時計や絵画などの収集品でもブランドの人気が高まることによって再販価値が高まる場合があるが、SECがそのようなケースで訴訟を起こすことはない」と指摘しています。

パース委員らは「今回の件はNFTに関する初めてのものであるため、この強制措置は多くの難しい問題を提起している」と述べており、「委員会はNFTが普及し始めた当初にガイダンスを提供すべきだった」ともコメントしています。

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