仮想通貨の税率変更に関する議論の中で、”仮想通貨の取引で得た利益を現在の「雑所得」から「申告分離課税」に変更すべき”という要望に対して、麻生太郎財務相は「国民の理解が得られるか疑問である」との意見を述べています。
「雑所得」から「申告分離課税」に
麻生太郎財務相は25日午後に開かれた参院予算委員会で、『日本維新の会』の藤巻健史議員からの「仮想通貨の取引で得た利益を現在の”雑所得”から”申告分離課税”に変更すべき」という要望に対して、複数の理由を挙げて慎重な見解を示しています。
日本政府が『仮想通貨で得た利益を雑所得として課税する』と宣言して以来、多くの業界関係者がこの税制を批判してきました。1万人を超える人々が税制の変更を求める申請書に署名し、国税庁が仮想通貨の利益を株式のように課税するように要請しました。
しかし麻生財務相は、仮想通貨の位置づけが国際的にも不透明なことや、税の公平性などの観点から、税率が一律20%程度となる分離課税とすることに「国民の理解が得られるのか」と疑問を呈しています。
ブロックチェーンの活用法
また、ブロックチェーン技術を育成していくことの必要性を指摘しながらも、「ブロックチェーンは仮想通貨以外の分野にも利用することができる」ことを挙げ、「技術を育成していくために、仮想通貨の購入や利用を後押しする必要があるのか、など様々な問題がある」と説明しました。
この回答に対して、経済評論家でもある藤巻健史議員は「国民の反対があっても将来の日本に必要な決断をするのが政治家の役割。分離課税は不可欠」とコメントしています。
仮想通貨所得税率45%から19%へ|フランス
海外では仮想通貨の税率引き下げも行われています。
フランスでは今年の4月に、仮想通貨所得税率が45%から19%へと引き下げられています。同国では社会保障関係負担として17.2%が課税されるため、実質的には最高税率は62.2%から36.2%となっています。
フランスにおける仮想通貨の収益は、工業的、商業的利益とされていたため、所得税率でも最高となる45%が課されていましたが、フランスの最高裁及び評議会が、仮想通貨の収益を「動かせる財産」として決定したことから、19%へと引き下げることが決定しました。
日本国内で税率の引き下げが行われるにはまだまだ壁が多いようですが、藤巻健史議員は仮想通貨を肯定しており、税率引き下げのための活動を行なっています。