ビットコインのハードフォークが行われることがほぼ確定し、いよいよ実行まで秒読み段階となってきた。
ハードフォーク後のビットコインは、Bitcoin core と Bitcoin Unlimited の 2種類の通貨に別れることになる。
両通貨ともビットコインと名前がついているが、全く別の通貨になり、当然価格もシステムも全く別物になる。
現段階ではハードフォーク後には、価格が下がる可能性が非常に高いが、その理由についても追記していきたい。
それでは現在、ビットコイン市場ではこの話題にかなり敏感になっているが、なぜここまで敏感になっているのか、なぜわざわざ 2つのビットコインに分ける必要があるのか順番にお話していきたいと思う。
そもそもハードフォークとは?
ハードフォークとは、もともとソフトウェア専門用語として使われている言葉で「互換性のないアップデート」を意味する。
ハードフォーク実行前と後では、それぞれ別のシステムになり、異なった 2つのシステムが存在することになる。
これがビットコインで行われた場合、誕生以来 1つに繋がり続けたブロックチェーンが分岐することになり、今までと全く別のブロックチェーンの連鎖が誕生し、通貨が もう 1つ増えることになる。
ハードフォークのどこが問題なのか?
全く別の通貨になってしまうというとは「ルールが変わる」ということである。
例えば、ビットコインは発行量が 2100万BTCと決まっていて、半減期などのルールが存在するが、新しい通貨となればこのようなルールは一切無視されてしまう。
また別の通貨ということは「今持っている通貨はどのように扱われるのか?」という問題も上がってくる。
ハードフォークの前と後では互換性のない別通貨になるので、今ビットコインを持っているユーザーの立場としては「ちゃんと換金できるのか?」などの心配も出てくる。
幸い、先日「取引所連盟によるビットコインの取り扱い方針」が確定したことで、この懸念は払拭されたが、このような問題がハードフォーク時には必ず付きまとう。
だからこそ、ユーザーの間でビットコインのハードフォーク問題として騒がれているのである。
なぜハードフォークをする必要があるのか?
そもそも、なぜ価値を下げるようなリスクを取ってまでハードフォークをする必要があるのか?
その原因は「スケーラビリティ問題」が関係している。
ビットコインには過去数年間にわたってスケーラビリティ問題という「取引回数の限界値」に関する議論が交わされてきた。
ビットコインはそのシステムの構造上、1秒に 7件、1日に 60万件ほどの取引しか処理ができない。
VISA などの大手カード会社は、1日に 50億件の取引まで処理できると言われており、ビットコインはその 1000分の1しか処理できない計算になる。
特にこの 1.2年は、ユーザー数の増加と共に取引回数が右肩上がりに増加している。
このスケーラビリティ問題を放置しておけば、取引が反映されない。送金できないなどの問題が起き、最終的にはビットコインシステムの崩壊すらもある。
先の暴落時には「送金ができない」などの問題も実際に起きている。
Bitcoin core と Bitcoin Unlimited
このスケーラビリティ問題の解決方法として候補に上がったのが「 Bitcoin core 」と「 Bitcoin Unlimited」である。
Bitcoin core はビットコイン開発チームが提案した解決方法であり、「 segwite(セグウィット)」というシステムを導入している。
この segwite は、取引データを焼く半分に圧縮することで、取引量を単純に倍に増加する方法である。
当然、処理できる取引回数を倍にしたところで一時的な対策にしかならないので、「ブロックサイズの増加」や「他の決済システムとの連携が可能」などのシステムも導入している。
それに対して Bitcoin Unlimited は単純に「ブロックサイズを増加する」ことでスケーラビリティ問題の解決方法としている。発案者は Antpool (世界最大のマイナー企業)で、その豊富なマイニング資源を元に今回のハードフォーク論争に参加してきた。
現在、Bitcoin Unlimited にはバグが多く発見されており、各取引所はハグなどの問題を解決しない限りは取り扱わない方針を出している。
どちらの方針にしても、問題を全て解決できている状態ではないので、一概にどれが最適な解決方法とは言えないのもこのハードフォーク問題の難しいところである。
ビットコインハードフォーク後の価格は下がるのか?
ここ数日、Bitcoin core と Bitcoin Unlimited のハードフォークの話題が拡散し、ハードフォークがほぼ確定したことは間違いないと考えられる。
この話題において、多くのビットコイン投資家が気になっていることといえば、
「ハードフォーク後に価格はどうなるか?」
という問題だと思うが、結論からお話しするとハードフォーク後の価格は下落する可能性が非常に高い。
単純に、「2つの通貨に別れたから価格は半分」ということにはならないが、1つだった通貨を分離し支持者を分けることになるので、現在のビットコイン価格より下がるのは仕方ないだろう。
イーサリアムがハードフォークした時にも市場が混乱し、価格は下落したことからも相場に少なからず影響が出るのは当然のことだ。
しかし、イーサリアムの時と異なるのは「計画的に」ハードフォークが行われている点においては、ある程度ユーザーのことを視野に入れている。
今の所 Bitcoin Unlimited はリリース前には必ず前もって公表することをオフィシャルサイトで公開しているので、大きな混乱は起きないだろう。
ハードフォーク前の対策
どちらにしても、ハードフォーク前と後では市場が同様し価格は下落傾向になる可能性が高い。
これは前もってビットコインを自国通貨に換金する流れから、下落した相場価格を見てさらに売りが入る可能性が高いからだ。
ただ、「下がった時が買い」という方針で動くトレーダーもいるので「下落の幅」や「上昇への転換点」などはハードフォークが起きてみないと誰にも予想はできない。
以上を踏まえた上で、何らかの自分自身のハードフォーク対策を行っておいて損はないはずだ。
追記
ハードフォーク問題に関する新しい更新がありますのでこちらもご覧ください。
→「ビットコインのハードフォークはいつ起きるのか?」