令和7年度の税制改正大綱に「暗号資産取引の課税見直し」
2024年12月20日に承認された自民党の2025年度税制改正大綱に「暗号資産取引の課税見直し」に関する内容が盛り込まれたことが明らかになりました。
税制改正大綱とは、毎年12月に発表される翌年度以降の税制改正の基本方針や内容を記した文書であり、この内容を軸にして翌年の通常国会で具体的な法案が審議されるため、税制改正において特に注目されるものの1つとなっています。
日本の税制は、暗号資産取引で得られた利益に15%~55%(住民税10%を含む)の税金が課される他、暗号資産を相続した場合には相続時と売却時に発生する課税で最大110%の税金が課される仕組みになっているため、仮想通貨業界では「早急な税制改正」を求める意見が非常に多くあがっていました。
2025年度の税制改正大綱に「暗号資産の税制改正」に関する内容が含まれなかった場合には、税制改正が2026年以降まで先延ばしされる可能性があったため、今回の大綱発表には注目が集まっていましたが、今回承認された2025年度の税制改正大綱には以下のような内容が記されています。
暗号資産取引に係る課税については、一定の暗号資産を広く国民の資産形成に資する金融商品として業法の中で位置づけ、上場株式等をはじめとした課税の特例が設けられている他の金融商品と同等の投資家保護のための説明義務や適合性等の規制などの必要な法整備をするとともに、取引業者等による取引内容の税務当局への報告義務の軽備等をすることを前提に、その見直しを検討する。
具体的な税制改正の内容などにも注目
今回公開された資料の中には具体的な税制改正の内容までは記載されておらず、その内容も「見直しを検討する」というものになっているため、現在は「検討だけで実現はしないのではないか」と指摘する意見も多数出ていますが、“税制改正大綱に暗号資産の内容が盛り込まれた”という事実は、税制改正に向けた重要な一歩だと捉えられています。
これによって、2025年は暗号資産の税金に関する様々な見直しが実施され、具体的な改正案なども示されていくことになると予想されるため、今後の続報や詳細発表には注目が集まっています。
なお、これまでには複数の業界団体などから以下のような税制改正要望が出されていたため、今後はこのような複数の点について議論が行われていくことになると予想されます。
- 暗号資産取引で生じる利益を申告分離課税(一律20%)の対象とすべき
- 暗号資産取引で生じる損失の繰越控除(3年間)を認めるべき
- 暗号資産デリバティブ取引についても、申告分離課税を認めるべき
- 暗号資産取引で生じる損益への課税は保有する暗号資産を法定通貨に交換する際に一括で実施すべき
- 相続した暗号資産の課税のあり方を見直すべき
- 暗号資産を寄附した際の税制を整備すべき
特に活発に議論されているものとしては「申告分離課税の適用」や「3年間の繰越控除」が挙げられますが、「仮想通貨同士の交換を課税対象外とすること」や「相続に関する税制の見直し」なども非常に重要なものであるため、そのような点も踏まえて税制改正が行われるかにも注目したいところです。
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Souce:令和7年度税制改正大綱
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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