仮想通貨(暗号資産)の売買や取引、ステーキングなどで利益が出た場合は、適切に損益を計算して確定申告を行い、税金を納める義務があります。
仮想通貨の税金や確定申告に関する正しい知識は、初心者から中級者の投資家にとっても非常に重要です。
この記事では、確定申告の時期(受付期間)や仮想通貨に関する税金の基本、よくある疑問点、節税の方法、さらには脱税リスクまで分かりやすく解説します。
仮想通貨の税務処理について正しい理解を深め、適切に対応できるようにぜひ最後までお読みください。
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確定申告の受付期間はいつからいつまで?
2025年(令和7年)提出分の確定申告期間は、2025年2月17日(月)〜2025年3月17日(月)までとなります。
仮想通貨取引(暗号資産の売買やステーキングなど)によって前年に一定の利益を得た場合は、1年間(1月1日~12月31日)の損益を計算した上で、この期間内に確定申告と納税を行う必要があります。対象となる方は、期限ギリギリにならないよう早めに準備を進めましょう。
確定申告の方法には主に以下の2つがあります:
- e-Taxによるオンライン申告(自宅のパソコンやスマホから提出)
- 税務署や特設会場での申告(紙の申告書を提出)
e-Taxを利用すれば自宅から手続きできますが、マイナンバーカードなどの準備が必要です。一方、税務署等の確定申告会場は期限が近づくにつれて混雑するため、会場で申告する場合は早めに行動することをおすすめします。特に内容が複雑な場合や不明点がある場合は、十分な時間的余裕を持って対応することが大切です。
確定申告会場の詳細情報や、確定申告書の作成に関する情報は、以下の国税庁のウェブサイトで確認できます:
・確定申告会場に関する情報(国税庁)
・確定申告書の作成はこちら(国税庁)
仮想通貨取引による損益計算を効率化したい場合、専門のサポートサービスを利用するのも一つの方法です。
例えば「CoinTax(コインタックス)」のような暗号資産向け損益計算サービスを活用すると、取引履歴から自動で損益を算出してくれるため、確定申告の準備をスムーズに進められます(詳しくは後述の「確定申告に役立つサービス」参照)。
取引所から発行される年間取引報告書を入手しておくことも忘れずに。取引所別の年間取引報告書のダウンロード方法については【仮想通貨の確定申告で必要な「年間取引報告書」のダウンロード方法【取引所別まとめ】】も参考にしてください。
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仮想通貨の税金に関する知識
ここからは、仮想通貨に関わる税金の基本知識や確定申告のポイントについて、Q&A形式で解説します。
仮想通貨の利益に対する課税方法や確定申告が必要かどうかの判断基準、エアドロップや損失の扱い、節税のアイデア、国税庁が公開している参考資料、そして便利なサポートサービスまで幅広く紹介します。
投資家の皆さんが適切に税務対応を行い、不要なトラブルを避けられるように役立つ情報をまとめました。なお、個々の事情によって税務上の扱いが異なる場合もありますので、複雑なケースや不明点がある場合は税理士など専門家に相談することも検討してください。
仮想通貨の取引で発生する税金は?
まず、仮想通貨取引で利益が出た場合にどのような税金がかかるのかを確認しましょう。
日本では仮想通貨の利益は基本的に「雑所得」として扱われ、他の所得と合算して総合課税(累進課税)されます。会社員など給与所得がある人の場合、年間(1月1日~12月31日)の仮想通貨による利益額が20万円を超えると、翌年の確定申告(その年の2月中旬~3月中旬)が必要になります(扶養されている主婦や学生などの場合は33万円以上で申告が必要とされています)。
例えば2024年中の仮想通貨利益の合計が20万円を超えた場合、2025年2月17日~3月17日の間に確定申告を行う必要がある、という具合です。 注意したいのは、「仮想通貨の利益」といっても単に仮想通貨を日本円に換金した場合だけではないことです。
仮想通貨を使ったあらゆる経済活動で利益が生じた時点で課税対象となります。具体的には、以下のようなケースも雑所得の利益としてカウントされます:
- 仮想通貨を売却して日本円に換えたときに利益が出た場合
- 仮想通貨で商品やサービスを購入したとき、その支払いに使った仮想通貨が購入時より値上がりしていた場合
- 保有している仮想通貨を他の仮想通貨に交換したときに含み益が実現した場合
たとえば、仮想通貨Aを仮想通貨Bに交換した際に価格差で得をした場合や、ビットコイン(BTC)で商品を買った際に支払いに使ったビットコインが取得時より値上がりしていれば、その分も利益(所得)とみなされます。
一方、仮想通貨の売買で損失が出た場合、その年に関しては仮想通貨取引による税金は発生しないため基本的に確定申告は不要です(税金を納める義務がないため)。
しかし、仮想通貨で出た損失について他の所得と相殺することはできないなどの制約がある点にも注意が必要です。株式やFXのように損益通算や損失の繰越控除は現行制度では認められていません。
例えば、仮想通貨取引で100万円の損失が出ても、それを給与所得や株の利益と相殺して税金を減らすことはできないということです(※2025年現在の税制では個人の暗号資産損失は繰越控除不可)。
また、仮想通貨の取引履歴や損益計算の記録をきちんと残しておくことも重要です。
後日税務署から取引内容の確認を求められた際に備えて、各取引所からダウンロードできる取引履歴データや、自分で作成した損益計算シートなどは最低5年間は保管しておきましょう。証拠となる資料を保存しておくことで、いざというときに慌てずに対応できます。
利益20万円以下でも確定申告が必要なケース
「仮想通貨の所得が20万円以下なら申告不要」と言われることがありますが、20万円以下でも確定申告が必要になるケースがあります。
仮想通貨取引での利益がわずかでも、他の状況によっては申告義務が生じる場合があるため注意しましょう。主なケースは次のとおりです:
- 副業収入がある場合
仮想通貨以外の副業(アルバイトやフリーランス収入など)があり、その副業所得と仮想通貨所得を合計すると20万円を超える場合には確定申告が必要です。 - 医療費控除を受ける場合
1年間に多額の医療費を支払い、医療費控除の適用を受ける場合は、仮想通貨の利益が20万円以下でも確定申告自体を行う必要があります(医療費控除を受けるために申告が必要)。 - 年収2,000万円超の給与所得者の場合
給与収入が2,000万円を超えるサラリーマンなどは年末調整されませんので、本来は仮想通貨の利益が少額でも確定申告義務があります(給与以外の所得が20万円以下でも申告不要特例の対象外となります)。 - 法人経営者・個人事業主の場合
事業所得がある人(自営業者や法人経営者)は、事業の確定申告で仮想通貨の利益も含める必要があります。事業としてではなく個人の雑所得扱いであっても、原則として所得があれば金額に関わらず申告が必要です。
これらの状況に該当する可能性がある場合は、早めに税理士や税務署(国税庁)に相談してみましょう。専門家のアドバイスを受ければ、自分が確定申告すべきかどうか正確に判断できます。
必要な場合に漏れなく申告・納税することで、後から思わぬペナルティを受けたりトラブルになることを防げます。
エアドロップ分にも税金はかかる?
仮想通貨の世界では「エアドロップ」と呼ばれる、暗号資産を無料配布するイベントがあります。
エアドロップで仮想通貨を受け取った場合、その受け取ったコインに対する税金の扱いは受取時点での価値によって異なります。大きく分けて、受取時点で「価値がない場合」と「価値がある場合」の2つのシcenarioが考えられます。
- 受取時点で価値がほとんどない場合
配布直後のコインに市場価値がない(またはごく僅か)場合、その時点では所得が発生したとはみなされず、課税対象にはならないと考えられています。 - 受取時点で価値がある場合
エアドロップで受け取ったコインに市場価格がついている場合、その受け取った時点でその金額相当の所得が発生したとみなされ、課税対象となる可能性があります。例えばエアドロップ時に1コイン=100円の価値があるトークンを10コイン受け取れば、その時点で1,000円の雑所得を得たと考えるわけです。
そのため、エアドロップで仮想通貨を受け取った際にはまずその時点での価値を確認し、必要に応じてその分の所得を計上できるよう準備しておくことが重要です。
また、一度受け取った際に非課税(価値ゼロ)だった場合でも、後日そのコインを売却・交換・使用した時点で利益が出れば課税対象となります。エアドロップで手に入れた資産も、最終的には他の仮想通貨と同様に扱われる点に注意しましょう。
エアドロップによる所得の扱いはやや複雑でケースバイケースです。曖昧な場合は税理士など専門家に相談したり、国税庁が示しているガイドラインを確認することをおすすめします。
早めに疑問点を解消し適切に申告しておくことで、後になってから税務上のトラブルになるリスクを減らせます。
確定申告・納税が遅れるとどうなる?
仮想通貨に限らず、確定申告や納税の期限を過ぎてしまった場合には、遅延に対するペナルティが科される可能性があります。代表的なものが「延滞税」と「加算税」です。
これらは期限に遅れた場合だけでなく、申告内容に不備があったり意図的に所得を過少申告した場合などにも課される罰則で、具体的には以下のような種類があります:
- 延滞税
納付が遅れた日数に応じて課される「利息」のようなもの。本来納めるべき税金に対し、遅れた期間に応じ一定の割合で加算されます。 - 過少申告加算税
本来より少ない金額で申告した(後から追加の税金を指摘された)場合に課されるペナルティ。申告漏れがあった際に追加徴収されます。 - 無申告加算税
期限までに申告をしなかった場合に課されるペナルティ。税額に応じて一定割合が上乗せされます。 - 不納付加算税
申告はしたものの納税を行わなかった場合に課されるもの。こちらも未納額に対し一定割合が科されます。 - 重加算税
悪質な隠蔽や虚偽の申告を行った場合に課される最も重いペナルティ。35%~40%もの高率で追徴課税される場合があります(過少申告や無申告に対する加算税にさらに上乗せ)。
このように税金の申告に遅れや誤りがあると追加の税負担が発生します。
たとえ悪意のないケアレスミスでも加算税の対象になることがありますので、確定申告時は細心の注意を払いましょう。特に仮想通貨取引の計算は複雑になりがちですから、数字の入力ミスや計算違いがないよう十分確認することが大切です。
もし期限までに申告内容をまとめきれない場合は「期限内に可能な範囲で申告し、後日不足分を修正申告する」という方法があります。とりあえず期限までに出しておけば無申告ペナルティは避けられますし、追加の内容について後から訂正することで結果的に延滞税や加算税を減らせる可能性があります。
やむを得ず間に合わないときは税務署に相談した上でこのような対応を取るのも一つの対策です。何より重要なのは、意図的な無申告や所得隠し(脱税)を絶対にしないことです。
申告せずに放置したり、利益を得ていないように装う行為は重大な税法違反となり、発覚した場合は非常に厳しい罰則(重加算税や最悪の場合は刑事罰)が科される可能性があります。
確定申告と納税は、仮想通貨投資で得た利益も含めすべての所得に対して毎年適切に行う法的義務です。これは投資家として守るべきルールであり、将来にわたって仮想通貨を安心して楽しむためにも欠かせません。
不明な点がある場合は、一人で悩まず税理士や国税庁の相談窓口、公式サイトなど信頼できる情報源に問い合わせてみましょう。
読んでおきたい「国税庁のFAQ」
仮想通貨の税金や確定申告について疑問があるときに特に役立つのが、国税庁が公開している公式FAQです。
国税庁は『暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)』という資料をウェブサイト上で公開しており、仮想通貨に関する税金・確定申告のQ&Aが定期的に追加・更新されています。
このFAQ資料には、仮想通貨の税務に関するさまざまな質問と回答が掲載されています。たとえば「仮想通貨を売却・決済・交換したときの所得計算方法」や、「ハードフォークやマイニングで取得した暗号資産の扱い」、「相続・贈与で暗号資産を取得した場合の考え方」など、一般の投資家にも関係する幅広いトピックが網羅されています。
それぞれ具体的な例を挙げながら詳しい説明がなされているため、文章量は多いですが非常に参考になります。特に、仮想通貨取引を日常的に行っている方や、これから確定申告をしようとしている方は、一度この国税庁FAQに目を通しておくことを強くおすすめします。
自分では気づかなかった論点や見落としがちなポイントについて学ぶことができ、税務上の疑問点を解消する助けになるでしょう。公式情報なので信頼性も高く、内容も随時アップデートされているため最新の制度に対応しています。
国税庁のサイト上で公開されているこのFAQを活用して、仮想通貨に関する税金の知識を深めておきましょう。必要に応じて該当箇所を印刷したりブックマークしておくと、後で見返すこともできて便利です。
税金を減らすための節税方法
日本では仮想通貨で得た利益に対して最大45%(所得税率)+住民税10%もの税金が課される可能性があり、高い税率に悩む仮想通貨投資家も少なくありません。
しかし、事前にしっかりと節税対策を講じておけば、合法的に税負担を軽減できる余地があります。ここでは違法な「税金逃れ」ではなく、認められた範囲内で税金を最小限に抑える方法(節税)について考えましょう。
例えば、年間の利益確定のタイミングを工夫して利益の分散を図ったり、必要経費として計上できるものは漏れなく計上する、といった基本的な対策があります。また、仮想通貨に関連する書籍購入費やセミナー参加費など、条件によっては雑所得の必要経費として認められる場合もあります。
その他にも、損失が出た年はあえて利益確定せず含み益のまま翌年以降に持ち越す(翌年以降に税制が有利になる可能性に期待する)といった戦略も考えられます。
節税のポイントは「計画的に取引し、記録をきちんと残すこと」です。当サイトでは「仮想通貨取引にかかる税金を減らす7つの節税方法」という記事で具体的な節税策を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
そこでは上記のような方法の詳細や、注意すべき点などがまとめられています。自分の取引状況に合わせてどのような節税手段が有効か知ることで、無理なく税負担を減らすヒントが得られるでしょう。
ただし、節税と脱税はまったくの別物です。合法の範囲で税金を減らす工夫をすることは問題ありませんが、違法な手段で税金を免れようとすることは絶対に避けてください。
たとえば利益自体を申告しない、経費ではない私的な支出を経費と偽る、海外取引所にある資産を隠す…といった行為はすべて脱税につながります。こうした違法行為は発覚すれば重い罰則の対象となります。適切な節税方法を選び、確実に実行することが大切です。
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無価値のNFTも節税に役立つ?
近年、新しい節税の取り組みとして話題になったのが「価値が大きく下落したNFTを敢えて売却して損失を確定させる」という方法です。
例えば、マネックスクリプトバンク社は2023年11月8日に、市場で売買が困難になったNFTやNFTコントラクトを一律1円で買い取るサービスを開始しました。この「不良資産化したNFT・NFTコントラクトの買取サービス」を利用すると、本来買い手がつかないようなNFTでも1円で売却でき、その結果帳簿上は売却損(=損失)を計上できます。
生じた損失は同じ雑所得内で他の仮想通貨の利益と相殺できるため(※雑所得同士の損益通算は可能です)、納める税金を減らす効果が期待できるというわけです。
このサービスではトークン自体の移転以外はオフチェーン(取引所外)で処理されるため、マーケットへの価格影響を最小限に留められると説明されています。つまり、市場価格を変動させずに損失を出すことが可能ということです。
NFT市場の低迷で大幅に価値が下がってしまったNFTを保有している投資家にとっては、「塩漬け状態のNFTを損失に変える」有効な手段となるかもしれません。
ただし、このような手段を用いて節税を図る場合は、税務上の扱いについて必ず専門家に確認することを強くおすすめします。極端に安値で売却した場合、その評価額の妥当性について税務署から質問を受ける可能性もありますし、損失計上の仕方によっては認められないケースも考えられます。
安易に飛びつかず、税理士等のアドバイスを仰ぎながら慎重に検討しましょう。
仮想通貨の確定申告に役立つサービス
複雑な仮想通貨の損益計算や確定申告の手続きをサポートしてくれる便利なサービスも登場しています。特に取引頻度が多かったり、複数の取引所・ウォレットを利用している方は、これらのサービスを活用することで確定申告の負担を大幅に軽減できるでしょう。
ここでは日本で提供されている代表的なサービスを2つ紹介します。
- Cryptact(クリプタクト)
仮想通貨の確定申告に役立つ自動損益計算ツールです。各取引所やウォレットの取引履歴データ(CSVファイルなど)をアップロードしたり、API連携するだけで、その年の損益を自動計算してくれます。
現物取引はもちろん、先物・FX、DeFiでの取引にも対応しており、多くの銘柄や取引所に対応しているのが特徴です。取引件数が多い投資家でも、Cryptactを使えば面倒な損益計算やデータ集計の手間を大幅に削減できます。
基本的な損益レポートは無料プランでも利用でき、有料プランに登録すれば年間取引件数が多い場合でも対応可能です。 - COINTAX(コインタックス)
仮想通貨の取引データや経費情報を提出すると、提携するプロの税理士が確定申告書の作成・提出まで代行してくれるサービスです。いわば“丸投げ”タイプのサポートで、専門知識のある税理士に任せられる安心感があります。
複雑なデリバティブ取引や海外取引、あるいはDeFiやNFTなど特殊なケースにも専門家が対応してくれるため、自身で計算するのが難しい場合に心強い味方となるでしょう。サービス利用料はかかりますが、その分正確で漏れのない申告が期待できます。
当メディアではこれらCryptactやCOINTAXの詳しい使い方・特徴を解説した記事も公開しています。興味のある方は参考にしてみてください。それぞれメリット・デメリットがありますので、自分の取引状況やサポートしてほしい範囲に応じて適切なサービスを選ぶことが重要です。
うまく活用すれば、確定申告にかかる時間とストレスを大きく減らし、本業の投資に専念できるでしょう。
各種サービスの詳細解説記事:
>> 仮想通貨の自動損益計算ツール「クリプタクト」とは?
>> 仮想通貨の損益計算サービス「コインタックス」とは?
脱税はバレる?税金逃れは絶対しないように
仮想通貨の税金の話題になると、ときおり「バレないように税金を払わずに済ます方法はないか」という趣旨の議論を目にすることがあります。
しかし、改めて強調しますが、脱税(意図的な申告漏れや所得隠し)は犯罪行為です。そして、たとえ一時的に税金逃れができたように思えても、あとで発覚した場合には膨大な追徴課税や罰金、場合によっては刑事罰といった深刻なペナルティを受けることになります。
仮想通貨だから追跡が難しいだろう…などと考えて脱税を企てるのは非常に危険であり、絶対にやめましょう。
日本の税務当局も近年は暗号資産分野の調査を強化しています。国税庁が公表した2023年(令和5年)度の調査報告によると、暗号資産に絡む所得の申告漏れ等の摘発件数や追徴課税額は前年より大幅に増加したことが明らかになっています。
具体的な数字では、前年度に比べて違反件数が405件から548件に増加し、申告漏れ所得金額は162億円から189億円に増加、追徴課税額も53億円から64億円に増加したと報告されています。
このような数字からも、税務署が仮想通貨取引に関する所得を厳しくチェックし摘発を強めている様子がうかがえます。
また、仮想通貨の税金逃れを防ぐための取り組みは世界規模で進みつつあります。2023年11月には、日本を含む約50カ国が参加する形で、各国の税務当局が暗号資産の取引情報を自動交換するための新しい国際基準「暗号資産報告フレームワーク(CARF)」を導入していく方針が発表されました。
これにより、海外の取引所やウォレットで行われた取引についても各国間で情報共有が進み、国境を越えた仮想通貨の所得も把握されやすくなる見込みです。
加えて、最近では各国で仮想通貨取引所へのKYC(本人確認)義務が強化され、国際送金の際の発信者・受信者情報を追跡するトラベルルールの導入も進んでいます。日本でも2022年に改正資金決済法が施行され、トラベルルールが順次適用されています。
その結果、たとえ海外の取引所や分散型取引所(DEX)、プライベートウォレットを利用していたとしても、取引履歴とユーザー情報が紐付けられ、最終的な所有者が誰かを当局が突き止められる可能性が高まっています。
もはや「仮想通貨だから匿名でバレないだろう」という時代ではなくなりつつあるのです。仮に運悪く脱税が数年後に発覚した場合、前述の延滞税や重加算税が年単位で積み上がり、想像以上の納付額を請求される恐れがあります。
せっかく得た利益が倍以上のペナルティで消えてしまっては本末転倒です。そうした事態を避けるためにも、毎年きちんと確定申告と納税を行うことが何より重要です。
仮想通貨取引に関する税務は確かに複雑で難しい面もありますが、自分だけで抱え込まず、専門家に相談したり信頼できる情報源を活用しながら適切に対応していきましょう。
適正な納税は法律上の義務であると同時に、健全な仮想通貨市場の発展にも寄与する大切な責務です。正しい知識を身につけて、ルールを守りながら仮想通貨投資を楽しんでください。
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