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暗号資産の税制改革「現時点ではまだ難しい」麻生大臣が音喜多議員の質問に回答


仮想通貨(暗号資産)の税制改革などに積極的に取り組んでいることでも知られる「日本維新の会」の音喜多 駿(おときた しゅん)議員は、2020年6月2日に開かれた参議院の財政金融委員会の中で”暗号資産の行政”について質疑を行いました。麻生 太郎(あそう たろう)金融担当大臣は同氏の質問に回答した際に『暗号資産の税制改正は現時点ではまだ難しい』との考えを語りました。

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暗号資産の「証拠金倍率・税制」などについて質疑

「日本維新の会」に所属する音喜多 駿(おときた しゅん)議員は2020年6月2日に開かれた財政金融委員会の中で
・仮想通貨交換業等に関する研究会
・新たに導入された暗号資産の証拠金倍率
・雑所得として分類される仮想通貨の税制
などについて、金融庁の中島 淳一(なかじま じゅんいち)企画市場局長や、麻生 太郎(あそう たろう)金融担当大臣に質問を行いました。

「仮想通貨交換業等に関する研究会」について

暗号資産交換業などに関連する諸問題について制度的な対応を検討してきた「仮想通貨交換業等に関する研究会」については、『トレーダーや暗号資産取引の実務者がほとんどいないため、議論が不十分である』との考えを語り、”研究会のメンバー選定理由”などについて質疑を行いました。

この質問に対して金融庁の企画市場局長である中島 淳一氏は『研究会には暗号資産や金融取引に関する学士経験者や技術に明るい研究者、暗号資産交換業者や外国為替交換業者(FX取引)の業界団体など、幅広い関係者に参加してもらった上で議論を行った』と説明しています。

また、暗号資産のデリバティブ取引における証拠金倍率に関しては『内閣府令で定めたが、その決定を行う際には、一般投資家・トレーダーも含めたパブリックコメント(一般からの意見募集)の手続きも経ている』と説明しています。

「新たに導入された暗号資産の証拠金倍率」について

中島 淳一氏の回答に対して音喜多議員は『パブリックコメント・日本暗号資産ビジネス協会・日本経済連盟・暗号資産関連メディアなどからは異議や反対意見が出されている』と指摘した上で、『暗号資産の最大レバレッジを2倍に引き下げると”海外取引所への資金流出”を招く結果となり、国内企業の資本力・サービス低下につながる可能性があると懸念されている』と説明、”今回の規制は過剰なのではないか?“と見解を求めました。

これに対して中島 淳一氏は、”仮想通貨交換業等に関する研究会”の報告書では「仮想通貨は法定通貨よりも価格変動幅が大きいため、実態を踏まえた適切な上限を設定することが適当である」との考えや「EUの規制で2倍とされていることなども踏まえて2倍とすることを基本と検討すべき」との意見があったことを説明しています。

同氏はこのようなことを踏まえた上で、具体的な証拠金の上限に関しては『外国為替取引(FX取引)に係る証拠金倍率と同様の考え方のもと、過去のデータから取引量の多い主要な暗号資産の1日の価格変動をカバーする水準を算出して証拠金倍率を2倍と設定している』と説明しました。

また、中島局長は具体的な数値も提示しており『2020年3月12日における1日の変動幅は、ビットコインで37%、イーサリアムで42%となっていたため、1日の価格変動をカバーする証拠金倍率の上限は2倍程度が相当であると考えられる』とも説明しています。

この回答に対して音喜多議員は『レバレッジを流動性の関連からみると、”下げることが安全につながる訳ではない”ということは研究結果からも明らかである』と指摘しています。

「暗号資産の税制」について

暗号資産の税制」に関しては、日本でブロックチェーン技術の発展を促進するためにも、
・最大税率55%の”総合課税”ではなく”分離課税”とすること
・「損益の通算」と「損益の繰越控除」を認めること
・仮想通貨間の媒介を非課税化すること
・少額決済を非課税化すること
など『金融庁として”税制改正”を要望するべきだ』と指摘し、麻生大臣の見解を求めました。

音喜多議員の質問に対して麻生大臣は初めに『暗号資産の名前は”暗号”と言われると、怪しげな印象を受ける可能性もある。本当に推進したいと考えているのであれば、別の名前で”ステーブルコイン”なども使用されているため、そのような日本語を使った方が話が現実的になってくると思う』との考えを語りました。

雑所得として分類されている仮想通貨の税制に関しては、まずはじめに『現在の日本は”金利が低いにも関わらず1,900兆円ほどある個人金融資産のうち950兆円ほどが現金預金である”という異常事態にあるため、企業の発展を促進するためにも各家庭に”貯金よりも投資へ”と勧める必要があり、様々な政策を行っている』ということを説明しました。

しかしながら”暗号資産の税制改革”に関しては『このような状況の中で現在提案されているような暗号資産の税制改革を行った場合には、“政府が家庭に暗号資産への投資を勧めている”といったような認識をされてしまう可能性があるため、現在の状況で暗号資産の税制改革を進めるのは少し難しいのではないかと考えている』と説明されています。