Ripple(リップル)社のCEOであるBrad Garlinghouse(ブラッド・ガーリングハウス)氏は「人々が世界的な通貨となることを望んでいるビットコイン(BTC)は、それらの問題を解決するための『万能薬』ではない」とCNBCに語っています。
ビットコインは万能薬にはならない
ガーリングハウス氏は2018年6月5日、アムステルダムで開催されているMoney20/20カンファレンスの場で、「ビットコインは人々がかつて考えていた万能薬にはならないだろうと思っている」と述べており、「代わりに異なる種類の仮想通貨やブロックチェーンの専門化を観察している」と語りました。
このコメントはApple(アップル)の共同設立者であるSteve Wozniak(スティーブ・ウォズニアック)氏がCNBCに語った内容にも関連する興味深い発言でもありました。
ウォズニアック氏は先日CNBCに対して、Twitter(ツイッター)とSquare(スクエア)でCEOを務めているJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏の意見に共感していることを語り「ビットコインが単一通貨になるとは言えないものの、純粋にそうなることを望んでいる」という想いを明かしました。
ドーシー氏は以前「ビットコイン(BTC)の持つ可能性を強く信じており、10年以内にはインターネット上の単一の通貨となる可能性がある」と考えている事を明かしています。
ウォズニアック氏は「ビットコインが単一通貨になるとは言えない」ことも強調しているため、ガーリングハウス氏と同じような考え方ではあるものの「そうなることを望んでいる」という点では少し違いがあるようです。
リップルのスピードは1,000倍
ガーリングハウス氏は、リップル(XRP)の方がビットコイン(BTC)よりも処理速度が1,000倍も高速であることを挙げ、「ビットコインは非常に遅い」と述べています。
Blockchain.infoのデータによると、ビットコインの取引にかかる平均時間は42分であるのに対し、リップル(XRP)の取引にかかる時間はわずか4秒となっています。
しかしこの理由の一つとしては、BTCの取引量がXRPの取引量よりもはるかに多いということも関係しています。
ビットコインにおける取引速度の問題はブロックチェーン技術を使用した結果であり、これはまだ広範なユーザー間での取引を可能にするためのスケーリング(規模の拡大)が十分ではありません。
一方リップルでの取引はブロックチェーンではなくリップルプロトコルでネイティブに実行されます。
BitcoinとRippleはライバルなのか?
Ripple社は、仮想通貨XRPを「橋渡し」のために通貨として使用することで、1つの通貨を別の通貨へ交換する大規模な国際間取引を短期間で行うことができる商品を提供することで大きな成功を収めています。
その大規模なプロジェクトを率いているガーリングハウス氏は「単一の通貨しかないという最大主義のイデオロギー(社会思想)は進むべき道ではない」と語っています。
多くの人がリップルをビットコインのライバルと見なしていますが、これに対してガーリングハウス氏は「必ずしも1枚の仮想通貨とその他の仮想通貨は別々のものである訳ではない」としており、次のようにも語っています。
「私たちが見ているのはこのスペースの全体的な成長であり、そこには多くの勝者がいると思います。」
実際に素晴らしいプロジェクトで大きな成功をあげている仮想通貨は一つの通貨だけではなく、世界中にいくつも存在しており、今後もそのようなプロジェクトは増えていくことになるでしょう。
仮想通貨肯定派と否定派
世界のトップを走るIT企業や金融機関の重要人物たちの間では、仮想通貨に対する意見にも違いが出ています。
基本的には仮想通貨やブロックチェーン技術に対しては肯定的ではあるものの、実際にどの通貨を支持しているかなども含めると個々の企業の特徴が表れているようにも感じられます。
ビットコイン肯定派
TwitterのCEOであるジャック・ドーシー氏は、冒頭でも紹介したように仮想通貨の中でも特にビットコインに強い期待を寄せています。
「仮想通貨が世界金融で米ドルの支配的地位を占め、支払いのための主要なグローバル通貨になると考えている」
「世界は最終的には単一の通貨を持ち、インターネットは単一の通貨しか持たないだろう。私は個人的にはビットコインと信じている」
Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏
以前ゴールドマン・サックスで勤務していたMichael Novogratz(マイケル・ノヴォグラッツ)氏は、ビットコイン(BTC)とビットコインキャッシュ(BCH)の間で繰り広げられる論争の中で、ビットコインを強く支持する立場を取っています。
「Bitcoinは価値のあるストアでありデジタルの金である」
「ビットコインコアはBTCです。それは価値のあるストアであり、デジタルの金です。その時価総額にビットコインキャッシュは遠く及びません。もし決済通貨になりたければ、安定した価値をもたなくてはならない。なぜそれを所有するのですか?。」
Michael Novogratz(マイケル・ノヴォグラッツ)氏
ブロックチェーン・仮想通貨肯定派
Appleの共同設立者であるスティーブ・ウォズニアック氏も冒頭で紹介したようにビットコインなどの仮想通貨に大きな可能性を感じています。
しかしウォズニアック氏はビットコインだけでなくイーサリアム(ETH)にも期待していることを明かしていることなどもあるため、ビットコインを支持しているというよりは仮想通貨やブロックチェーン技術を支持しているという方が適切かと思われます。
「僕はジャック・ドーシーの発言を買っています。必ずしもそれが起こるとは考えていませんが、そうなって欲しいと純粋に思っています。」
「ブロックチェーンは起こりつつある次のIT革命です。」
「私はイーサリアムに興味を持っています。なぜならイーサリアムは物事を行うことができるプラットフォームだからです。」
「長期的にはアップルほどの影響力を持つことになるかもしれません。」
Steve Wozniak(スティーブ・ウォズニアック)氏
ゴールドマン・サックスの元社長であり、トランプ政権で経済担当大統領補佐官を務めていたGary Cohn(ゲイリー・コーン)氏もまた、ブロックチェーンを支持していることを語っています。
「私はビットコインを信じているわけではない。ブロックチェーン技術を信じている。」
「私はいつかで仮想通貨が世界中の人々に受け入れられると確信しています。そしてそれはマイニングコストや電力コストなどの問題とは無縁だろう。」
Gary Cohn(ゲイリー・コーン)氏
独自の仮想通貨派
仮想通貨を支持してはいるものの、既存の通貨ではなく独自の仮想通貨に力を入れているというケースもあるようです。
ガーリングハウス氏も仮想通貨全体の成長を望みつつも、やはり一番力を注いでいる仮想通貨がリップル(XRP)であることは間違いないでしょう。
「XRPの価格とビットコインの価格との間には高い相関性がありますが、最終的には独立したオープンソースのテクノロジーです。早い時期により合理的な市場とそれを反映した挙動が見られるでしょう。」
「仮想通貨は世界中でたくさんの試行錯誤が繰り返されている途中です。これらの現実的な問題をクリアできていない仮想通貨は淘汰されていくでしょう。」
Brad Garlinghouse(ブラッド・ガーリングハウス)氏
また、FacebookのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏も、仮想通貨やブロックチェーンの技術を支持しており「自社のサービスにこれらの技術をどのように活用できるかを深く研究したい」と語っています。
さらにFacebookは独自の仮想通貨の発行を計画しているとも言われていることもあるため、どの通貨を支持しているというよりは、自社開発の仮想通貨に力を入れているのではないかと予想されます。
「中央集権化してしまったテクノロジー産業を修復するために、仮想通貨等の新技術を研究しフェイスブックのサービスにどう活用できるか検討する」
「僕らがテクノロジーの世界に入ったのは、それが人々の手に大きな権力を与える非集権的な力となることを信じていたからだ」
「これら技術の『ポジティブとネガティブの両面』と『フェイスブックのサービスにどう活用できるか』を深く研究したい」
Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏
仮想通貨否定派
仮想通貨否定派として代表的なのがバークシャー・ハサウェイの会長兼CEOであり、億万長者の投資家の一人であるWarren Buffett(ウォーレン・バフェット)氏です。
バフェット氏は以前から多くの否定的なコメントを残しており「ビットコインへの投資は、投資ではなくギャンブルである」と語っています。
「価値を創造する資産ではないビットコインを評価することはできない」
「ビットコインはおそらくネズミ用毒餌剤の二乗の効果をもつ」
Warren Buffett(ウォーレン・バフェット)氏
また、Microsoft(マイクロソフト)の創業者であるBill Gates(ビル・ゲイツ)氏もビットコイン(BTC)やその他の仮想通貨に対して批判的な意見を述べています。
ゲイツ氏は「ビットコイン(BTC)やその他の仮想通貨への投資は非常に愚かな投資であり、もし投資するなら空売りする」と述べています。
「資産の種類として見た場合何も創り出してはいないので価値が上がることを期待するべきではない。ある意味で単なる非常に愚かな理論の投資のようなものである」
「簡単な方法があるのであれば、空売りするということに同意する」
今もなお仮想通貨に関する意見は大きく分かれていますが、数年前に比べると世界は仮想通貨を本格的に導入する方向に進んでいると言えるでしょう。
様々な企業の実際の取り組みや代表者たちの発言も参考に仮想通貨の今後について考えてみてはいかがでしょうか。
世界のトップを走る人物たちのコメントはこちらでもまとめて紹介しています
(引用:cnbc.com)