準備資産は過去最高額の「24.4億ドル」
米ドルに価格が連動する代表的なステーブルコイン「USDT」を発行しているTether(テザー)は2023年5月10日に、2023年3月31日付の準備資産に関する報告書を公開し、金やビットコインの保有量を初めて明らかにしました。
今回公開された報告書は世界トップ5の独立系会計事務所である「BDO Italia」が作成したものであり、この保証意見書はテザー社の連結準備金報告書(CRR)の正確性を再確認するものであると説明されています。
具体的には、テザー社の準備金報告の透明性を高めることを目的として「ビットコイン・金現物・オーバーナイトレポ・企業債」の保有が個別に報告されており、USDTの準備金が24億4,000万ドル(約3,270億円)という過去最高額に達していることも説明されています。
2023年第1四半期に「14.8億ドル」の利益
準備金の増加は同社の純利益からもたらされたもので、2023年第1四半期には14億8,000万ドル(約1,985億円)の利益を上げ、トークン流通量が20%増加したとも報告されています。
2023年第1四半期におけるテザー社の連結資産総額は約818億ドル(約10.9兆円)、連結負債総額は約794億ドル(約10.6兆円)と報告されているため、この差額分が準備金となります。
なお、連結負債総額「79,390,359,036ドル」の中の「79,372,401,626ドル」は、”発行されたデジタルトークンに関連するもの”と説明されています。
ビットコインや貴金属などで準備金を保有
資産総額約818億ドルの中の約530億ドルは「米国財務省短期証券」が占めているとのことで、銀行預金への依存を減らす代わりにレポ市場(買い戻す条件を付けた売買取引)を活用して高い流動性を維持しているとも説明されています。
また、準備金は極めて流動性が高い資産で保有されており、具体的には約15億ドル(約2,011億円)相当のビットコイン、約34億ドル(約4,560億円)相当の貴金属を保有していることなども報告されています。
公式発表の中では「担保付ローンやコマーシャルペーパーの割合を継続的に減らして、米国財務省短期証券への割り当てを増やしていること」も説明されており、金とビットコインの割合は総準備金の中の約4%と約2%であるとも説明されています。
なお、公式発表では「トークン新規発行分の資金は全て米国財務省証券に投資されるか、オーバーナイトレポ(金融市場における短期間の資金貸し借り)に割り当てられる」とも説明されています。
Tether社の最高技術責任者であるPaolo Ardoino(パオロ・アルドイノ)氏は公式発表の中で『純利益14.8億ドルという数字は、プラットフォームの力強さと安定性を証明するものである』と語っています。
2023年第1四半期において、Tetherが達成した大きな成功を大変嬉しく思います。準備資金の余剰額が過去最高の24.4億ドルに達しました。当四半期の純利益は14億8,000万ドルです。これは当社プラットフォームの力強さと安定性を証明しています。
当社は引き続き、ポートフォリオ内のすべての資産のリスク調整リターンを定期的に監視し、総合的な経済環境の変化や市場サイクルの進行に応じてさらなる変更を行う予定です。これは通常のリスク管理プロセスの一環として行われます。
Tetherは引き続き世界の経済環境を評価し、顧客の資金が高リスクのシナリオにさらされないよう必要な手続きを講じています。
第2四半期に向けて、私たちは非常に前向きな展望を持っており、透明性に対する取り組みを継続しています。そのため、当社の四半期報告書には準備資金の詳細な分解の新しいカテゴリを導入し、さらなる透明性をユーザーに提供しています。