(追記:2023年10月28日)
The Wall Street Journal(WSJ)の記事が一部訂正されたことを受けて、記事の内容を追記・修正しています。
2021年以降に約4,100万ドル相当の仮想通貨を取得
イスラエルと戦争状態にあるパレスチナ・ガザ地区を実効支配する武装組織「ハマス」が、2021年以降に約60億円相当の仮想通貨寄付を受け取っていたことが「The Wall Street Journal(WSJ)」の報道で明らかになりました。
ハマスとは別の武装組織であるパレスチナ・イスラム・ジハード(PIJ)は2021年8月〜2023年6月までの期間に9,300万ドル(約138億円)相当の仮想通貨を受け取っていたとのことですが、ハマスは同時期に約4,100万ドル(約60億円)相当の仮想通貨を受け取っていたと報じられています。
報告によると、ハマスは遅くとも2019年頃から公的に仮想通貨で資金を募っているとのことで、Telegramを通じて支持者からビットコインを用いた寄付を集めているとされています。
また「決済処理業者に依頼して仮想通貨のウォレットアドレスを生成して本当の仮想通貨ウォレットを隠蔽し、捜査当局の取引追跡を困難にしている」とも報じられています。
仮想通貨はハマスなどの武装勢力が資金調達するためのツールの1つに過ぎないものの、当局にとっては重要な課題の1つになっているとのことです。
なお、最近のハマス関連のニュースでは「イスラエル警察がハマス関連の仮想通貨口座凍結に成功したこと」が報告されている他、「戦争で影響を受けた避難民のための仮想通貨寄付受付が開始されたこと」も報告されています。
追記:WSJが記事の一部を訂正
(追記:2023年10月28日)
今回のニュースを報じていたThe Wall Street Journal(WSJ)が、ハマスなどの過激派グループが仮想通貨で資金調達している金額を誤って報じたとして記事の一部を訂正したことが明らかになりました。
当初の報道では、エリプティックの報告書を引用して「PIJはテロ活動の資金調達のために9,300万ドル(約138億円)相当の仮想通貨を受け取っていた」と報じられていましたが、エリプティックは「これはPIJがテロ活動の資金調達のためにこれらの資金を調達したことを意味するものではない」と指摘しています。
ブロックチェーン分析企業であるChainalysisの調査によると、テロ関連ウォレットに送金されたのはこれらの資金の中の45万ドル相当だけであるとのことで、WSJの記事は「PIJとレバノンのヒズボラは2021年以降、最大で1200万ドル(約18億円)の仮想通貨を交換した可能性がある」と訂正されています。