改正資金決済法に準拠した「信託型のJPYC」を発行
日本円ステーブルコイン「JPYC」を発行しているJPYC株式会社は2023年11月28日に、ステーブルコインの発行・管理基盤である「Progmat Coin」を活用して、改正資金決済法に準拠した”信託型のJPYC”を発行する計画を発表しました。
今回の発表では「Progmat Coin」の開発を主導する「三菱UFJ信託銀行」や「Progmat, Inc.」と共に、信託型JPYCの発行に向けた共同検討を開始したことが報告されており、「Progmat Coinを介して発行される国内外の様々なステーブルコインの相互交換を可能にし、Web3の広範な普及に寄与することを目指す」と説明されています。
JPYC株式会社は2023年11月に累計発行額が23億円を突破した日本円ステーブルコイン「JPYC」の開発運営を行なっており、海外主要ステーブルコインとの相互交換実現に向けて、資金移動業や電子決済手段等取引業のライセンス登録に向けた取り組みも進めています。
電子決済手段に該当する信託型のJPYC
今回の共同検討は、Progmat Coinの基盤を用いたステーブルコインブランドの1つとして、改正資金決済法上の”電子決済手段”に該当する日本円ステーブルコイン「JPYC(信託型)」の発行を目指すものとなっています。
2023年6月に施行された改正資金決済法では、電子決済手段扱いのステーブルコインとして「銀行預金型・資金移動型・信託型」の3類型が想定されています。
JPYC社は「JPYC(資金移動型)」の発行も検討しているとのことですが、今回の共同検討では送金金額制約のない「JPYC(信託型)」の組成を前提としているとのことです。
JPYC(信託型)は金銭による払い戻しが可能
現状のJPYCは資金決済法上の「前払式支払手段」として発行されているため、原則として金銭による払い戻しが禁止されているものの、新たに発行されるJPYC(信託型)は電子決済手段に該当するため、金銭による払い戻しが可能になるとされています。
JPYCは既にJPYCの利用価値を高める様々なサービスを展開していますが、信託型のJPYCで金銭による払い戻しが可能になれば『JPYCを日本円に交換する』などのサービスが可能になるため、JPYCの利用価値が大幅に高まると期待されています。
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国内外ステーブルコインとの相互交換も実現
日本国内で「電子決済手段扱いのステーブルコイン」を業として取り扱うためには、改正資金決済法で新設された「電子決済手段等取引業」のライセンスを仲介者が取得する必要がありますが、JPYC株式会社は電子決済手段等取引業のライセンス取得に向けた取り組みも進めています。
JPYC社が電子決済手段等取引業のライセンスを取得した際には「国産ステーブルコイン同士の相互交換」や「海外ステーブルコインとの相互交換」を可能にし、国内のステーブルコイン利用者が国内外の様々なステーブルコインを円滑に利用できる環境を整備するとのことです。
JPYC(信託型)の発行は2024年夏頃を予定
JPYC(信託型)の発行は、JPYC社が新たにライセンスを取得するまでに必要な期間を踏まえて「2024年夏頃」を目指しているとのことで、具体的なスキームの全体像については以下のように説明されています。
【スキームの全体像】
電子決済手段類型 | 3号電子決済手段(特定信託受益権) |
発行依頼者(委託者) | 株式会社JPYC |
発行者(受託者) | 三菱UFJ信託銀行 |
裏付資産(預金)運用先 | 任意の金融機関 |
取扱仲介者 | JPYC株式会社 |
裏付通貨種類 | 円貨建てステーブルコイン |
ステーブルコイン名称 | JPYC(JPY Coin) |
接続ブロックチェーン | Ethereumのほか、複数チェーンへの拡張を想定 |
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(JPYC発表)