「極端な成功は破壊につながる」と警告
暗号資産取引所BitMEX(ビットメックス)の共同創業者であるアーサー・ヘイズ氏は2023年12月23日に公開したブログ記事の中で『資産運用会社が管理するETFが成功しすぎると、ビットコイン(BTC)は完全に破壊されてしまう可能性がある』との警告を発しました。
仮想通貨業界では現物ビットコインETFの承認とそれがもたらす大規模な資金流入に期待が高まっていますが、アーサー・ヘイズ氏は「現物ビットコインETFが成功しすぎると、最終的にはビットコイン自体が消滅してしまう」と警告しています。
これはビットコインと伝統的なその他の資産の微妙かつ重要な違いによるもので、「金や法定通貨などの金融資産は自然法則で物理的に存在しているが、ビットコインはそれとは全く違う」と説明されています。
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ビットコインは流動性があってこその存在
アーサー・ヘイズ氏は「ビットコインは資金移動があるからこそ存在する人類史上初の金融資産である」と述べており、BTCネットワークを支えるマイナーの重要性を強調しています。
同氏は「2140年頃にビットコインのブロック報酬がゼロになった後、マイナーはトランザクション手数料分の報酬のみを得ることになるため、BTCネットワーク上で取引が発生しなければネットワークの安全性を確保するために必要なエネルギーを確保できなくなる」と説明しています。
収益率が下がるとマイナーはマイニングマシンを停止することになり、マイナーがいなくなるとBTCネットワーク上の取引承認を行う人がいなくなるため、最終的にはBTCネットワーク自体が機能しなくなり、ビットコインが消滅することになります。
このようなことから「ビットコインのネットワークが安定して稼働し続けるためには、BTCネットワーク上で継続的に取引が行われ、手数料報酬がマイナーに支払われる必要がある」ということがわかりますが、アーサー・ヘイズ氏はビットコインETFの登場によってそのような流動性が失われる可能性があると警告しています。
過去には"AIの通貨になる可能性"も指摘
ビットコイン現物ETFがもたらす問題
アーサー・ヘイズ氏は「ビットコイン現物ETFは、投資家の資産を吸い上げて比喩的な金庫に保管し、取引可能な証券を発行してその*大変な仕事*に対して管理料を請求するという仕組みになっている」と説明した上で、現物ETFの取引が増加しても現物BTCは使用されずに保管されたままとなるため、ビットコインにとって問題になると指摘しています。
もしも大手資産運用会社の現物ビットコインETFが大きな需要を獲得して、投資家の大部分が「現物ビットコイン」ではなく「ビットコインETF」に投資するようになった場合には、BTCネットワーク上での取引が大幅に減少し、マイナーが報酬を獲得できなくなるため、結果的には本来価値を持つべきBTCネットワーク自体が機能しなくなってしまう可能性があります。
このように指摘する同氏は『そう考えてみるとこれは美しいことだ』とも述べており、『ビットコインが単なる国家統制の金融資産になってしまった場合、使われないために死んでしまうことになる』と語っています。
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BTCが死ぬと「他の仮想通貨」が成長する?
アーサー・ヘイズ氏は今回のブログ記事の中で『ビットコインが死ぬと、その代わりに別の仮想通貨ネットワークが成長する余地が生まれる』とも語っています。
同氏はこの別の仮想通貨ネットワークについて『ビットコインのリブート版かもしれないし、オリジナルのビットコインを改良した別のものかもしれない』と述べた上で、『いずれにせよ人々は再び国に管理されない金融資産と金融システムを手にいれることになる。2度目は”ハゲに秘密鍵を渡すべきではない”と学ぶよう願っている』と語っています。
このように語ったヘイズ氏は、法定通貨の下落から生き残る方法を考える場合には「より多くの法定通貨を得るために金融資産を取引するか」「国家に管理されない金融システムを使ってエネルギー面で富を維持しようとするか」のどちらかを選ばなければならないと述べており、『前者の場合はETFを思う存分取引すればいいが、後者の場合はBTCを購入して自己管理型ウォレットに引き出す必要がある』と説明しています。
ビットコインETFについては元CIA職員のエドワード・スノーデン氏からも同じような指摘がなされており、『ETFは一種の従属で、飼い慣らす過程の一環であるため、ETFで価格が変動するのは望ましいことではない』と説明した上で『それよりも根本的なことに目を向ける必要がある』と指摘されています。
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