米国政府が仮想通貨(暗号資産)とAI(人工知能)に関する規制を強化する動きを見せています。この取り組みは、急速に変化するデジタル技術の世界に対応するためのものです。
まず目を引くのは、司法省(DOJ)によるAI規制の動きです。DOJは2024年8月7日、AIを使った犯罪への罰則強化を米国量刑委員会に求めました。これは高度なAIシステムだけでなく、単純なプログラムを使った犯罪にも適用される可能性がある。つまり、技術の悪用に対して幅広く網をかけようとしているわけです。
一方で、仮想通貨に関する規制にも大きな変更が検討されています。財務省(DOT)が2024年8月16日に発表した規制アジェンダでは、仮想通貨と従来の通貨の間で規制のバランスを取ろうとする姿勢が明らかになりました。
具体的には、「お金」の定義を見直すとされています。連邦準備制度理事会(FRS)と金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)が中心となり、銀行秘密法での「お金」の定義を広げ、仮想通貨も含めようとしています。これが実現すれば、ビットコインなどの取引にも、普通の銀行取引と同じような報告義務がかかることになります。
さらに、この新しい定義は、政府が発行するデジタル通貨にも適用される予定です。デジタルの世界でのお金の動きを、より詳しく把握しようという狙いがあるようです。
この規制強化の背景には、仮想通貨市場の急成長があります。実際、2024年8月14日には政府が約1万ビットコインを動かすなど、この分野への関心の高さがうかがえます。
専門家の間では、この規制強化について賛否両論があります。市場の健全化につながるという意見がある一方で、新しい技術の発展を妨げるのではないかという懸念の声も上がっています。特に、取引の報告義務が厳しくなれば、プライバシーの問題や取引にかかる手間が増える可能性があります。
AIの規制についても同じような議論があります。悪用を防ぐ効果は期待できるものの、開発者たちが萎縮してしまう可能性があるとも指摘されています。
これらの規制案はまだ検討中で、最終的な決定は2025年9月頃になると伝えられています。それまでの間に、業界の人々や専門家との話し合いが行われる予定です。
結局のところ、テクノロジーと法律のいたちごっこは続きます。バランスを取るのは難しいですが、それが避けては通れない課題なのでしょう。今後、これらの規制が世界中のお金の流れや技術の進歩にどんな影響を与えるのか、多くの人が注目しています。
AI関連の注目記事はこちら
Souce:財務省発表資料
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル画像:Freepikのライセンス許諾により使用