ボストン大学はICO(イニシャル・コイン・オファリング)を行なったブロックチェーンプロジェクトに関する調査を行い、その研究結果を報告しています。公開された報告書では投資家がその価値を判断する上での材料になる可能性のあるいくつかのデータが報告されています。
Blockchainプロジェクト4,000種以上を調査
アメリカ合衆国にあるボストン大学のLeonard Kostovetsky(レオナルド・コストヴェツキー)教授と博士候補であるHugo Benedetti(ヒューゴ・ベネデッティ)氏は「Digital Tulips(デジタル・チューリップ)」というタイトルの論文を発表しました。
ボストン大学のマネジメントスクールで行なわれたこの調査は、4,000以上のICOプロジェクトを対象にして調査が行われており、調達された資金の累計額は120億ドル(約1兆3,000億円)にものぼると説明されています。
現在のICO市場はまだ発達段階にあるため、ICOイベントが過小評価されていることも多いことから、この調査ではICOrating、ICOcheck、ICOdata、ICOdropsなどの有力なICO Webサイトから集めたデータを評価することで今回の調査結果を確認しています。
公開された報告書によると、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)を行なったブロックチェーンプロジェクトの中で、実際に生き残っているのは44%であると報告されており、いくつかの興味深い内容が報告されています。
また、投資家がトークンを保有しているのは平均して約16日間であるとも説明されており、ICOが”成功した”と見なされるためには、少なくとも1150万ドル(約12億8,000万円)の資金を調達しなければならないことが判明したとされています。
しかしこの数字は、数百万ドル(数億円)のクラウドセールによって歪められていると報告されており、その証明として、中央値を計算した際にその価値が380万ドル(約4億2,300万円)に下がったことが挙げられています。
また、この他にもトークンセールの目標を達成したのは完了したICOの半数以下であることも報告されています。残りの半分以上のプロジェクトは、資金調達の目標に達することができなかったか、公式発表がされないままプロジェクトを継続したとみられています。またこれらの新興企業の中には、投資家の資金を盗んだ詐欺目的のものも含まれています。
Twitterとの関連性
この調査では、ICOの成功率にはTwitter(ツイッター)での人気度が関連していることも明らかになっています。
ほとんどのICO企業は、開始からおよそ8ヶ月後までにはTwitterアカウントを開設しており、一般的なアカウント開設時期は3ヶ月が経過した頃であることが明らかになっています。
さらに長い間Twitter上で活動を続けていたプロジェクトはそうでないプロジェクトに比べると、僅かながらもより繁栄していることも明らかになっています。また長期間に渡ってトレンドを獲得しているプロジェクトは、そうでないものに比べると価格が上昇する傾向にあることも記されています。
しかしこの報告書では、これは単なる相関関係であって、因果関係とはみなされないということを強調しています。
興味深い点の一つは、Twitterでの活動が欠如していたプロジェクトは失敗に終わることが多いという結果が出ていることです。これはTwitter上での活動状況がそのプロジェクトの将来性を判断する上での一つの指標となることを表しています。
ICOは転換期を迎えている?
今年の6月には、スタンフォード大学の学生がICOを行わずに16種類の分散型アプリケーション(DApps)を開発しています。彼らは大規模な資金調達を行うことなく、イーサリアム(ETH)のプロトコルに基づいたブロックチェーンを使用して様々なアプリケーションを構築することができることを実証しており、イーサリアム財団からも賞賛を受けています。
スタンフォード大学の学生が開発したDAppsはこちら
セキュリティトークンに関する対応などが明確化されつつある今、ICOによる資金調達やそれらのプロジェクトは大きな変化の時期を迎えているとも考えられます。
ICOを通じて発行されるトークンなどの取引は仮想通貨取引所BINANCE(バイナンス)などで行うことができます。