イラン独自の仮想通貨(Cryptocurrency)に関する詳細な情報が明らかになりました。同国は現在、米国の経済制裁を回避することなどを目的に独自の暗号通貨の開発に取り組んでいます。この新しい通貨の設計と開発に取り組んでいる大手銀行システムプロバイダである「Informatics Services Corporations(ISC)」は、それらの機能の詳細を明らかにしています。
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Hyperledger上に構築
イラン政府が主導して開発が進められている独自の仮想通貨は、同国の大手銀行システムプロバイダである「Informatics Services Corporations(ISC)」が設計と開発を行なっています。
1993年に設立されたISCは、銀行システムの中核を担う企業であり、イラン中央銀行にも加盟しています。
ISCによると、イラン独自の仮想通貨は現地の法定通貨である「リヤル」をトークン化することで発行され、「Hyperledger Fabric」の技術に基づいて設計されていると伝えられています。
Hyperledger Fabricは、「Linux Foundation」が提供しているオープンソースのブロックチェーンプラットフォームです。「IBM」と「Blythe Masters」の「Digital Asset Holdings」によって開発されたこのプラットフォームは、元々はサプライチェーン向けのスマートコントラクトを専門としていましたが、通貨としての機能などのその他の用途としても活用することができます。
発行量などは中央銀行が決定
ISCはこの独自通貨について、「イラン国家の暗号通貨のインフラストラクチャーは、イランの銀行や仮想通貨企業も利用することができるように設計されている」と説明しています。
さらにISCは、ブロックチェーンインフラストラクチャが段階的に導入されるとも説明しており、
第1段階では「トークンと銀行間の決済手段」
第2段階では「社会における少額決済手段」
として使用することを目的としているとしています。
なお、この仮想通貨はプライベート・ブロックチェーンインフラの下で開発されており、「マイニング(採掘)を行うことはできない」とも説明されており、「発行者はイランの中央銀行であり、発行量は銀行の決定に依存する」と付け加えられています。
イラン議会経済委員会のムハンマド・レザ・プーレブラミミ(Mohammad Reza Pourebrahimi)議長は今年の5月に「デジタル通貨を購入するために25億ドル以上(約2750億円)が送金されている」と述べており、7月には「イランから500BTC以上が米国政府によって押収された」と発表しています。
また、仮想通貨の規制案を管轄している政府機関である「サイバースペース最高会議(SCC)」で副長官を勤めているSaeed Mahdiyoun(サイード・マディユーン)氏は、同国の中央銀行が今年の9月末までにビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)といった主要な仮想通貨に関連する正式な規制方針を発表する予定であることも明かしています。
米国からの経済制裁を受けている国家では、ビットコイン(BTC)のような仮想通貨を購入する動きや、国家独自のデジタル通貨を発行するといった取り組みを行うケースが増えてきています。
仮想通貨ペトロ(PTR)を発行したことで知られているベネズエラでは、現在も深刻な状況が続いており、最近の報告では、2018年内にはインフレ率が100万%を超えるとも言われています。