韓国の大手仮想通貨取引所である「Bithumb(ビッサム)」が、シンガポールを拠点とする企業コンソーシアムである「BK Global Consortium」に約3億3500万ドル(約396億円)で買収されたことが地元メディアの報道で明らかになりました。
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シンガポールの企業コンソーシアム|BK Global Consortium
シンガポールを拠点にブロックチェーン投資ファンドやICOプラットフォームなどを手がけている企業コンソーシアム「BK Global Consortium」が、韓国の最大級の仮想通貨取引所として知られる「Bithumb(ビッサム)」を買収したことが明らかになりました。
Bithumbは、2018年2月初めの時点では約8億8000万ドル(約990億円)の評価を受けていたため、その当時に比べると遥かに安い金額で買収されることとなっています。
報道によると、BK Global Consortiumは「Bithumb」最大の株主であった「BTC Korea Holdings」が保有していた76%のBithumb株のうちの「50% + 1株」を購入する契約を交わしたとされており、この契約の締結によって元整形外科医であり「BKグループ」の会長でもある金秉基(キム・ビョンガン)氏が韓国最大の筆頭株主になったと報告されています。
キム・ビョンガン氏は元々「Bithumb」の5番目の株主でもあり、シンガポールで医療、フィンテック、ブロックチェーンなどの分野で多国籍経営能力を実証している人物でもあります。BK Global Consortiumは、2019年2月までに残金の納入を終える予定だと伝えられています。
Bithumbを「ビジネスの中心」に
今月の初めには、Bithumbの分散型取引所(DEX)が香港で開始されるとのニュースが話題となっていましたが、買収後もこの決定に変更はないと伝えられています。Bithumbで以前に発生したハッキングのような被害は、分散型の取引所へと移行することによって回避できると考えられています。
「BTC Korea Holding」が発表した報告書によると、Bithumbの売り上げ高は、
・2018年第1四半期 ー 3030億ウォン(約300億円)
・2018年第2四半期 ー 2180億ウォン(約216億円)
であると報告されていますが、Bithumbの経営陣が変わることによってブロックチェーン業界の発展に勢いを与えるきっかけとなるとも期待されています。
BK Global Consortiumの関係者は『Amazon(アマゾン)やAlibaba(アリババ)などの電子商取引会社は手数料を受け取っているため消費者にとっての問題となっており、ブロックチェーン決済システムを活用することによって手数料を削減することができる』と説明しています。
BK Global Consortiumは、Bithumbは仮想通貨を実生活に結びつける多くのビジネスにおいて中心的な役割を果たすと予想しており、Bithumbをベースにして既存の決済システムの手数料を大幅に下げた「ブロックチェーンeコマース決済システムの構築」や「ステーブルコイン(Stable Coin)の運用」などで取引の可能性を最大限にすることを計画していると伝えられています。
仮想通貨取引所に巻き起こる変化
この数ヶ月間で、仮想通貨取引所には大きな変化が起きてきています。今年の初めに大規模なハッキング被害を受けたCoincheck(コインチェック)は「マネックスグループ」による買収が決定しており、Zaif(ザイフ)は先月のハッキングの被害を受けて「株式会社フィスコ」に事業譲渡することを発表しています。
また、以前に日本進出を計画していることが明らかにされていたアメリカの大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)の関係者も、先日の報道で日本での「仮想通貨交換業ライセンス取得」は2019年には確実に現実のものとなると語っています。
2018年に入って以降、仮想通貨市場の下落が続く一方では仮想通貨業界で重要な立ち位置を占めていた仮想通貨取引所の運営陣にも大きな変化が見られています。これから徐々に本格的なサービスが開始されるそれらの仮想通貨取引所が今後の仮想通貨市場をどのように先導していくことになるのかにも注目が集まります。
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