ブロックチェーン技術は世界中の様々な業界で活用され始めていますが、イーサリアム(Ethereum/ETH)の共同設立者であるVitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏は、実際にその利点を活用できる分野は限られており、誤った使用方法は最終的に「時間の無駄」につながると指摘しています。
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ブロックチェーン技術の「誤った認識」
ヴィタリック・ブテリン氏は海外のニュースメディア「QUALTZ」とのインタビューの中で、現代社会ではブロックチェーン技術の活用が進んでいるものの「誤った使い方」も複数見られているため、場合によっては最終的に「時間の無駄」になってしまう可能性があると指摘しています。
現在ブロックチェーン技術は「ビットコイン」などの通貨だけでなく、商品の追跡や情報管理などのような様々な分野に応用されており、世界中の企業が活用するためのテストに取り組んでいます。ブテリン氏は、人々がこれらの技術に惹きつけられ、より多くの仕事に活用したい望むのは人間らしい当然のことだと述べているものの、ブロックチェーン技術は全ての業界に恩恵をもたらす訳ではないとも指摘しています。
ブテリン氏は多くの企業のプロジェクトの全てを否定している訳ではありませんが、『その他のプロジェクトや身分証明などのアイデアは、実際に上手く機能していくためにはおそらくまだまだ時間がかかるだろう』と述べており、特に実社会においてブロックチェーン技術は物事を100%保証するようなものではないと説明しています。
IBMに欠如する「地方分権」
ブテリン氏は具体的な例としてIBMような大手企業の名前をあげ、それらの企業のブロックチェーン・プロジェクトは独占状態になっており「地方分権」という重要な特徴が欠如していると批判しています。
私はそれについてしっかりと理解している訳ではありませんが、私が見た内容では『基本的にこれは知的財産権を当社が全て所有したプラットフォームであり、あなたはそれを利用することになる』といったことが記されていました。だけど、なんというか、そこがポイントではないのです。
さらに同氏は、IBMが提供している食品追跡システム「IBM Food Trust」に対しても言及し、『それらのプロジェクトには潜在的な価値はあるものの、プロジェクトの関係者がそれを適切に実行しているかどうかははっきりわからない』とも述べています。
これは、農業に携わる人々がブロックチェーン上に正しく情報を入力していない場合には問題が発生してしまうため、ブロックチェーン上で情報が管理されているからといって、100%その商品が信頼できるものであるということにはならないということだと考えられます。
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大学の「学位証明」は良い活用方法
ブロックチェーン技術の利点を活用できる分野は実際には限られていると考えているブテリン氏は、具体的にこれらの技術を活用するのに適した分野は「仮想通貨」と「国際送金」だと述べています。
また金融関係以外の分野での良い活用事例としては、シンガポールで導入された大学における「学位認証システム」のことを挙げています。大学の学位証明にブロックチェーン技術を用いるプロジェクトはすでに複数の国で進められており、ネム(NEM/XEM)やイーサリアム(Ethereum/ETH)のブロックチェーン技術が活用されています。
ブロックチェーン技術はこの数年間で急速に普及してきており、現在では数多くの業界で大規模なプロジェクトが進められています。これまでにも世界を代表する大手企業が人工知能(AI)などの技術とともにブロックチェーン技術に数十億円規模の投資を行うことも発表しており、現在進行形でそれらのプロジェクトは進められています。それらの多くはまだ実験段階でもあるため、具体的にどれほどのメリットが得られるかについてはこれから明らかになってくると考えられます。
実際にブロックチェーン技術を導入して成功した事例なども数多く報告されているため、今後は理想的な活用方法を見極めていくことが重要になってくると考えられます。