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フランス小売大手:ブロックチェーン食品トレーサビリティーシステムをグローバル展開


国際的にスーパーマーケットなどの事業を展開しているフランスの小売大手「Auchan(オーシャン)」は、店舗で販売する食品の透明性を向上させるために「TE-FOOD」が提供する「ブロックチェーントレーサビリティーシステム」を導入することを発表しました。同社は今後この技術を世界5カ国で導入していくことを計画しています。

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大型スーパーマーケット|Auchan(オーシャン)

Auchan(オーシャン)は、フランスに本社を構える国際的な小売グループであり、世界中の17カ国で3700以上の販売店を運営しています。1961年に創業された同社はその後順調に事業を拡大し、フランス、中国、ハンガリー、インド、イラク、イタリア、ルクセンブルク、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、サンマリノ、スペイン、ウクライナ、ベトナムなどに支店を構えています。

スーパーマーケットだけでなく、ハイパーマーケット、コンビニ、ショッピングセンターなども展開している同社は、世界で13番目に大きい食品小売業者として知られています。

Auchanは現在、店舗で取り扱う食品の透明性を向上させ消費者が食品に関する情報を気軽に確認することができるようにするために「TE-FOOD」が提供するブロックチェーンベースのトレーサビリティーソリューションを導入しています。

6,000社以上に技術提供|TE-FOOD

TE-FOODは、国際的に事業を展開する複数の大手企業を含めた6,000社以上の企業に「農場間の食品トレーサビリティーシステム」を提供している企業です。同社製品を利用している顧客の中には「AEON(イオン)」などの高い知名度を誇っている企業も含まれています。

同社は、ブロックチェーン技術を用いた食品のトレーサビリティーソリューション「FoodChain」を提供しており、豚、鶏、卵などといった様々な食品の情報を追跡することができるサービスを提供しています。

同社が提供しているサービスでは、主にQRコードを使用して情報の管理確認ができるようになっており、ステッカータイプのQRコードやプラスチックセキュリティシール、RFIDタグなどを提供しています。これらのQRコードは同社が提供するスマートフォン向けアプリ「TE-FOOD Public B2C」で読み取ることができるようになっており、ユーザーはQRコードをスキャンするだけで対象商品に関するあらゆる情報を確認することができる仕組みとなっています。

イタリア・スペイン・セネガルなど5カ国に導入

Auchanはベトナム支店で18ヶ月間の試用期間を経た後に、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、セネガルの5カ国に「TE-FOOD」のブロックチェーン・トレーサビリティソリューションを導入します。

各国で展開されているAuchanの店舗はそれぞれの店舗が選択した商品を農場ごとに追跡し、食品の品質や物流に関連する重要なデータを全て登録すると説明されています。現在このシステムは有機ニンジンを対象としてフランスで利用されており、今後は2018年12月にポテト、2019年2月にはチキンへと徐々に拡大されていく予定となっています。

通常「Auchan」のような大規模な企業で食品汚染などの問題が発生した場合には、数カ国に住む何百もの企業のデータを確認する必要が出てくるため、サプライチェーンの汚染源を見つけるまでに数週間ほどかかってしまいますが、「FoodChain」を使用すれば食品に関するあらゆる履歴をブロックチェーン上ですぐ確認することができるため、リコールなどにも迅速に対応することができます。食品に関する情報管理は大規模な企業にとって特に重要な課題の一つでもあるため、ブロックチェーンを活用した情報管理は「Auchan」にとって非常に有益なものになると考えられます。

食品を扱う大手小売業者にとって「Auchan」のサービスは非常に魅力的なものであると考えられます。最近ではIBMが提供している食品追跡システムである「IBM Food Trust」を導入している企業も増加しており、11月下旬にはフィンテックの専門家が『国際的な小売業界におけるブロックチェーンの市場価値は今後10年間で29倍になる』とも予測しています。