日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)とブロックチェーン推進協会(BCCC)は2018年12月27日に共同記者会見を開き、仮想通貨とブロックチェーンに関する両者の知識や経験を活かし、業界及び社会全体の啓蒙活動を推進するために連携を取っていくことを発表しました。
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日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)とは
一般社団法人日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)は、
・仮想通貨交換業者
・金融商品取引業者
・保険会社
・銀行
・その他仮想通貨関連事業者
などの事業者が参加するネットワークを構築し、それぞれの事業者の知見を合わせることによって、ブロックチェーンや仮想通貨の基盤を固め、日本における「仮想通貨ビジネスの持続的な発展」を促進することを目指した活動を行なっている団体です。
JBCAは仮想通貨関連ビジネスへの社会の理解を深めるために、これらの技術に関心を持っている人々のための教育環境作りなどに取り組んでいます。
ブロックチェーン推進協会(BCCC)とは
一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)は、ブロックチェーン技術に携わる日本国内のメンバーが情報交換を行い、互いに協力しながらブロックチェーン技術や業界をさらに発展させるための活動を行う団体です。
またBCCCは国外のブロックチェーン団体と連携を取ることによって、海外のブロックチェーン団体から得た情報を国内で配信するほか、同協会で培われた技術や情報を日本から世界に向けて発信するとしています。
2018年12月の時点で「BCCC」に加盟する企業の数は「250社」を突破しているとも報告されており、様々な業界や分野に特化した”8つのワークキンググループ”も運営しており、金融機関やフィンテック関連の業界を超えた幅広い領域で普及啓蒙活動に取り組んでいます。
健全な業界の育成に向け「知識・経験」を共有
一般社団法人日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)と一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)は、2018年12月27日に共同記者会見を開き、両協会が連携して「仮想通貨とブロックチェーン技術の普及推進と健全な業界の育成」を目指した取り組みを行なっていくことを発表しました。両協会の代表者は今回の連携に関する協定を締結しています。
JCBAとBCCCは、協力関係を通じて「業務の効率化」と「規模の拡大」を行うと説明しており、2020年3月末には両協会に加盟する企業数を500社以上に拡大することを目標にしていると説明しています。
さらに両協会は、それぞれが運営している部会の交流を深め、お互いのメンバーを講師として派遣し合うことによって、知識や経験の共有を行うと説明しています。また、2019年内にはブロックチェーンの特性を活かした「大衆向けの大規模イベント」を共催することも計画しているとされています。
仮想通貨「Zen」の開発は第二段階へ
BCCCが開発を手がけている安定仮想通貨「Zen(JPYZ)」が、2019年に第二段階となる社会実験を行うことも発表されています。2017年に実施された第一段階の社会実験に続き、第2回目となるこの実験では「パブリック・ブロックチェーン」上での実装などを実現することを目指しているとのことです。
Zenという名前には「Yen(日本円)の一歩先を行く」という思いが込められていると説明されており、極端なボラティリティなどの問題を回避し、実用的な通貨とするために「1Zen=1円」となるように設計されていると伝えられています。
また、複数のブロックチェーン・分散型台帳上で利用できるようにされている他、Zenの運営にスマートコントラクトを採用することによって「運営の信頼性」を確保するとも説明されています。この通貨はすでに金融庁に「仮想通貨」として登録されているとのことです。
2018年の「市場に対する見解」と「2019年の抱負」
JCBAとBCCCが開いた会見には両協会の代表者が登壇し、それぞれの活動実績や2018年の市場の動きに対する考え、2019年の抱負などについて語りました。
日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)の会長である奥山泰全氏は、2018年を振り返り『非常に苦しい1年だったものの、各社が改善対応に努め、大きな前倒しができた1年だった』と説明した上で、2019年は”仕切り直し”となる1年にしたいと語りました。
ブロックチェーン推進協会(BCCC)の代表理事である平野洋一郎氏は、2018年に大きな問題となった「仮想通貨取引所の顧客資産流出事件」や「仮想通貨価格の下落」について語り、それらの問題はブロックチェーン技術そのものの欠陥がもたらしたものではないということを強調しました。平野氏は、ブロックチェーン業界全体で試練が多かった2018年に対して、”2019年は晴れ渡る年にする”という強い意志を語っています。
「暗号資産」への名称変更に対する考え
記者会見の最後に行われた質疑応答の中で両者は、最近明らかにされた「仮想通貨」という呼び方を「暗号資産」へと変更するという話題についての自らの見解も語っています。奥山氏と平野氏は「この回答は協会としての見解ではなく、個人的な意見である」ということを強調した上で、「暗号資産」という呼び方に置き換えるべきかどうかに関しては今後もさらに議論を続ける必要があると説明しています。
奥山氏は、具体的な例として”証券取引法”から”金融商品取引法”への改正が行われた際に「証券会社」という呼び方も「金融商品取引業者」として改められたものの、現状としては多くの企業が「証券会社」という表現を用いていることを挙げています。
また平野氏は「資産」という表現には”溜め込むもの”といったニュアンスが含まれているため、「通貨」という表現が持つ”価値の移転や流通”といったニュアンスを重視したいという考えを示しました。
2019年に向け「立て直し」を図る日本市場
2018年は日本を含めた世界中のブロックチェーン関連企業にとって困難が多い年でもありましたが、その裏では着実に研究開発やプロジェクトの基盤作りが進められてきました。日本国内では仮想通貨取引所で多くの問題が発生しましたが、その後各社が進めてきた取り組みによって現在はより安全な環境が構築されていると考えられます。
2019年には、新しい仮想通貨取引サービスの開始やプロジェクトの開始も予定されているため、これから徐々に日本の仮想通貨業界が発展し、大きな成長を遂げる可能性も十分あると予想されます。
キャッシュレス社会の実現に向けた取り組みが加速しつつある現在の日本において、「JCBA」と「BCCC」の協力関係は今後の業界の成長のためにも非常の重要なものとなるでしょう。