暗号資産市場が再び活気を取り戻してきている一方では、国や地域で発行する「独自仮想通貨」を発行する動きも強まってきています。英国で公共部門全体に関するニュースを取り扱っている「PublicTechnology.net」の報道によると、北アイルランドの首都であるベルファストは、2019年後半に独自の仮想通貨「Belfast Coin(ベルファストコイン)」を発行するための取り組みを行っていると伝えられています。
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日常で使える独自仮想通貨「ベルファストコイン」
北アイルランドの首都ベルファスト(Belfast)は、市民が商品やサービスの代金を支払うために使用する独自の仮想通貨「Belfast Coin(ベルファストコイン)」の発行を計画していると伝えられています。
BelfastCoin(ベルファストコイン)の開発には、イスラエルを拠点に「地域社会向けの新しい分散型支払いシステム」を提供しているハイテク企業「Colu」が協力しており、2019年後半にベルファストを超えた広い地域で発行される予定でプロジェクトが進められています。現在はすでに試験段階に入っており、評議会はその間に「利害関係者のエコシステムを構築すること」を望んでいると伝えられています。
具体的には、ベルファストコインが日常的な支払いで利用できるようにするために市内の「ショップ・カフェ・レストラン・その他の企業」などでコインを利用できるようにすることを望んでいると説明されており、実際に利用可能になった場合にはアプリをダウンロードしてアカウントを作成することによって、携帯電話でベルファストコインを使用することができるようになると伝えられています。
また、ユーザーは「地元での買い物・リサイクル・ボランティア・市民活動への参加」といった様々な活動の見返りとしてクレジットを獲得することもできるとされています。
このプロジェクトの担当者であるGrainia Long氏は「評議会が事業主に対してこのプロジェクトへの参加を呼びかけ、消費者がベルファストコインを使用して商品を購入できるようにするための環境改善を行なっていくことを望んでいる」と説明しており、地域通貨を発行することによって、都市の店舗・企業と住民の関係を強化していきたいと語っています。
「Belfast Coin」は今年後半に導入される予定です。当初は、地元企業に経済的な後押しを与えるとともに、協議会が環境改善を含むその他の長期目標を達成するのを支援することを願っています。
この挑戦は、都市が発行する仮想通貨がどのようにして住民・企業・パートナーを結びつけ、包括的な成長を支えることができるのかを探る機会を与えてくれます。
世界各国で進む「独自仮想通貨」の動き
地域社会の経済を後押しするための方法として「独自仮想通貨」を導入しようとしているのはベルファストだけではありません。
2018年には、韓国の首都ソウルで独自の仮想通貨「Sコイン」を発行する計画が発表されており、ドバイでは学費や請求書などの日常的な支払いに使用できるステーブルコイン「emCash」の開発が進められています。
独自仮想通貨の発行を計画している地域や企業は非常に多く、最近では中央銀行が発行する仮想通貨「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」に関する調査・研究を行なっている銀行が40以上にのぼっていることも発表されています。
日本では今のところ「CBDC」を発行する計画などは発表されていませんが、キャッシュレス化の動きは強まってきており、三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)はブロックチェーン技術を用いたデジタル通貨「coin(コイン)」を2019年後半に実用化する計画を発表しています。
仮想通貨市場では、時価総額ランキングのTOPを占める銘柄が徐々に確立されつつありますが、国や大手企業、銀行などが進めている大規模な仮想通貨プロジェクトは、2020年〜2021年を目標に進められているものも多いため、今後はこのような仮想通貨に関する発表も増えてくることが予想されます。
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