米大手生命保険会社「MetLife(メットライフ)」傘下のデジタルイノベーションセンター「LumenLab(ルーメンラボ)」は、イーサリアム(Ethereum/ETH)のブロックチェーン技術を応用して生命保険の請求を自動化します。これによって、遺族は手続きをしなくても保険に加入してさえいれば、新聞の死亡欄に名前を掲載することで自動的に保険請求を行うことができます。
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保険自動請求システム「Lifechain(ライフチェーン)」
Lifechain(ライフチェーン)と呼ばれるこのシステムは、LumenLab(ルーメンラボ)がシンガポール最大の新聞社「Singapore Press Holdings(シンガポールプレスホールディングス/SPH)」と、保険会社「NTUC Income」との提携を通じて展開する予定です。
「ライフチェーン」のシステムは、遺族がシンガポールの大手紙「Straights Times(ストレーツ・タイムズ)」に死亡記事を掲載すると、それをもとに保険加入の有無を即座に調べるようになっています。
同意が得られた場合は、亡くなった方の国民登録番号がハッシュデータとして「ライフチェーン」に送信され、一致する保険証券の検索が行われます。一致するものが見つかった場合、SPHは1営業日以内に家族に通知を行いますが、ライフチェーンは請求プロセスを開始するために「NTUC Income」に対して電子メールで自動通知を送信します。これによって、保険請求をよりスムーズに行うことが可能になります。
身近な人を亡くすことは精神的に大きなダメージとなりますが、親族はそのような状況の中で保険請求を含めた複数の事務手続きを行う必要があります。「ライフチェーン」は、親族が亡くなった方の保険請求を迅速かつ安全に行うための心強いサポートとなるでしょう。SPHのデジタル事業チーフであるJulian Tan(ジュリアン・タン)氏は次のように語っています。
SPHは、家族を亡くした方々の事務的な手続きを安全かつ効率的に行うことができるよう、さらに多くの保険会社がライフチェーンに参加していくことを願っています。
ブロックチェーンで「業務効率化」に取り組む保険業界
ブロックチェーン技術は、すでにさまざまな業界で利用されていますが保険業界も例外ではありません。
英保険テック企業の「BlockClaim(ブロッククレーム)」は、ブロックチェーン基盤の保険請求処理システム開発に50万ポンド(約6,800万円)を調達しています。これによって、処理コストを20%も削減でき、支払いまでの時間を短縮することができるとされています。また人工知能(AI)を組み合わせることによって、詐欺などを検知することも可能だとされています。
ブロックチェーンの本質は「データの共有」ですが、日本では損害保険と生命保険の保険業界間データの共有が禁止されていたり、ユーザーが保険の内容の共有を嫌うなど、センシティブな問題を含んでいます。遺族の方の利便性を考えた保険請求処理の簡略化や、保険会社側の営業コストなどを考えると、保険請求にブロックチェーンを応用することは非常に得策だと思われます。
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