「医療分野」におけるブロックチェーン活用事例|情報共有がもたらす数々のメリット
医療業界の間でも日々、ブロックチェーン技術が活用され始めてきています。応用すれば業務の効率化、医療用データ共有、新たな治療法の確立、医薬品の追跡・管理など幅広い分野で更なる発展をもたらすとして期待されています。この記事では実際の活用事例を紹介していきます。
こちらから読む:医療業界の発展の役立てられる「ブロックチェーン技術」とは?
ブロックチェーン技術に期待高まる「医療業界」
ブロックチェーン技術と言えば主に物流などのサプライチェーンでの活用に注目されていますが、医療業界も応用が進むとしてもっとも期待が高まっている分野の1つです。
海外の市場調査を行っている「Frost&Sullivan(フロスト&サリバン)」社が2017年に発表した「グローバルヘルスケアにおけるブロックチェーンの活用:2017年から2025年の見通し」では、「医療用データ/保険・支払い/医薬品サプライチェーン」と言った分野で、ブロックチェーンの導入が拡大していくと予測されています。
医療業界と言えば患者のカルテやデータなどの個人情報など非常にプライバシー性の高い業界であり、不正流出や悪用が起こる事のないよう徹底的な管理が常に求められています。
ブロックチェーン技術は改ざんできない仕組みになっているためこれらの情報を従来よりも安全に管理する事ができ、また「透明性の向上/業務の効率化」にも繋がります。
また書類作成などのデスクワークも多く本来の医療業務に専念できないと言った問題もあり、それに加え日本の様な高齢化社会では医者1人に対する業務の負担はますます大きくなってきています。ブロックチェーンで膨大な情報を管理すればデスクワークも効率化され、その分多くの患者を診察でき適切な治療を施す事が可能となります。
病院や医師独自の治療方法と言った共有されず消えてしまうノウハウもブロックチェーン上で共有すれば世界中の医師が確認できるため医療技術の向上に繋がります。
このようにブロックチェーン技術の応用により医療業界の中でも多くの分野で変化をもたらすとされており、ひいては私達の健康や命にも密接に関係してくるためその恩恵は計り知れないものとなり得るでしょう。
ブロックチェーンは「医療業界」をどう変える?
保険金の請求・支払い処理を効率化|Aetna
大手医療保険会社「Aetna(エトナ)」は、IBMと提携し「ディレクトリ管理/保険金の請求と支払い処理」を効率化するためにブロックチェーン・システムを設計する事を発表しています。
なお、このブロックチェーン・システムには米医療保険会社大手の「Health Care Service Corp(ヘルス・ケア・サービス社)/Anthem(アンセム)」、米金融サービス会社である「PNC Bank」も参加を表明しています。
このプロジェクトにより医療保険業界の悩みの種とされてきた「摩擦/重複/管理コスト」などの問題を解消できると期待されています。
Aetnaに関する記事はこちら
医薬品の再配布に活用|FedEx
国際輸送業の中でも大手の「FedEx(フェデックス)」の技術研究所(FIT)は製薬会社である「Good Shepherd Pharmacy(グッド・シェパード・ファーマシー)」と提携し、経済的な事情を抱えるガン患者に対し医薬品を配布するインフラをブロックチェーン技術を用いて構築しようとしています。
ガンの医薬品は高額な薬であるため、経済的に不利な立場にいるガン患者にとって大きな負担となっていました。しかしその一方では膨大な量の医薬品が廃棄されており、その額はテネシー州だけでも毎年1,000万ドル(約11億円)にものぼるといわれています。
ブロックチェーン技術を用いてガンの医薬品を管理すれば、本来捨てられるはずだった高価なガン医薬品の中から"状態の良い物"を購入する事ができない人々に再配布することができます。そのためより多くの命を救え、かつコスト削減が可能となります。
FedExに関する記事はこちら
ガンの早期発見率を向上|LancorScientific
イギリスのスタートアップ企業である「Lancor Scientific社」は、オーストラリア政府支援の下、シュタイアーマルク州グラーツに「ガン研究所」を設立する予定です。この研究所は、人工知能(AI)とブロックチェーン技術を用いて「より正確で低コストなスクリーニング」によるガンの早期発見率を向上を目指しています。
なお、ガンの発見には「Lancor Scientific社」が開発し特許を取得しているデバイス「腫瘍トレースOMIS(Opto-magnetic Imaging Spectroscopy)」が使用されます。このデバイスは持ち運びができるコンパクトな作りとなっており、従来のパッチテストよりも「費用削減/時間短縮」を実現しています。
またイギリスの国営医療サービス事業「NHS」によれば、腫瘍トレースOMISによって子宮頸癌検査の正確さが60~70%向上したと報告されており、検査を受けた患者のデータはスマートコントラクトを介しブロックチェーン上に自動的に記録される仕組みとなっています。
LancorScientific社に関する記事はこちら
遠隔医療の促進|Doc.com
ブロックチェーン技術は遠隔医療の促進にも役立つとされています。「遠隔医療/遠隔心理療法」のサービス提供をしているブロックチェーンスタートアップ企業「Doc.com」は、国連薬物犯罪事務所(UNODC)と提携し、東アフリカの医療サービスの充実を目指しています。
同社が提供するスマートフォン専用アプリを使えば、24時間365日いつでも認定済みの医師や心理学者からアドバイスを受ける事ができるため、東アフリカの経済的な事情によって病院の診察を受けれない人々や遠方にしか病院がない地域の人々を救えると期待されています。
これまでにも世界中で何万人もの人々が既に遠隔医療サービスを利用しているため、このようなブロックチェーンベースによる医療方法が確立されれば遠隔診察がさらに普及する事も考えられます。
Doc.comに関する記事はこちら
医療情報共有プラットフォームを構築|明知病院
韓国では病院によるブロックチェーンの採用が進んでいます。高揚市にある明知(ミョンジ)病院は、ブロックチェーンスタートアップ企業「BICube」と提携し、機密データの共有をより安全に行う「医療情報共有プラットフォーム」に乗り出しています。
同プラットフォームはブロックチェーン技術がベースとなっており、パブリックとプライベートの両方のクラウドを組み合わせ、よりハイブリッドなクラウドプラットフォームを構築し、他の医療機関と医療データを安全に共有する事を狙いとしています。
他にもデータを共有する事で「コスト削減/行政手続きの省略/薬の副作用やアレルギー」と言った迅速で適切な対応が可能となり患者・病院両方にとってもメリットがあるとされています。
明知病院に関する記事はこちら
ブロックチェーン技術は医療以外の分野でも
ブロックチェーン技術は、医療業界だけでなく、宇宙開発、スポーツ、ドローン等と言った幅広い分野で採用が進み開発が行われています。
当メディアでは世界中の様々な分野の企業が日々取り組んでいるブロックチェーンの活用事例を豊富に紹介していますのでそちらも合わせてご覧ください。
ブロックチェーン技術のその他の活用事例はこちら
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