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新経済連盟:仮想通貨・ブロックチェーンの「規制明確化」求める|金融大臣に要望提出


仮想通貨(暗号資産)ブロックチェーンに関する「規制改正」や「税制変更」を求める要望書を以前から日本政府に提出している「一般社団法人 新経済連盟」は、2019年7月30日にブロックチェーンと暗号資産に関する要望をまとめた書類を金融担当大臣、経済産業大臣、IT担当大臣宛てに提出したことを発表しました。

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「ブロックチェーンWG」の議論内容を要望として提出

新経済連盟は、楽天株式会社の代表取締役会長兼社長である三木谷 浩史(みきたに ひろし)氏が率いる経済団体であり、2019年6月25日時点で「一般会員413社・賛助会員114社」の合計527社が会員として参加しています。同団体は豊富なネットワークを通じて「政策提言・要望活動・啓発活動・情報提供」などといった幅広い取り組みを進めています。

この団体には「楽天」や「サイバーエージェント」などを含めた大手企業が多数参加しており、2019年2月14日には仮想通貨やブロックチェーンに関する「規制改正」や「税制変更」を求める要望書を金融担当大臣宛に提出しています。

今回「新経済連盟」が関連大臣宛てに提出した要望書は、ブロックチェーンや仮想通貨に関連する企業が参加するワーキンググループ「ブロックチェーンWG」で議論された内容を取りまとめたものだと説明されています。

ブロックチェーンに関する要望

「ブロックチェーンに関する要望」の項目では、我が国は「世界に乗り遅れない」ではなく「世界のトップランナーを目指す」べきだと説明されており、平成元年時点では”世界の時価総額ランキング”でトップ10の7割を日本企業が占めていたにもかかわらず、それから30年が経過した平成30年時点では「日本企業が上位から消滅している」ということが説明されています。

(画像:新経済連盟)

具体的な施策としては、
・各行政分野でブロックチェーンの活用を検討すること
・ブロックチェーン活用に向けた官民協議会の設置
・協議会内で国内外の最新動向を共有し、実用化に向けた課題を洗い出すこと
・ブロックチェーン社会に向けた法規制・監督のあり方・支援などを検討すること
などが挙げられています。

また、この要望書の中では「インターネットの歴史」や「ブロックチェーンがどのように世界を変えるのか」などについても説明が行われており、ブロックチェーンの活用が期待される分野の例として、
・少額決済
・地域通貨・企業ポイント
・権利関係
・省庁間データ連携
・サプライチェーン管理
・シェアリングエコノミー
・機械間での取引自動実行
などが挙げられています。

(画像:新経済連盟)

暗号資産新法に関する要望

「暗号資産新法に関する要望」の項目は、
セキュリティトークン(投資型ICO、STO)
カストディ
ステーブルコイン
税制
に分けて詳しく説明が行われており、現在の課題を踏まえた上でイノベーションを阻害しない規制内容にすべきだと提案されています。

セキュリティトークン関連の「分類を明確化」

「資金決済法」や「金融商品取引法」は2020年4月から改正されることになっており、投資型ICOなどで発行されるセキュリティトークンは金融商品取引法が適用されることになりますが、新経済連盟は「セキュリティートークンは基本的に厳格な規制が課される”1項有価証券”に分類されることになるため、事業者側のコストが上がり、トークン発行を諦める企業が増える可能性がある」と懸念しています。

新経済連盟はこのような理由から「以下のようなケースでは”1項有価証券”として規制されないように定めるべき」だと提案しています。

・譲渡対象が制限されている
・サービス内の会員やホワイトリスト掲載者にのみ譲渡可能
・一定のロックアップ期間が設定
・スマートコントラクト等の技術により、流通性が制限されていることが担保、など

また、STOに対応した制度設計とするために、将来的には以下のようなことを検討することも求められています。

・米国の証券規制等も参考にしつつ、投資家属性等に応じたきめ細やかなルール導入
・少人数私募の取得勧誘(声かけベース)について、STOについて購入者ベースとする特例を設けることを含めた見直し
・株式投資型クラウドファンディングの1億円・50万円の上限を緩和

カストディに関する「規制や定義の明確化」

仮想通貨の管理のみを行う「カストディ」に関しては、法改正によってカストディサービス事業者も規制対象になったものの、現在の内容では「”カストディ事業者の定義”が明確化されていない」ということや「規制範囲が広範になりすぎる」といった懸念があることが指摘されており、以下のような要望が提案されています。

・カストディ事業者への該当性及び規制内容の判断はリスクベースアプローチを採用し、必要最小限の規制とする
・秘密鍵の管理方法によってリスクのないケースは、カストディ事業者とならない旨、ガイドラインにおいて明確化する
・コールドウォレットの定義を「流出リスクが十分に低減されている又はそれと同視できる状態での保管」とし、物理的
な遮断に限定しない

具体的には「他人のために仮想通貨を管理する事業者」であったとしても”リスクがない”と判断される場合には「カストディ事業者には該当しない」として、カストディ規制の適用外にすべきだといった提案などがなされています。

ステーブルコインの「規制明確化」

ステーブルコインに関しても、規制の明確化が求められており「従来の規制は”直接な通貨のやり取りが可能なステーブルコイン”の存在を想定していない」と指摘されています。

「ステーブルコイン」は”価値が安定した仮想通貨”のことを指しますが、
・法定通貨に価値が連動している「法定通貨担保型」
・金や石油などの現物資産に連動した「コモディティ担保型」
・仮想通貨を担保として「暗号資産担保型」
・通貨や証券等の複数のものを担保とした「バスケット型」
・供給量を調整する等により価値を担保する「無担保型」
などその種類は様々であるため、具体的な分類ごとの法的性質をガイドラインなどによって明確化することが求められています。

特に、法定通貨と価値が完全に連動する法定通貨担保型以外のコインは「非通貨建資産」であり「暗号資産」となることを明確化するべきだと強調されています。

(画像:新経済連盟)

税制のあり方について「再検討」を

税制については「国会の意思を踏まえた上で、仮想通貨などの取引に関する所得税の課税のあり方について検討すること」が要望として提出されており、参考として2019年2月に新経済連盟が提出した以下のような内容が記されています。
・総合課税から、申告分離課税への変更(税率は株やFXと同様の20%に)
・暗号資産間の交換は非課税とする
・損益通算や損失の繰越控除を可能とする

現在世界各国では仮想通貨やブロックチェーンに関する規制を明確化する動きが進められているため、規制内容次第では他国に大きな遅れを取ってしまう可能性があるとも言われています。

今回提出された要望は、日本国内の企業がこれらの技術を活用して事業を展開していくための重要なものでもあるため、要望を受けた各大臣がどのような対応を行っていくかにも注目が集まります。

>>「新経済連盟が公開している要望書」はこちら

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