金融庁・財務省主導の「仮想通貨版SWIFT」FATFの承認獲得|数年以内の稼働目指す
暗号資産(仮想通貨)を国内外の取引所を通じて送金する場合に"個人情報"を素早くやり取りできるようにするために「仮想通貨版SWIFTを創設する」という計画が国際的な機関である「金融活動作業部会(FATF)」によって承認されたことがロイターの報道で明らかになりました。このプロジェクトは日本の財務省と金融庁が主導していると報告されています。
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財務省・金融庁が主導する「仮想通貨版SWIFT」とは
財務省と金融庁が主導する「仮想通貨版SWIFT」は、これまで国際的な金融機関で一般的に使用されていた通信システムである「SWIFT(スウィフト)」の役割を担うものであり、国内外の業界団体や専門家が連携して開発を行っていると伝えられています。
ベルギーに本部を置く「国際銀行間通信協会(SWIFT)」は、銀行を経由して国際送金を行う際に個人情報をやり取りするためのシステムとして長い間使用されてきていましたが、近年では仮想通貨が誕生したことによって、その立場が奪われる可能性があるとも言われていました。
SWIFTを介さずに特定の仮想通貨で国際送金が処理されるようになれば、銀行や政府機関が国際的なお金のやり取りを管理することができなくなる可能性があるため、マネーロンダリング(資金洗浄)などの問題が深刻化する可能性がありました。
新しい「仮想通貨版SWIFT」が正式に機能することによって、マネーロンダリング防止のための対策になるだけでなく、仮想通貨が決済手段の一つとして国際的に存在感を高める可能性があると期待されています。
仮想通貨取引所間で「個人情報」を共有
報道によると、「仮想通貨版SWIFT」の計画はマネーロンダリング対策(AML)やテロ資金供与防止(CFT)に向けた取り組みを行なっている国際組織「金融活動作業部会(FATF)」が6月に開いた総会で承認されたと伝えられており、今後はFATF内に設置された監視チームが開発状況などを定期的に確認し、数年以内に稼働することを目指して開発を進めていく予定だと伝えられています。
6月に開催され「FATF総会」では、仮想通貨交換業者に対して「仮想通貨を送金する際に交換業者間でユーザー情報を即時に共有し、必要に応じて当局とも情報を共有できる体制を整備すること」が義務付けられましたが、膨大な数の仮想通貨取引において交換業者が"送金先の個人情報"までも入手することは技術的に難しいため、関係者の間で波紋を呼んでいました。
日本の当局は「このような問題点がある中でFATFからの勧告を受けた世界各国が直ちに国内法を整備するのは困難だ」と主張し、その代案として「仮想通貨版SWIFT」の創設を提唱したとされています。「仮想通貨版SWIFT」は世界各国の交換業者が参加するだけで情報共有を行うことができるように構築される予定となっているため、よりスムーズに現在求められている取引環境に移行することができると期待されます。
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