ブロックチェーンを基盤とした金融システムの技術的な課題や管理体制などについて研究を行う国際ネットワーク「Blockchain Governance Initiative Network(BGIN)」が2020年3月10日に発足しました。BGINには、金融庁・国際金融協会(IIF)・仮想通貨の開発者・仮想通貨取引所・大学教授などといった多くの利害関係者が参加しています。
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業界関係者でブロックチェーン研究を推進
ブロックチェーン・ガバナンス・イニシアティブ・ネットワーク(Blockchain Governance Initiative Network/BGIN)は元々、日本経済新聞社と金融庁が2020年3月9日〜10日かけて開催することを予定していたブロックチェーンをテーマとした国際会議「Blockchain Global Governance Conference(BG2C)」で設立される予定となっていましたが、同会議は新型コロナウイルスの影響で4月に延期となったため、今回の”BGIN設立”は「Blockchain Global Governance Conference(BG2C)」の特別オンラインパネル討論で発表されました。
BGINは、ブロックチェーンを基盤とした金融システムについて規制当局や技術者などといった世界各国の様々な利害関係者が議論を行い、国際ルールを定めていくことを目的とした国際ネットワークであり、オンラインで議論を進め、1年に3回会議を行う予定となっています。
ブロックチェーンを基盤としている仮想通貨には”中央の管理者”が存在しないため、規制当局・技術者・仮想通貨事業者などが共同で話し合いを行うことによって国際基準となるルールを作成し、サイバー攻撃などへの安全性を高めた安定したシステムを構築する狙いがあります。
当面の活動目標としては以下の3点が掲げられています。
- オープンかつグローバルで中立的なマルチステークホルダー間の対話形成
- 各ステークホルダーの多様な視点を踏まえた共通な言語と理解の醸成
- オープンソース型のアプローチに基づいた信頼できる文書とコードの不断の策定を通じた学術的基盤の構築
「規制当局・開発者・事業者・大学教授」などが参加
BGINの創設メンバーの中には「金融庁」や「アイルランド財務省」などといった規制当局の関係者だけでなく、「Coinbase・Huobi・Kraken」などといった仮想通貨取引所の関係者、「ビットコイン・イーサリアム」などの仮想通貨開発者、大学教授など約20名が含まれています。
現時点で「BGIN」に参加している関係者の数は限られているものの、BGINはより広範囲からの意見を集めるために幅広い分野で参加者を募集しているため、今後はさらに多くの利害関係者がネットワークに参加することになると予想されます。
仮想通貨は”既存の金融システムに革命を起こす未来の通貨”として世界中で注目されていたものの、現在は「詐欺・ハッキング・資金洗浄などへの悪用」などといった数多くの問題が発生しているため、様々な面で問題解決が求められています。
国際的に使用されている仮想通貨・ブロックチェーンの課題を解決するためには”世界各国の利害関係者の協力”が必要不可欠であり、単一の国の規制当局などが対策するだけでは解決できない問題が数多く残されているため、「BGIN」のネットワークが拡大していくことによって、仮想通貨・ブロックチェーンの利点を最大限に活用していくための基盤が整えられていくことになると期待されます。
次回の会合は2020年秋に開催される予定となっており、2021年初頭にも会議を開催することが予定されています。