米国の大手銀行グループであるJPモルガン・チェースは暗号資産戦略部門を創設し、29歳のOliver Harris(オリバー・ハリス)氏をトップに任命しました。
暗号資産戦略部門のオリバー・ハリス氏
2015年以来、JPモルガンのFintech(フィンテック)とIn-Residenceプログラムを率いているロンドン在住のハリス氏は過去2年にわたってJPモルガンで有望なスタートアップ企業を見つけ出して提携関係を構築するプログラムを率いてきました。
ブロックチェーン開発部門トップのUmar Farooq(ウマル・ファルーク)氏の下で、この新たな役職に就くハリス氏は、JPモルガン・チェースとカナダ・ナショナル銀行が先月テストを開始した、JPモルガンのブロックチェーンプロジェクト「Quorum(クォーラム)」の指揮も執る予定となっています。
ビジネス・インサイダーによると、ハリス氏は積極的に仮想通貨を取引するわけではなく、同銀行のために新たな仮想通貨プロジェクトを見つけ出し、その指揮を執るのが役割となるとのことで、仮想通貨のカストディ(保管)サービスやブロックチェーンをJPモルガンの決済ビジネスでどのように役立てることができるかについての調査も行うと報じられています。
共同設立者は前向きな姿勢
JPモルガンの共同社長であるDaniel Pinto(ダニエル・ピント)氏は、CNBCからのインタビューに対して仮想通貨に対する前向きな姿勢を示しています。
ピント氏は「金融システムのトークン化は現実であり、多くの中央銀行で研究されている」と述べています。しかしその反面「仮想通貨の採用は現在の形では不可能である」とも語っています。
これまで主な大手投資銀行は仮想通貨に対して懐疑的な立場をとってきました。
JPモルガンは2月に、クレジットカードで仮想通貨を購入することを禁止しており、米証券取引委員会(SEC)に提出した17年度アニュアルレポートでは、仮想通貨はリスク要因の一つに含めていました。
会長兼CEOは仮想通貨にあまり興味がない
JPモルガンの会長兼CEOであるJamie Dimon(ジェイミー・デイモン)氏は昨年の9月に、ビットコイン(BTC)を「詐欺である」と述べており、同社の口座でビットコイン取引を行う従業員は全員クビになるだろうとまで語っていました。
しかし今年の1月にはそれらの発言を後悔していると述べており、そもそも仮想通貨にはあまり興味がないということを明かしています。
その一方で、JPモルガンの巨大な競争相手であるゴールドマン・サックス(GS)は最近、トレーダーであるJustin Schmidt氏を迎えて、仮想通貨コラボレーション派生商品を取引するための新しい部門と、潜在的には資産そのものに取り組んでいます。