金融安定委員会(FSB)の議長であり、イングランド銀行(BoE)の総裁でもあるマーク・カーニー(Mark Carney)氏は、仮想通貨の極端なボラティリティが安全な取引の妨げになると指摘しています。
銀行の役割は金銭に対する信頼を維持すること
イングランド銀行(BoE)の総裁であるマーク・カーニー(Mark Carney)氏は「銀行の主な役割は金銭に対する信頼を維持することである」と語っています。
仮想通貨については、現在のボラティリティが安全な取引の妨げになると述べており、中央銀行のデジタル通貨発行については真剣に検討されていないようです。
カーニー氏はストックホルムのパネルで「機関の過去、現在、未来が公衆の信頼を維持することになる」と述べており、金融危機以降のイングランド銀行が、予期せぬ問題に対してより弾力性を持たせ、金銭を安全に保つために金融システムの見直しを行い、改革してきたことを改めて語っています。
中央銀行によるデジタル通貨発行の見通しについては「現在デジタル通貨は金銭の役割を果たしていないため、このような動きは差し迫っていない」と語っています。
デジタル通貨は金銭として失敗した
カーニー氏は以前、仮想通貨の政府規制を求めており「暗号資産の生態系を他の金融システムと同じ基準に保つ時が来た」と述べています。
金融安定委員会(Financial Stability Board)の責任者でもあるカーニー氏によると、仮想通貨の監視を強化することを求める業界関係者の数は増えているとのことです。
カーニー氏は「デジタル通貨は『極端なボラティリティ』を持っており、このボラティリティのためにデジタル通貨自体が一種の金銭として失敗した」と主張しています。
BoE発行のデジタル通貨
イングランド銀行が『デジタル通貨の発行がもたらす影響』について研究している一方で、政府閣僚は「すぐに立ち上げる計画はない」と述べています。
労働党議員であるバリー・シェーマン氏は今年の2月に、政府はデジタル通貨の導入についてどのように考えているかを尋ねた。
財務省長官のジョン・グレン氏は「政府は平易なデジタル通貨を導入するか」という問いに対して次のように述べています。
「イングランド銀行は現在、中央銀行によるデジタル通貨の発行を計画していないが、中央銀行がデジタル通貨を発行することの意味をよりよく理解するための調査に着手している」
しかしこれらの取り組みは、英国の世論に反しているようです。
最近行われた市場調査では、調査対象者の60%が『BoEが支援するデジタル通貨に賛成ではない』と回答しています。
この調査では英国人の93%がビットコイン(BTC)について聞いたことがあると回答しており、1年間で仮想通貨の認知度が大きく高まったこともわかっています。
ここ最近で世界の大手金融機関が続々と仮想通貨への取り組みを発表しています。
今後市場が安定し現在懸念されている問題が解決されれば、イングランド銀行のデジタル通貨も現実となるかもしれません。