経営破綻した米国の暗号資産取引所「FTX」が業務再開を検討していることが明らかになりました。今回の発表を受けて、FTXトークン(FTT)の価格は2倍以上にまで急騰しています。
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FTX「暗号資産取引所の業務再開」を検討
2022年11月に経営破綻した米国の暗号資産取引所「FTX」の弁護士であるAndy Dietderich氏は2023年4月12日に、アメリカ・デラウェア州破産裁判所で開催された公聴会で証言を行った際に「FTXが暗号資産取引業務の再開を検討していること」を明らかにしました。
Andy Dietderich氏の報告によると、FTXが回収した資産は現金と仮想通貨を合わせて約73億ドル(約9,700億円)ほどあるとのことで、2023年1月以降で8億ドル(約1,100億円)以上増加したとも報告されています。
FTXは現在、会社の将来のための今後の取り組みについて関係者と多くの選択肢について話し合いを行なっている段階で、「暗号資産取引所の業務再開」は交渉が行われている選択肢の1つとされています。
これについては「今四半期中(4月〜6月)に決定がなされる可能性がある」とも伝えられているものの、取引所を再開する場合は多額の資本を調達する必要があるため、現在は「FTXが回収した資産を使用するか」「第三者からの投資で調達するか」などについて社内で議論が交わされているとも報告されています。
さらに「FTXの顧客は”現金で受け取るはずだった収益の一部を、今後の取引所に対する何らかの権利で受け取る”という選択肢を選べる可能性がある」とも伝えられていますが、同弁護士は『FTX再開の可能性は多くの可能性のうちの1つであり、いかなる決定も最終決定にはほど遠い』と強調しています。
現状、資産引き出しが可能なのは日本の顧客のみ
なお、日本居住者向けの暗号資産取引所である「FTX Japan」では2023年2月21日から法定通貨と暗号資産の出金・出庫サービスが再開されていますが、資産の引き出しが可能になっているのはFTXグループ全体で”日本の顧客のみ”であるとのことで、日本の堅牢な暗号資産規制によって日本ユーザーの資金回収がスムーズに進んだことも説明されています。
FTX経営破綻などを含めた複数の問題によって、日本の仮想通貨規制の堅牢性は再び注目を集め始めており、自民党デジタル社会推進本部のweb3プロジェクトチーム(web3PT)が今月公開した「web3ホワイトペーパー(案)」の中では、『現在の厳しい冬の烈風は、web3の真価を問い直し、新たな革新の芽を育む好機である』との見解が示されています。
なお、FTXに関しては2023年4月12日の発表で「スイスの裁判所がFTXの欧州事業”FTX Europe”の売却を含む戦略的選択肢を探ることを可能にする手続きを承認した」ということも報告されています。
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FTXトークン(FTT)の価格は急騰
FTXの仮想通貨であるFTXトークン(FTT)の価格は、FTX破綻の影響を受けて170円付近まで下落していましたが、今回の報道後には価格が急騰して一時的に362円付近まで回復しています。