仮想通貨法人税のルールを一部改正
日本の仮想通貨業界で以前から税制改正を求める声があがっていた「暗号資産を発行する法人にかかる税金」のルールが一部改正されることが明らかになりました。
これまでの日本の法律では「国内の法人が暗号資産を保有している場合には、期末に時価評価を行なった上で含み益に課税する」というルールが採用されていたため、”暗号資産を自社発行する国内企業は期末時に多額の税金を課される可能性がある”という問題がありました。
このような理由から日本は暗号資産を新規発行するビジネスを立ち上げにくい状態となっており、「現在の税制は暗号資産やブロックチェーン技術を活用したイノベーションの阻害要因になっている」と指摘されていましたが、今回はこの暗号資産法人税のルールが一部改正されることが決定しました。
このルール変更は、日本の国税庁が2023年6月20日に発表した法令解釈通達の中に記載されており、日本ブロックチェーン協会(JBA)からも今回の件についての報告がなされています。
法人税の問題点に関する指摘
条件を満たせば時価評価の対象から除外
今回の法令解釈通達の中では「法人が自社発行した暗号資産については、特定の条件を満たせば時価評価の対象から除外する」ということが説明されており、具体的には以下2つの条件の両方に該当する場合には時価評価の対象から除外されると説明されています。
- 自社が発行した暗号資産で、その発行時から継続して保有しているものであること
- その暗号資産の発行時から継続して次のいずれかにより譲渡制限が付されているものであること
- 他の者に移転することができないようにする技術的措置として一定の措置がとられていること
- 一定の要件を満たす信託の信託財産としていること
今回決定した改正内容は「自社発行の暗号資産」に関連するものであるため、「他社発行の暗号資産」に関連する税金の課題は残されているものの、この改正によって日本国内で暗号資産を新規発行する事業が立ち上げやすくなるため、国内の仮想通貨業界発展やイノベーション推進につながる可能性があると期待されています。
なお、仮想通貨の税金に関しては「申告分離課税・損失の繰越控除の導入、暗号資産同士の交換時における課税の撤廃」を求める声も以前からあがっているため、今後の動きにも注目です。
確定申告の準備はお早めに
(国税庁発表)