金融庁:暗号資産関連の内容含む「2023年度の税制改正要望」を公表
金融庁は2022年8月31日に、令和5年度(2023年度)の税制改正要望を取りまとめたことを発表しました。今回の税制改正要望の中には、仮想通貨・ブロックチェーン業界で注目されていた『暗号資産の期末時価評価課税に係る見直し』の項目も含まれています。
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暗号資産の課税見直しなどを要望
金融庁は2022年8月31日に、令和5年度(2023年度)の税制改正要望を取りまとめたことを発表しました。
日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)と日本暗号資産取引業協会(JVCEA)は2022年7月29日に「暗号資産に関する2023年度の税制改正要望書」を金融庁に提出して暗号資産関連の税制改正を求めていましたが、今回公開された「令和5年度の税制改正要望」の中には暗号資産関連の項目も含まれています。
金融庁が取りまとめた「令和5年度の税制改正要望」の4項目目には『暗号資産の期末時価評価課税に係る見直し』という項目が含まれており、経済産業省が共同要望していることも説明されています。
この項目は以前から頻繁に問題点が指摘されていた「暗号資産を発行する法人にかかる税金」に関する内容となっており、『ブロックチェーン技術を活用した起業などの阻害要因を除去して、Web3推進に向けた環境整備を図るためにも、発行した企業が自ら保有する暗号資産については期末時価評価課税の対象から外すべきである』という考えが説明されています。
【現状及び問題点】
○内国法人が有する暗号資産(活発な市場が存在するもの)については、税務上、期末に時価評価し、評価損益(キャッシュフローを伴わない未実現の損益)は、課税の対象とされている。
○こうした取扱いは、キャッシュフローを伴う実現利益がない(=担税力がない)中で継続して保有される 暗号資産についても課税を求めるものであり、国内においてブロックチェーン技術を活用した起業や事業開発 を阻害する要因として指摘されている。【要望事項】
ブロックチェーン技術を活用した起業等への阻害要因を除去し、Web3推進に向けた環境整備を 図る観点から、法人が発行した暗号資産のうち、当該法人以外の者に割り当てられることなく、 当該法人が継続して保有しているものについては、期末時価評価課税の対象外とすること。
現在の日本の税制は「企業が期末まで暗号資産を保有していた場合には、期末時の時価に基づいて"保有している暗号資産の含み益"にも課税される」という仕組みとなっているため、「日本で暗号資産を新規発行してビジネスを行った場合には多額の納税によって手元資金が枯渇し、事業継続が困難になる」と指摘されており、"国内スタートアップが税金負担を減らすために海外へと拠点を移している"ということも問題視されていました。
令和5年度税制改正要望の中に記載されている「暗号資産の期末時価評価課税に係る見直し」の要望が認められれば、暗号資産関連スタートアップの海外流出を減らし、日本国内のWeb3推進にもつながると期待されています。
ただし今回の税制改正要望には、以前から要望の声が非常に多く出ている「20%の申告分離課税適用」「3年間の損失繰越控除」などの内容は含まれていないため、仮想通貨コミュニティからは現在もこのような内容の税制改正を求める声が多くあがっています。