Ledger(レジャー)は2023年10月24日に、リカバリーフレーズや秘密鍵を紛失した場合でもウォレットを復元できるようにするオプション機能「Ledger Recover」の提供を開始することを発表しました。
復元サービス「Ledger Recover」提供開始
ハードウェアウォレットを展開している「Ledger」は2023年10月24日に、シークレットリカバリーフレーズ(SRP)の復元サービス「Ledger Recover」の提供を開始することを発表しました。
Ledger Recover(レジャー・リカバー)は、ID情報を利用したキーリカバリーサービスであり、「ユーザーID」と「Ledgerデバイス」を使用することによって仮想通貨ウォレットの復元で必要となる秘密鍵・リカバリーフレーズを安全に復元できるようになっています。
自己管理型ウォレットを作成する場合には、ウォレットを復元するために必要となる「秘密鍵」や「リカバリーフレーズ」が生成されますが、これらの情報を無くしてしまうとウォレットにアクセスできなくなるため、秘密鍵などの管理は注意すべき重要な点の1つとなっていました。
新たに提供開始された「Ledger Recover」はこのような問題を解決するための新サービスであり、何らかの理由で復元フレーズにアクセスできなくなった場合に、Ledgerデバイスを使用して秘密鍵を安全に復元できるように設計されています。
一部では批判的な意見も
Ledger Recoverの仕組み
Ledger Recoverは、ユーザーのウォレット復元で必要となる情報を暗号化して3つのパーツに分割し、各パーツを「Coincover、Ledger、EscrowTech」という3つの会社で別々に保管することによって安全性を確保しています。
各社が保管する暗号化されたパーツはそれ自体ではウォレット復元に利用できないようになっており、ウォレットにアクセスしたい場合には、3社のうちの2社がパーツをLedgerデバイスに送り返し、それらを再度組み立てることによって秘密鍵を構築する仕組みとなっています。
秘密鍵の構築に必要なパーツは3つのうちの2つであるため、仮に1社が廃業した場合でも、別の信頼できる会社が鍵を置き換えるまでの期間に、秘密鍵を復元することが可能です。
実際に秘密鍵を復元する場合には「Ledger Recover」にログインした後に「Ledger Nano X」を接続して個人情報を認証し、ID認証プロバイダーが本人確認を実行するとシークレットリカバリーフレーズ(SRP)のバックアップが「Ledger Nano X」に復元されると説明されています。
なお、Ledger Recoverはオプション機能として提供される復旧サービスであり、ソースコードは「GitHub」で公開されています。
対応デバイスも拡大予定
Ledger Recoverは記事執筆時点で「Ledger Nano X」との互換性を有しているとのことですが、将来的には「Ledger Stax」と「Ledger Nano S Plus」でもこの機能を利用できるようになると伝えられています(Ledger Nano Sは非対応)。
サービス開始時点でLedger Recoverを利用するためには「EU・英国・カナダ・米国で発行されたパスポート/国民IDカード」が必要になるとのことですが、今後数ヶ月以内には「より多くの国」や「異なる書類」にも対応する予定だと説明されています。
Ledgerは「日本語表記のLedger Recover公式ページ」も公開しているため、サービスの詳細はこのページから確認することができます。