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発足後2ヶ月で仮想通貨協会の副会長2名が辞任|これまでの経緯と今後の影響は?


仮想通貨交換業協会(JVCEA)の副会長2名が自主的に辞任の申し入れを行ったことが、25日に明らかになりました。今回辞任を決定したのは、bitFlyer(ビットフライヤー)代表取締役の加納裕三氏とbitbank(ビットバンク)代表取締役社長の廣末紀之氏です。発足からわずか2ヶ月で発表された今回の件について、これまでの経緯と今後への影響などについての情報をいくつか紹介します。

日本仮想通貨交換業協会とは?

協会設立時の会見の様子。前方左から3人目が廣末紀之氏、前方右から3人目が加納裕三氏

日本仮想通貨交換業協会は、2018年4月23日に金融庁から仮想通貨交換業の登録を受けた16社によって一般社団法人として設立されました。
同協会は、業界団体として仮想通貨の取り扱いに関する各種ルールを整備し、金融庁から自主規制団体として認定されることを目指しています。

発足時のメンバー

日本仮想通貨交換業協会は、設立時に臨時社員総会および第1回理事会を開催し、会長にはマネーパートナーズ代表取締役社長の奥山泰全氏、副会長としてbitFlyer(ビットフライヤー)代表取締役の加納裕三氏およびbitbank(ビットバンク)代表取締役社長の廣末紀之氏が就任しました。

また同協会の理事には、この3名に加えでSBIバーチャル・カレンシーズ代表取締役執行役員社長の北尾吉孝氏とGMOコイン代表取締役社長の石村富隆氏が選任されています。

協会に参加する全16社

日本仮想通貨交換業協会のメンバーは以下の16社です。

仮想通貨交換業協会の目的

同協会は、2018年1月に起きたcoincheck(コインチェック)からの仮想通貨ネム(NEM)が大量に流出して事件を受けて、最低限必要なルールを整備し、業界各社でルールを遵守する実態を作り、それを金融庁が認めて自主規制団体として認定されることを目標としていました。

コインチェックのNEM流出事件についてはこちら

奥山会長は当時の記者会見で「新規に参入する業者は多い方が望ましい」とコメントしており、その理由として「今の16社だけでは自主規制団体を運営する負担が大きい」と説明しています。自主規制団体は、業者を検査する能力や、ルール違反があった場合の処分を決める委員会などの機能を備える必要があり、予算規模もそれなりに大きくなると説明していました。

団体による自主規制がうまく機能すれば、新規の仮想通貨交換業者の登録などが再開されて仮想通貨ビジネス全体が再び回転し始めると期待されており、奥山会長は「いち早く信頼を回復し、仮想通貨市場を発展させていきたい」と語っていました。

加納裕三氏と広末紀之氏の辞任

このような経緯で発足した日本仮想通貨交換業協会は6月25日に、副会長2人から自主的に辞任の申し入れがあったことを発表しました。両者は金融庁から業務改善命令を受けたことの「けじめをとる」といった理由から辞任を決定したと報じられています。

今回辞任したのは、bitFlyer(ビットフライヤー)の加納裕三社長と、bitbank(ビットバンク)の広末紀之社長の2名であり、両社はともに金融庁から改善命令を受けています。

今回の辞任は『仮想通貨業界の一致団結を妨げる可能性がある』という意見も上がっており、『健全な発展を阻害しかねない』などといった懸念の声も上がっています。国内の大手仮想通貨取引所である2社の代表が辞任したことによって、バランスが崩れる可能性があるとも考えられるため、JVCEAには今後さらに仮想通貨業界の足並みを揃えることが求められています。

協会設立当初、加納氏は副会長として「協会の活動が世界の規範となるよう、真摯に取り組んでいきたい」と語っており、廣末氏も「業界内でなかなか足並みが揃わなかった。このように一致団結でき、うれしく思う」と述べていました。

後任の人物は?

今回2名が辞任したことによって、同協会の副会長は空席の状態となることになりましたが、今後新たな人物が副会長の座に就任する予定は決まっていないようです。

今回の報じられている内容によると、副会長は当面の間は空席となると言われています。

今後の予定

副会長2名が辞任したことが今後の自主規制案作りにどう影響するかについての詳しい情報は明らかにされていませんが、既にいくつかの自主規制案も出されており、インサイダー取引の禁止や成果型報酬による勧誘広告の禁止、マネーロンダリング(資金洗浄)対策といった取り組みを行うとも報じられています。

同協会は「引き続き、利用者の利益の保護及び仮想通貨交換業の健全な発展に向けて、自主規制規則の早期の制定を含め、会員一同、一丸となって全力を尽くす」としており、自主規制ルールを来月には金融庁に提出する予定であるとされています。

またbitFlyerとbitbankの2社は、金融庁から22日に業務改善命令を受けているため、当面は業界活動よりも自社の内部管理体制の整備を優先するとしています。

金融庁は、仮想通貨交換業社16業者のうち、ビットフライヤーとビットバンクを含めた計6社に対して業務改善命令を出しています。

6社に出された改善命令の内容はこちらに記載しています

仮想通貨の価格推移|2018年6月26日

2018年6月26日 ビットコインのチャート(引用:coingecko.com)

今回の辞任が発表された25日、ビットコイン(BTC)の価格は一時的に644,000近くまで下落したものの、その後すぐに回復し、26日15時の時点では1BTC=685,000円前後で取引されています。

またその他の主要な仮想通貨に関しても特に大きな価格の下落は見られておらず、時価総額トップ5の仮想通貨は全体的にやや回復しています。

2018年6月26日 トップ5の仮想通貨の価格(引用:coingecko.com)

bitFlyer(ビットフライヤー)で入出金遅延

しかし現在ビットフライヤーでは、入出金遅延が起こっていると発表されています。
少し前から入出金できない状態が続いており、入出金を依頼した一部ユーザーの資金が承認待ちとなっていると言われています。

またユーザー全員には届いていないものの、一部のユーザーには日本円の入出金や本人確認に関するメールが届いているとも報告されています。

具体的な対応方法や運営側への問い合わせはできないようで、ビットフライヤーの入出金ページには再確認をするため反映が遅れるとの注意事項が追加されています。

日本円のご入金・ご出金や仮想通貨のお預入・ご送付に際し通常よりお時間をいただく場合がございます。

当社は現在、取引時確認事項の再確認を行っております。
日本円のご入金・ご出金や仮想通貨のお預入・ご送付は再確認完了後の反映となるため通常よりお時間がかかる場合がございます。
再確認の結果、お客様のご登録情報に万が一不備・不足が認められた場合、追加のご対応をお願いする場合があり、
反映は全ての確認が完了した後の反映となりますことをご了承ください。
恐れ入りますが、何卒ご理解とご協力のほどお願い申し上げます。

ここ最近では韓国の仮想通貨取引所Bithumbのハッキング事件や金融庁から業務改善命令、ビットフライヤーの新規登録停止、今回の辞任などといったが発表が続いているため、複数の理由から仮想通貨の出金を行うユーザーも増えていると考えられます。また、今後もその他の仮想通貨取引所が一時的に通常業務に支障をきたすことも考えられるため、取引所を利用されている方は各取引所からの今後の発表にも注意しておく必要があるでしょう。