G20諸国の財務大臣と中央銀行総裁は、7月21〜22日の2日間に渡ってブエノスアイレスで仮想通貨に関する会議を行いました。この会合では決定的な結論に至ることはできなかったものの、参加した多くの指導者たちは暗号資産に対して肯定的な意見を表明しています。
こちらから読む:G20のこれまでの仮想通貨規制など
仮想通貨の将来性
G20によって発表された報告書では、仮想通貨やその基盤となる技術は金融システムの効率性を改善する可能性を秘めていると記されています。
その基礎となる暗号資産を含む技術革新は、金融システムと経済の効率性と包括性をより広範に向上させる可能性を秘めています。
この内容には、仮想通貨やブロックチェーンの技術をこれまで以上に高く評価していることが現れています。以前から仮想通貨やそれらの技術を評価する見解を述べていたG20のメンバーは、現在もそれらの技術にさらなる可能性を感じていることが伺えます。
現在の懸念点
仮想通貨に将来性があることを示した上で、現状としてマネーロンダロング(資金洗浄)などの複数の問題点が残っていることも指摘されており、「今後も引き続き警戒を続けていく」と説明されています。
しかし、暗号資産は消費者および投資家の保護、市場の健全性、脱税、マネーロンダリング及びテロ資金調達に関する問題を提起します。暗号資産にはソブリン通貨(*1)の主要な特性が欠けています。暗号資産は現時点では世界的な金融システムの安定性にリスクを与えていませんが、私たちは引き続き警戒を続けています。
(*1)ソブリン通貨:政府や政府機関などが発行し、その価値を保証している通貨
犯罪行為での使用
しかし多くの地域で公式に発行されている報告書によると、仮想通貨は犯罪行為にはほとんど使用されていないということが記されています。
英国国家犯罪庁(NCA)は、「デジタル通貨がマネーロンダリングに使用されるリスクは比較的低い」と報告しています。
香港金融サービス財務省(FSTB)は、「仮想通貨は脅威ではなく、組織的な犯罪には属していない」としています。
さらにケベック州政府は、「ビットコイン(BTC)を違法行為に使用するケースは年々減少している」とも述べています。
今後の基準の明確化
またG20首脳たちは、規制問題に関して金融活動作業部会(FATF)が2018年10月までに脱税、テロリスト、マネーロンダリングなどの犯罪を防止のためのガイドラインを作成することを求めています。
FATFは2015年6月に仮想通貨の規制に関するガイドラインを発表しています。その時公表された内容の中では、
・仮想通貨取引所の登録制・免許制の導入
・顧客の本人確認(KYC)
・記録保存の義務化
・疑わしい取引の届け出
などが必要であるといったことが記されており、この発表を受けた日本はこれらの基準に準拠する形で仮想通貨関連の整備を行い、現在の規制が実施されています。
またFATFは、今回の会合に先立って18日に報告書を提出しています。この報告書の中では、9月に一度中間会合を開催し、それらの基準を仮想通貨にどのように適用するかについての話し合いが行われます。この協議の後に仮想通貨への基準を明確化して、10月に発表することが予定されています。
ここ最近では、仮想通貨やブロックチェーンの先進国でも、着々と法整備が進められています。