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ビットコインETFが生む「価格上昇と多くの問題」専門家アンドレアス・アントノプロス


仮想通貨の専門家であるAndreas Antonopoulos(アンドレアス・アントノプロス)氏は、金融機関などに対して否定的な立場を取っており、ビットコインETFのような金融商品は「ピア・ツー・ピア(P2P)資産の原則を根本的に損なう」と主張しています。

こちらから読む:そもそもビットコインとは?根底にある技術や思想を理解する

Andreas Antonopoulos(アンドレアス・アントノプロス)

Andreas M Antonopoulos(アンドレアス・M・アントノプロス)氏は、イギリス人とギリシャ人の両親を持つビットコインの提唱者として知られる人物です。経済学、心理学、技術、ゲーム理論などを現在の出来事や個人的な逸話、歴史的な前例と組みわせた詳しい解説を行うことでも知られており、ブロックチェーン技術に関連する複雑な問題を現実世界の事柄と掛け合わせることによって、抽象的にわかりやすく翻訳されていると高い評価を受けています。

「Mastering Bitcoin」の著者として知られるベストセラー作家でありながら、講演者でもあり、教育者でもあります。また初期の頃からのビットコインとオープンブロックチェーンの専門家の1人としても知られています。

Mastering Bitcoin

BBC、Bloomberg Business、CNN、The Economist、Forbes、Motherboard/VICEといった世界的に影響力のある大手メディアからのインタビューなどにも数多く出演しており、世界中の技術とセキュリティの会議でも専門家として頻繁に講演を行っています。

ビットコインETFの懸念点

アンドレアス氏は、仮想通貨コミュニティとの月例Q&Aセッションの一貫として、オンラインセッションの中で仮想通貨に関連する様々な側面について語り、ビットコインETFの採用に賛成ではないことを明かしました。

価格操作の悪化

彼は、ビットコインETFが正式に提供されることによって巨額に価格上昇が起きる可能性は高いものの、それと同時に価格操作の割合も更に大きくなると指摘しており、特に大規模な機関やマーケットメーカーはETF市場だけでなく世界中の価格を操作できるようになるとも説明しています。

アンドレアス氏は”ETF時代”の到来を待ちわびている訳でもなく、魅力を感じている訳でもありません。彼は「私はビットコインETFに反対しているし、購入することもないだろう」と述べています。

しかし同氏は、ビットコインETFの時代は将来的には訪れることになるとも語っており、その理由として「現在の市場には巨大な欲望が渦巻いており、技術的な知識がほとんど無いため、機関投資家は安易にビットコインを保有することはできない」と説明しています。

ハードフォーク時の問題

さらにアンドレアス氏は、Bitcoinネットワークで将来的に新たなハードフォークが起こった場合の懸念についても説明しています。

彼は、「2017年にビットコインキャッシュ(BCH)が新たに誕生した時の出来事と比較すると、当時と同様のパターンが繰り返されると予想されるものの、ETFの場合には遥かに大きな金額が必要となるだろう」と述べています。

アンドレアス氏は最終的に、投資家たちは自分の秘密鍵を保持するのではなく、仲介者を通じて仮想通貨を保管することになるため、投資家は常に”2層になる”と結論づけました。

ビットコイン考案者からの指摘も

先日は、ビットコインの考案者の一人として知られるNick Szabo(ニック・サボ)氏も「価値よりも多くの問題を引き起こす可能性がある」と主張し、ETF商品が市場に出ることに対する不信感を表明しています。

米国証券取引委員会(SEC)は先月、ウィンクルボス兄弟が提出した2度目のETF提案を拒否すると共に、その他の申請に関する決定も延期しており、仮想通貨ETFに関しては非常に慎重な姿勢を示しています。