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Walmart:ブロックチェーンを食品の衛生管理に活用|レタスの安全性を向上


ブロックチェーン技術を用いて食品の安全性を確保するための取り組みが本格化しています。世界最大の小売業者である「Walmart(ウォルマート)」は、米国で問題となっている”大腸菌”による健康被害に対処するために、店頭に並ぶレタスに関係する生産や流通などのあらゆる情報を「Blockchain」上に記録して管理するための活動を開始しました。

こちらから読む:食品の情報も安全に記録できる「ブロックチェーン」の仕組み

ブロックチェーンで「食品汚染」の問題解決へ

アメリカ・アーカンソー州に本部を構える世界最大のスーパーマーケットチェーン「Walmart(ウォルマート)」と同社の会員制スーパーマーケットである「Sam’s Club(サムズクラブ)」は、契約しているレタスの供給業者に対して野菜に関する情報をブロックチェーン上に記録するよう求めています。

この取り組みは食品汚染の問題を解決することを目的としたものであり、ブロックチェーン上で野菜の情報を管理することによって、食品を生産する段階から実際に店舗に届くまでのあらゆる情報に透明性をもたらし、野菜の安全性を向上させることを目指しています。

具体的な導入時期については、2019年9月30日までにはこのシステムを立ち上げる予定であると発表されており、現時点では野菜の生産に関連する業者に対して実際にブロックチェーン技術を導入するために協力を求める手紙が送られている段階だと説明されています。

アメリカで流行する「大腸菌ウィルス」

ウォルマートは今回の発表の中で、米国における「ロメインレタスによる”大腸菌ウィルス”の問題」について指摘しています。

アメリカでは大腸菌ウィルスの被害が深刻化しており、5人の死亡者と96人の入院患者も出ているため、食品の衛生管理が非常に重要になっています。「米疾病対策センター」の保健当局は今年6月に「アリゾナ州ユマで栽培されたレタスを食べないように」と米国の国民に警告を発表しています。

この発表では、汚染されたレタスが「アリゾナ州ユマで生産されたレタス」だとはっきり伝えられていたにも関わらず、実際にレタスを購入していた消費者が”どのレタスが安全なのか”を正確に特定することができなかったため、その他の安全なレタスも「消費者からの信頼」を失うことになり、結果的には多くの農家や従業員が経済的な被害を受ける結果となってしまいました。

ブロックチェーン技術を使って野菜の情報を管理することによって、食品の安全性を保障することができるだけでなく、実際に汚染問題が発生した際にも“その食品が安全であるかどうか”を素早く確認することができます。

従来使用されていた”紙ベース”の追跡方法では、食品が実際にどこから来たのかを調査するためには7日間かかってしまう可能性があるとも説明されていますが、ブロックチェーン技術を使用すると、食品の追跡にかかる時間はわずか数秒にまで短縮することができると説明されています。

これにより、食品を販売する業者は食品の衛生問題にも素早く対処することが可能になり、消費者も簡単な方法で”安全な食品はどれなのか”を確認することができるようになります。

ブロックチェーンは「安心・安全」の目印に

CNBCの報道によると、WalmartはIBMの「Food Trust Blockchain(フード・トラスト・ブロックチェーン)」の技術を18ヶ月間に渡ってテストしており、マンゴーなどの果物やチキンなどの食用肉に至るまでのあらゆる食品を追跡していると報告されています。

これらのブロックチェーン・ソリューションを利用することによって、食品が生産者の元から消費者の元にたどり着くまでのあらゆる情報を安全に管理することができ、従来の”紙ベース”の管理方法よりもはるかに低コストでそれらの情報を管理することができるようになります。

食品の品質管理の問題は世界共通の重要な課題であり、これまでにも農業、小売業などの様々な業界に携わる人々が悩まされ続けてきました。ブロックチェーン技術の有用性はこのような問題を大幅に改善できる可能性が極めて高いと考えており、現在は多くの業界関係者がこれらの技術に注目しています。

ブロックチェーン技術の持つ最大の特徴を生かしたこのような取り組みは、今後も世界中で導入が進み、安心して食べられる「安全な食品」を見分けるための重要な手段の一つとなっていくと考えられます。

ブロックチェーン技術を活用した品質保証のプロジェクトは、この他にも数多く進められており、仮想通貨を利用したサービスなども進められています。小売業界や物流業界を大きく変革するこれらのプロジェクトには今後も期待が高まります。