世界最大の航空宇宙機器開発製造会社である「Boeing(ボーイング)」は、人工知能(AI)を扱う「SparkCognition(スパークコグニション)」と協力してブロックチェーン(Blockchain)を搭載した空域管理ソフトウェアプラットフォーム「SkyGrid(スカイグリッド)」を立ち上げる計画を発表しました。
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無人航空機システムのトラフィック管理を改善
Boeing(ボーイング)は、2018年7月に人工知能(AI)などの技術を扱っている「SparkCognition(スパークコグニション)」と提携を結び、無人飛行機を追跡するためのブロックチェーン駆動型ソリューションの開発に着手しました。この取り組みでは、ボーイングが飛行機の開発に必要な専門知識を提供し、SparkCognitionはAIのインフラストラクチャの作成を担当しています。
ボーイングが今回発表した「SkyGrid(スカイグリッド)」は、空域を管理するためのソフトウェアプラットフォームであると説明されており。
・人工知能(AI)
・データ分析
・分散型元帳
・サイバーセキュリティアプリケーション
などの、複数のテクノロジーを組み合わせたソフトウェアプラットフォームだと説明されています。
このプラットフォームは、無人航空機システム(UAS)のトラフィック管理を改善することができると伝えられており、ユーザーはデータ配信、産業検査、緊急支援などの機能を使用して幅広いミッションやサービスを安全に実行することができると説明されています。
安全かつスムーズな航空輸送を実現
ボーイングは、長期間に渡って「自律型飛行機」の開発に取り組んでおり、最近では「ボーイング・ネクスト(Boeing NeXt)」の立ち上げも発表しています。ボーイング・ネクストは「自律型航空機」や「スマートシティ」などの次世代の推進力となる分野への研究開発と投資のほか、人とモノを実証済みの技術で輸送する方法を追求し、未来の輸送における様々な課題に取り組んでいます。
ボーイング・ネクストのSteve Nordlund(スティーブ・ノードルンド)氏は、同社とSparkCognitionの協力関係は宇宙航空業界全体で唯一のものだと語り、『SkyGridは世界中の何十億もの人々にとって安全かつシームレスな商業的・個人的な輸送を可能にするデジタルインフラを構築している』と付け加えました。
報道によると「SkyGrid」のプラットフォームは、ブロックチェーンやAIの技術を使用することによって、エラーの可能性を減らし、格納されている情報が安全であることを保証することができると伝えられているため、プロジェクトが進むにつれて航空業界の幅広い場面で使用されていくことになると予想されます。
「SparkCognition」の創業者兼CEOでありながら、SkyGridのCEOでもあるAmit Husain(アミット・フセイン)氏は、SkyGridについて次のように説明しています。
SkyGridは、AI・ブロックチェーン・セキュリティ・航空輸送分野の専門知識を統合して、急速に成長する航空宇宙産業に画期的な技術的進歩をもたらします。
単一の統合フレームワークでスケーラブルかつ堅牢な機能を提供することによって、SkyGridは大規模な航空機アプリケーションをより実用的かつ便利なものへと変えるでしょう。
フセイン氏は「SkyGrid」のプラットフォームが効率的に拡張できるように構築されていると述べており、大規模な航空機向けのアプリケーションになると説明しています。
航空業界で幅広く活用される「ブロックチェーン」
航空業界では、すでに複数の企業がブロックチェーン技術を活用していることを発表しており、ロシアの「エスセブン航空(S7 Airline)」は、今年9月に燃料供給を行う際の即時決済を可能にし、様々なプロセスを自動化することができる「航空燃料スマートコントラクト(AFSC)」の開発に成功したと発表しています。
またフランスの大手航空会社である「Air France KLM(エールフランスKLM)」は、ブロックチェーンを活用して旅行・航空業界の問題解決に取り組んでいる「Winding Tree(ワインディング・ツリー)」と提携し、「仲介手数料の削減」や「効率的なチケット予約」などに取り組んでいます。
航空業界におけるブロックチェーンの新たな活用事例である「無人飛行機」の追跡は、プロジェクトが具体的に進むにつれてさらに注目を集めていくことになるでしょう。
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