航空機の燃料供給にブロックチェーン技術を活用|ロシア「S7 Airline」
ブロックチェーン(Blockchain)技術を活用した『航空燃料スマートコントラクト(AFSC)』の構築に取り組んでいたロシア連邦のエスセブン航空(S7 Airline)と、国営の航空燃料事業の運営会社であるガスプロム・ネフチ(Gazprom Neft)は、見事開発に成功したことを発表しました。これにより燃料供給の即時決済が可能になるだけでなく様々なプロセスを自動化することができるため、多くの財務コストを削減できることが期待されています。
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航空燃料スマート契約(AFSC)とは
航空燃料スマートコントラクト(AFSC)とは、ロシア連邦の格安航空会社(LCC)であるエスセブン航空(S7 Airline)と国営の航空燃料補給事業の運営会社であるガスプロム・ネフチ(Gazprom Neft)が協力して開発した、ブロックチェーン技術を活用した航空燃料自動決済システムです。これはロシア市場での分散型元帳技術の最初の使用例でもあります。
複数のメディアで公開された情報によると、新しいAFSCシステムでは、航空会社とその関連会社は、
・燃料を補給する時点で燃料の即時決済を行うことができ、
・前払いや銀行保証の必要性を排除し、
・航空会社と燃料供給業者の財務リスクを大幅に削減することができます。
その結果、航空輸送運営の管理プロセスにおいて、速度、効率、コストの大幅な削減が実現します。
AFSCシステムを通じてスマートコントラクトを導入するにあたり「S7 Airlines」は将来のフライトに必要な給油に関する情報を、燃料提供会社である「Gazpromneft-Aero」に転送することによって初期燃料量と価格を算出します。
データは、必要量を空港のタンカードライバーに割り当てるために使用されます。燃料補給の日に、航空パイロットはオペレーターに特定の燃料量をシステムに問い合わせ、それに必要な金額は航空会社の銀行に送付されます。その後、銀行で即座に確認が行われることによって給油プロセスが開始されます。サービスは完了し、支払いは決済され、燃料供給業者および航空会社の商業部門には、すべての会計書類と共に給油の完了に関する情報が送られることになります。
ブロックチェーン技術により、給油作業に関するデータはAFSCシステムに安全に保管されることが保証されています。すべての業務は、契約条件の違反を予防して会計上の透明性を向上させるために、両当事者が承認したデジタル契約に基づいて排他的に行われます。
航空業界を新たなレベルへ
Gazprom Neftの物流・精製・販売担当副社長であるAnatoly Cherner(アナトリー・チェナー)氏は、この新しいシステムについて次のように述べています。
このようなデジタルサービスの開発と実装は、Gazprom Neftで石油製品の物流、処理、販売を管理するためのデジタルプラットフォームを構築するために重要な要素です。主要なパートナーと協力してデジタル変換プロジェクトを実施することで、同社は技術と運用の効率性の高め、新たなレベルに到達することができます。
航空会社と燃料事業者間の取引でブロックチェーン技術を活用することによって、燃料供給の決済を自動化することができます。すなわちこれは、銀行、航空会社、燃料補給会社の3者間の取引を自動化することを意味します。これにより取引の透明性が向上するとともに、プロセスをスピードアップすることができるため、今後の航空業界全体の発展に新たな刺激をもたらすことができると期待されています。
航空業界に多くの可能性をもたらすことができる『ブロックチェーン技術』は、空だけでなく宇宙空間でも役立てることができます。すでにNASA(米航空宇宙局)やESA(欧州宇宙機関)などの機関でも研究が進められているこの最先端技術は、世界中のあらゆるシーンで広く取り入れられています。