株式会社ソニー・ミュージックエンターテインメント(SME)は、音楽の権利情報処理システムに「Amazon Managed Blockchain」を採用したことを発表しました。同社は改ざんができないという特徴を持つブロックチェーン技術を利用することで、クリエイターの権利を維持しながら生産性を上げ、楽曲を生み出せる環境を作り出します。
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ブロックチェーンで「楽曲の権利」を保護
Amazon(アマゾン)の関連会社である「アマゾンウェブサービスジャパン株式会社」は、2019年6月11日に「株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)」が音楽権利情報処理を容易かつ効率的に行うためのシステム基盤に「Amazon Managed Blockchain」を採用することを発表しました。
楽曲の権利保護で「Amazon Managed Blockchain」を採用しなかった場合、クリエイターは楽曲制作の他にコンテンツの権利処理にリソースを割かれてしまうため「創作活動に専念できない」という問題がありました。
しかし「Amazon Managed Blockchain」を導入すれば、楽曲の権利情報を改ざんできないようすることができるため、人手を煩わせることなく自動的に権利を保護することができるようになり、クリエイターは複雑な権利関係の処理に頭を悩ますことなく、楽曲などのコンテンツ制作に没頭することができます。
これにより生産性を向上させることができるだけでなく、よりヒットする楽曲や新世代のクリエイターを輩出することができると期待されています。
「Amazon Managed Blockchain」を選んだ理由とは?
「Amazon Managed Blockchain」は、スケーラブルなブロックチェーンネットワークを構築できるフルマネージド型のサービスです。本来、ブロックチェーンを構築しようとすると複雑な作業を必要としますが「Amazon Managed Blockchain」を利用すれば、わずか数回のクリックでブロックチェーンを構築することができます。
このシステムはソニーミュージックのような音楽業界のデジタルコンテンツの管理のみならず、仮想通貨のような金融取引の自動化をはじめ、医療分野では電子カルテの履歴管理、製造業のサプライチェーンのトレサビリティー管理でも使われています。
ソニーミュージックグループ全体の情報システムを推進・支援している「株式会社ソニー・ミュージックアクシス」の佐藤 亘宏(さとう のぶひろ)氏は「Amazon Managed Blockchain」を採用した理由について次のように語っています。
SMEが、AWSを利用している理由は、絶えずサービスコストを大幅に削減しながら、高度かつ最新技術を使ったサービスと充実したサポートを提供し続けてくれているからです。SMEは以前から、クリエイターと音楽の権利情報を守りたいと考えていましたが、AWSからAmazon Managed Blockchainが提供されたことから、本システムの開発を決断いたしました。
Amazon Managed Blockchainは高いセキュリティと可用性、柔軟性を兼ね備えていること、また他社と比較した場合に安価で開発できることが採用の決め手となりました
ブロックチェーン技術は現在、様々な企業によって開発が進められていますが、このようなシステムを1から構築するには多大な労力が必要となります。しかし現在は「技術者が不足している」とも言われているため、簡単にブロックチェーン技術を活用することができる「Amazon Managed Blockchain」のサービスは今後も幅広い分野で活用されていくことになると予想されます。
SMEがこれから展開していくブロックチェーン技術を用いたサービスとともに、「Amazon Managed Blockchain」のさらなる普及にも注目です。