シンガポールの内国歳入庁(IRAS)は先日、仮想通貨の税金制度に関する新しい草案を公開しました。この草案では「決済手段」としての機能性を持つ暗号資産を「デジタルペイメントトークン」と呼ばれる新しい分類に振り分けることによって、それに該当する通貨にかかる消費税を免除することが記されています。
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決済手段となる仮想通貨の「新たな分類」
シンガポール内国歳入庁(IRAS)は、仮想通貨の税金に関連する新しい草案を発表しました。この草案では、仮想通貨の分類を変更する案が記されており、支払いなどに使用される仮想通貨は「デジタルペイメントトークン」と呼ばれています。
仮想通貨の分類が変わることによって、この「デジタルペイメントトークン」に該当する仮想通貨は一部の税金が免除されることになるため、シンガポールの仮想通貨業界をさらに成長させることができると期待されています。
「デジタルペイメントトークン」に該当する仮想通貨の例としては、
・ビットコイン(Bitcoin/BTC)
・イーサリアム(Ethereum/ETH)
・ライトコイン(Litecoin/LTC)
・エックスアールピー(XRP/XRP)
・ダッシュ(Dash/DASH)
・モネロ(Monero/XMR)
・ジーキャッシュ(Zcash/ZEC)
などが挙げられています。
デジタルペイメントトークンは「消費税」を免除
シンガポールでは仮想通貨取引によって得られる利益に「最大20%の所得税」がかかりますが、従来の規則では、購入した仮想通貨で支払いを行なった場合には、所得税にプラスして日本で言うところの”消費税”に当たる「7%の商品サービス税(Goods and Services Tax/GST)」が課せられていました。
今回公開された草案には、「デジタルペイメントトークン」に該当する仮想通貨で支払いを行なった場合は「商品サービス税(消費税)」が免除されるということが書かれています。なお、この「デジタルペイメントトークン」には、
・ステーブルコイン
・トークン
・ロイヤルティポイント
・プライベートチェーンで発行されるゲーム用通貨
などのデジタル資産は含まれないとされています。
これは「デジタルペイメントトークン」の特性をより良く反映するためだと説明されており、公開された文章には「この新しい分類は2020年1月1日から施行される」と記載されています。
仮想通貨の「税金制度」に関する議論は日本でも
シンガポールは所得税が”最大20%”と非常に安い事でも知られているため、日本で55%の所得税を課せられる高額所得者の人々はシンガポールに移住して法人登録を行なっています。仮想通貨に対する税金制度が変更され、仮想通貨ユーザーにとってより魅力的な環境が整えられていくことによって、今後はさらに多くの仮想通貨ユーザーがシンガポールに移住していくことになると予想されます。
仮想通貨に詳しい専門家の人々は「仮想通貨に課せられている税金制度は、仮想通貨の普及を妨げる原因になっている」と主張しています。これは仮想通貨を決済手段として使用した場合の税金が複雑であるからです。
日本で仮想通貨を使用して商品やサービスを購入した場合には「その仮想通貨を購入した時の価格」と「商品を購入した時の仮想通貨の価格」の差額が”所得金額”となり、通常の仮想通貨取引で得た所得と同様に”雑所得”として課税されます。
仮想通貨の税金制度は国によって違いがあるものの、その内容に関しては各国で議論が行われており、最近では「日本維新の会」に所属する藤巻 健史(ふじまき たけし)議員が、衆議院議長・参議院議長あてに
・仮想通貨の売買益を「20%の分離課税」へ変更すること
・仮想通貨売買損の「繰越控除」を可能にすること
・仮想通貨の売買を「非課税」にすること
・店頭などでの仮想通貨の少額決済を「非課税」にすること
などを求める「仮想通貨税制改正の嘆願書」を提出したことを明らかにしています。
国税庁は今年5月に『仮想通貨に関する税制を変更する予定はない』と言うことを語っているため日本国内で変更されることは当面ないと考えられますが、今後より多くの国民から変更を望む声が増えてくれば、税制変更が検討される可能性もあると考えられます。
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