国税庁:暗号資産の税金制度「変更予定はない」と発言|藤巻議員が矛盾点を指摘
国税庁は、2019年5月14日に開かれた参議院の財政金融委員会で「仮想通貨(暗号資産)が税制上で雑所得に分類される」というこれまでの見解を変更する予定はないと語りました。日本維新の会に所属する藤巻健史(ふじまきたけし)議員は、現在の日本の税制には矛盾があると指摘しています。
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日本維新の会に所属する参議院議員の藤巻健史(ふじまきたけし)氏は、2019年5月14日に開かれた参議院の財政金融委員会で麻生大臣や国税当局に対して暗号資産(仮想通貨)の税制に関する質問を行いました。
日銀の黒田東彦(くろだはるひこ)総裁は今月9日に「暗号資産は決済手段としてはあまり使用されておらず、ほとんど投機の対象になっている」との考えを語っているため、藤巻議員はこの発言は仮想通貨が「値上がりによる利益を目的としている資産」であるということを認めていることになると指摘し、そのような値上がりによる利益を目的とした資産なのであれば、税制区分としては雑所得ではなく「譲渡所得」や「源泉分離課税」になるのではないか?との考えを語りました。
これに対して国税庁の担当者は「資金決済法などの一部改正案で、仮想通貨の呼称は"暗号資産"に変更することになるが、定義自体が変更されるものではない」と改めて語った上で、暗号資産は「対価を弁済するために不特定の物に使用できる財産的価値」として規定されることになり、"支払い手段に類するもの"として位置付けられると説明し、これまでの「雑所得」としての取り扱いを変更するつもりはないと述べました。
現行の「雑所得」という分類では最大55%の税率が課せられることになりますが、藤巻議員は最初に「譲渡所得」へと税制を変更し、最終的には「損益通算できる20%の源泉分離課税」にすべきだと主張しています。
藤巻議員は、現在の仮想通貨に関する税制は「矛盾しており非合理的である」と指摘していますが、今回の委員会に出席した麻生太郎(あそうたろう)財務相もこれまでの税制を変更する考えはないことを語っており、源泉分離課税を適用しない理由として次のように説明を行なっています。
株式の分離課税は「所得税の再分配機能」を一定程度損なっても家計の株式等への投資を後押しする「貯蓄から投資」という政策的要請を前提としたものである。従って暗号資産をこれと同列に論ずることはなかなか難しいと考えている。
仮想通貨(暗号資産)に関する税制の変更を求める声は国内の大手企業からも上がっており、今年の2月時点でも楽天やサイバーエージェントなどといったインターネットサービス企業が多数参加している経済団体「新経済連盟」が金融担当大臣宛に「暗号資産の新たな規制に対する要望」を提出しています。
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