アメリカ国防総省(DoD)は、最近公開した「DoD Digital Modernization Strategy(アメリカ国防総省デジタル近代化戦略)」というレポートの中で、軍隊使用のための新技術開発や研究を行う機関「国防高等研究計画局(DARPA)」がブロックチェーン技術を情報伝達などの分野で活用するための実験を開始していることを明らかにしました。
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情報伝達時の「セキュリティ向上」などに期待
アメリカ国防総省(DoD)が公開したレポートでは、DoDが今後5年間で年間IT予算をどのような優先順位で使用していくかに関する洞察が示されており、主な優先事項として、
・サイバーセキュリティ
・人工知能(AI)
・クラウド
・コマンド・コントロール・コミュニケーション(3C)
の4つが挙げられています。
ブロックチェーン技術は「情報伝達を行う際のセキュリティ向上や効率化などに役立つ」と期待されており、
・信頼を必要としないこと
・透明性が高いこと
・障害に対する耐性があること
が利点として挙げられています。
諜報活動などでの情報交換にも活用
今回公開されたレポートには『DARPAはブロックチェーンプロトコルを使用して、より効率的で、堅牢で、安全なプラットフォームを作成するための実験を開始している』とも記されており、『このアプリケーションは部隊-本部間の連絡を容易にしたり、諜報担当官とペンタゴン(*1)の間で情報をやり取りするなど様々な方法で使用される』と説明されています。
(*1)ペンタゴン:アメリカ国防総省の本庁舎、または国防総省そのもののこと
また「DARPAはデータベースにアクセスしようとするハッカーに対処するために、ハッキングすることができないコードの開発にも取り組んでいる」とも記されています。
米国では軍事産業でもブロックチェーン活用に向けた取り組みが進められており、昨年9月には米国の「海軍航空システム司令部(NAVAIR)」が航空機の部品を追跡するためにブロックチェーン技術を活用していく方法を模索していることが明らかにされていました。
このプロジェクトでは、DARPAが「ITAMCO」という企業と協力して開発している「SIMBA Chain」というブロックチェーン・プラットフォームが使用されていると報じられていました。この他にも米空軍工科大学(AFIT)が国防総省指導者の学習を支援するための無料ツールなども公開されているため、今後はこれらの技術が米軍の様々な分野で活用されていくのではないかと予想されます。
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