金融庁が「キャッシュレス送金・決済」の事業を手掛ける資金移動業者を対象に、立ち入り調査を含めた集中的な検査を始めることが日本経済新聞の報道で明らかになりました。これはキャッシュレス関連の不正利用が相次いでいることを踏まえた上での決定であり、「システムの安全性・利用者保護・マネーロンダリング対策」などの内部管理体制が十分に取られているかどうかを重点的に点検し、問題があった場合には行政処分を検討すると伝えられています。
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キャッシュレス業者「数十社」を対象に集中調査
金融庁がキャッシュレス関連事業の集中検査を実施することを決定した理由は「キャッシュレス関連サービス」でのトラブルが多発しているためだと伝えられています。
大手コンビニエンスストアを展開している「セブン&アイ・ホールディングス」は、同社が2019年7月1日に開始したスマホ決済サービス「セブンペイ」で不正アクセスの被害が起きたことを発表しており、9月末にはサービスを終了することも発表されています。
金融庁は、2019年7月〜2020年6月の期間にかけて資金決済法に基づいた「資金移動業者」や「前払い式決済手段(プリペイドカード)の発行業者」などといった送金・決済サービスを提供している事業者を対象として検査を実施します。
具体的には聞き取り調査を行うだけでなく、立ち入り検査なども実施する予定となっており、対象となる業者は数十社にのぼる見通しだと伝えられています。
キャッシュレス業者に対するこれまでの調査は、顧客資産を保全するために必要な供託金を管理しているかどうかを点検する部分的な検査が中心となっていましたが、顧客保護の補償対応は業者によって違いがあるため「大手業者を中心に検査を行うことによってその実態を把握する」と説明されています。
今年の秋にはマネーロンダリング対策などの審査を行なっている国際組織「金融活動作業部会(FATF)」が来日し、国内金融機関の対応状況を調査する予定となっています。しかし「一部の問題によって日本全体の評価が下がってしまう可能性がある」とも懸念されているため、今回の調査によってキャッシュレス業者全体の内部管理体制が整えられることが望まれています。