ロシアの中央銀行である「ロシア連邦中央銀行」が、特定の実物資産に連動したステーブルコインのテストを開始したことがロシアの大手通信社「Interfax」の報道で明らかになりました。ロシアでは「中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行する可能性」も含めて、幅広い調査が進められていると伝えられています。
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「ステーブルコインの潜在的な用途」について調査
ロシア連邦中央銀行は、規制サンドボックス制度(*1)を用いて「実在する資産に価値が連動したステーブルコイン」のテストを開始したと伝えられています。
なお、ロシア連邦中央銀行の6代目総裁であるエリヴィラ・ナビウリナ氏は『今回のテストは”ステーブルコインの潜在的な用途”を実証するためのものであり、ステーブルコインが決済手段や通貨の代替になることは想定していない』と語っています。
(*1)規制サンドボックス制度:革新的技術やサービスを事業化することを目的として、地域や期間を限定し、現行法の規制を一時的に停止する制度のこと
規制のサンドボックスでステーブルコインをテストしています。特定の実物資産に連動したトークンを企業が発行できるようになることを歓迎します。規制サンドボックスではステーブルコインの”潜在的な用途”について調査を行なっていますが、ステーブルコインが決済手段として機能し、通貨の代替になるとは考えていません。
「中央銀行デジタル通貨がもたらす影響」なども分析
今回の報道では「ロシアの規制当局は”中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行する可能性”について引き続き調査を行なっている」とも報告されており、ナビウリナ総裁は『そのような通貨がもたらすメリットについて理解する必要がある』と語っていると伝えられています。
ナビウリナ総裁は「中央銀行独自のデジタル通貨(デジタル・ルーブル)を発行した場合には、商業銀行に深刻な影響を与える可能性がある」とも述べており、デジタル通貨の問題には非常に慎重にアプローチし、他国が経験した否定的・肯定的な調査結果についての研究も行うべきであるとの考えを示しています。
またナビウリナ総裁は『2年前の状況と比較すると、ロシアでは仮想通貨への関心が低下してきている』とも語っています。しかしながら同氏は、そのような状況においても「仮想通貨が”政府が介入しない民間の通貨システム”を実現する」と信じている人々は多数存在すると指摘しており、『デジタル通貨が”プライベートなお金”になるように設計されている場合、私たちはそれを支援することはできない』と説明しています。