ブロックチェーン関連事業を展開している「株式会社LayerX」は2020年3月19日に、三井物産・SMBC日興証券・三井住友信託銀行と合同で新会社を設立し、ブロックチェーン技術を活用した次世代アセットマネジメント(資産運用)事業に取り組んでいくことを発表しました。
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資産運用事業全体で「デジタル化」を推進
LayerX・三井物産・SMBC日興証券・三井住友信託銀行の4社は、それぞれの知見を活かした新会社を設立し、ブロックチェーン技術を活用した次世代アセットマネジメント(資産運用)事業で協業していくことを発表しました。
不動産・インフラを始めとした実物資産の証券化商品の投資環境は一部の限られた資産に対して限られた投資家のみがアクセスできるのが現状ですが、LayerXは「資産を証券化するプロセスやその後の管理プロセス全体に複数の企業が関与する中で、手続きの多くがデジタル化されないまま行われていることによって”高コスト体質”になっていることが要因の1つになっている」と指摘しています。
今回発表された新事業は、ブロックチェーン技術を活用した効率的な資金調達も視野に入れながら、資産運用機能全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することによって、
1.取引・管理・執行の各時間コストを削減
2.運用会社の透明性向上
3.ファンド設計の規格化、小口化、適切な流動性の付与
4.従来ではコスト面などで割に合わなかった投資対象の証券化
などを実現し、より多くの優良な実物資産の証券化商品を投資家の利益に役立てる形で提供することを目指していると説明されています。
この新事業には「三井物産グループ」に所属する
・三井物産オルタナティブインベストメンツ株式会社
・三井物産アセットマネジメント・ホールディングス株式会社
・三井物産リアルティ・マネジメント株式会社
・三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社
・三井物産・イデラパートナーズ株式会社
も参画し、「投資案件のソーシング・運用・ファンド組成・販売流通」に関する知見を活用して新しい金融商品組成に協力するとされています。
運用システムの実証版開発は既に完了済
今回の協業では「次世代資産運用会社の設立・運営、新会社で用いるシステムの開発、実証ファンドの組成検討」を実施することで合意に達しており、この中でも「新会社で用いるシステムの開発」に関してはすでに実証版の開発が完了していると報告されています。
今後の取り組みとしては「規制当局との対話を重ねながら、オペレーション上の課題点・技術的改善点の検証を目的とした実証ファンドの組成を計画している」とのことです。
新たに設立される新会社の名称は「三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社(仮)」とされており、2020年4月に設立される予定だと報告されています。新会社への出資比率は、
・三井物産:54%
・LayerX:36%
・SMBC日興証券:5%
・三井住友信託銀行:5%
となっています。