カー用品専門店「Autobacs(オートバックス)」を展開している「株式会社オートバックスセブン」は、2020年4月にブロックチェーン技術を基盤とした中古車の個人間取引プラットフォームを立ち上げることを予定しています。
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中古車販売の「個人間取引市場」参入に向けて
Autobacs(オートバックス)は2016年からブロックチェーン技術の実証実験を行っており、2019年10月にはブロックチェーン技術を活用した「中古車販売のCtoC(個人間取引)市場」に参入する計画も発表されています。
同社は「査定Dr.」と呼ばれる特許取得済みの車買取査定システムを活用することによって、売り手と買い手が安心して中古車売買を行うことができるプラットフォームを構築することを計画しており、2020年4月のプラットフォーム本格稼働を目指しています。
一般的な中古車売買の問題点
一般的な中古車売買では、売り手から買い手へと中古車が渡るまでに「買取業者・販売業者・業者間オークション」などといった複数の仲介業者が介在することになるため、中間コストが大きくなり「売り手の売却価格」と「買い手の購入金額」に大きな差が生まれています。
また、仲介業者を介さずに個人間で直接取引を行った場合には、車両そのものの安全性や信頼性の面で不安が残ることになり、トラブルの原因にもなっています。
ブロックチェーンを用いたオートバックスの解決策
オートバックスはこのような問題点を解決するために、ブロックチェーン技術で買い手と売り手を直接繋ぐプラットフォームを構築しており、売り手からの査定依頼を受けた「オートバックス」が”無料”で査定を行い、その査定情報を信頼性の高いブロックチェーン上に記録して公開する仕組みを構築しています。
売り手側はオートバックスに無料査定を依頼した後に「そのままオートバックスに車を売却する」もしくは「CtoC中古車市場への登録(無料)」のどちらかを選択することができます。後者が選択された場合には、オートバックスが”認定証”を発行し、査定情報をブロックチェーン上に記録することになります。
ブロックチェーン上に記録される査定情報の中に「査定金額」は含まれていないため、売り手側は自由に売却希望額を設定することができ、買い手側はブロックチェーン上に記録された情報をもとにして中古車購入を検討することができます。
一方オートバックス側は、買い手と売り手が合意に達して取引が成立し、支払いと車両の移動が完了した時点で「手数料」を徴収することで収益化を図っているため、買い手と売り手は信頼できる査定情報に基づいて取引を行いながら、仲介手数料を最小限に抑えることができる仕組みとなっています。
なお、ブロックチェーン上に情報を記録する際などの手続きはスマートコントラクトを用いて自動的に実行され、車両の移動・契約などといった物理的・法律的な手続きはオートバックスが行うとのことです。
オートバックスは「CtoC中古車市場」を独占的に運営するのではなく、将来的には「連業者・競合他社・異業種」などを巻き込むことによって、新しいビジネスを創出する大規模なエコシステムを構築することを期待しているとも伝えられているため、今後発表されるサービスの詳細には期待が高まります。