日本政府が「中央銀行デジタル通貨(デジタル円)について検討すること」を近い将来公式に表明することが「日本経済新聞」の報道で明らかになりました。日経新聞の報道によると、近いうちに閣議決定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する項目を盛り込む予定だと報じられています。
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日銀と足並みをそろえ「米欧との協議を本格化」
中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入検討に関する項目が盛り込まれる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」は、経済財政政策の基本となるものであるため、この基本方針に”CBDCの検討”に関する項目が盛り込まれることによって、日本政府は国内外に『CBDCの具体的な検討に乗り出す』ということを表明することになると伝えられています。
骨太方針には「日銀が技術的な調査のための実証実験を始める」と紹介した上で「各国と連携しつつ検討する」と明記されているとのことで、『日本政府も日銀と足並みをそろえて米欧との協議を本格化させる』と報じられています。
CBDCの発行に関する最終決定は日本銀行ではなく「日本政府」が行うことになっており、紙幣の製造・消却・その手続きの決定や変更も財務相が承認することになっているため、”日本独自の中央銀行デジタル通貨”が正式に発行される際には「日銀法」が改正されることになると予想されます。日本銀行はこれまでにもCBDC関連の取り組みを進めていましたが、日本政府がCBDCに関与することによって「CBDC発行の可能性」が高まることになります。
世界中で進む「CBDC関連プロジェクト」
日本銀行は『現時点でCBDCを発行する計画はない』との見解を示し続けてきているものの、万が一の場合に備えてCBDCに関する研究・調査などは続けられており、2020年1月にはCBDCの活用可能性などについて共同研究するためのグループを「カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、スウェーデン・リクスバンク、スイス国民銀行、国際決済銀行(BIS)」と立ち上げているほか、今月2日には「CBDCの技術的課題などをまとめたレポート」なども公開しています。
中央銀行デジタル通貨の発行に向けた取り組みはすでに複数の国で進められており、先日は主要20ヵ国・地域で構成される「G20」がデジタル通貨を事実上容認する方向で調整に入ったことが報じられている他、先日13日にはシンガポールの中央銀行からブロックチェーン決済ネットワーク「Project Ubin(プロジェクト・ウビン)」が最終段階を完了したことなども報告されているため、今後は世界的にもCBDCの導入に向けた動きが加速していく可能性が高いと予想されます。
なお、自民党の金融調査会長である山本 幸三(やまもと こうぞう)氏は、今年2月に”デジタル円の発行”について『法律などの整備を考慮した上で2〜3年以内に発行するのが望ましい』と考えていることを明かしています。